おっさん48@中間管理職のカラオケ道:エッセイ
私はカラオケが嫌いです。
そうです。私は音痴です
音程を外しがちで、高音域が出ません。
私のカラオケの番がくると、みんなの一斉のトイレタイムとなり、気を使って残ってくれた数名が、申し訳なさそうに鳴らしてくるタンバリンの空気…
私にとって2次会カラオケは苦痛でしかありませんでした。お腹が痛いから帰らせてと何度も思いました。
しかし、中間管理職が「カラオケは嫌いなんで歌いません」「2次会のカラオケは行きません」と場をしらけさせたりするのはもってのほかです。
歌えない、努力をしない者が、人の上に立つことは出来ないでしょう。
📚2次会のカラオケとは、上司の接待をする、部下を慰労する場であり、組織のコミュケーションを円滑にする装置なのです。
「カラオケのできる社員は 仕事ができる」
「仕事はカラオケが8割」
いつか書籍で発表しようと思っています。
中間管理職は「歌うこと」から逃げちゃだめです。
このエッセイは、
”カラオケが嫌いでも、2次会を嫌いにならないで下さい”
歌うのが苦手でも頑張る中間管理職
=「おっさん48(フォーティエイト)」の戦いの記録なのです

「おっさん48」最大の試練
会社の2次会でのカラオケには2種類あります。
大人数と一緒にカラオケボックス
役員(取締役)の行きつけの高級スナックでの接待カラオケ
大人数で行くカラオケは勢いでなんとかごまかせるのですが、一番難易度が高いのが、上司の行きつけの高級スナックでのカラオケです。
反強制的な2次もしくは3次会であり、開催されるときは、1次会で通知されて「あまり飲みすぎるな」と釘を刺されます。
選ばれた人しか行けないごく少人数の社交場で、無礼講や粗相は許されない。ここでは、上司も完全に接待に回る。
上級職が集う座談会の飲み会なので、カラオケが主ではないのですが、箸休めで「そうだ君、何か歌ってくれないか?」と振られるのは、私のような下っ端の中間管理職。
50代~60代の役員を相手にどうすればよいのか。ジェントルマンな一般のお客さんも混じっている。
カラオケが苦手な「おっさん48」の最難関のシュチュエーション。
場を白けさせるのは重罪。
絶体絶命のピンチ!
私が苦悩の末に編み出した技です。

接待カラオケでは、まずはスナックのママさんや従業員を味方につけなければ勝てません。
<スナックで歌う曲 1曲目>
①郷ひろみ「2億4千万の瞳」
②ウルフルズ「明日があるさ」
③やしきたかじん「東京」
この①~③は全国のスナックのママさんが100万回は聞かされたであろう曲で、合いの手を進んでしてくれます。歌が下手な分、場の空気を盛り上げてもらうしかありません。
<スナックで歌う曲 2曲目以降>
「THE BOOM」困ったらこれです。
誰でもそれらしく聞こえてウケがいい。
大事なとこなのでもう一度言います
「THE BOOM」
「おっさん48」の真意とは?

2次会で部長に誘われて、行きつけのスナックに連れて行ってもらった。今回は、若手の有望株も連れてこいとの指示であったので、部長、上司(課長)、私(主任)、若手の4人がメンバーであった。
今回は、私が一番下っ端ではないので少しは気が楽だ。
スナックで職場の話や、部長や課長の苦労話を聞いてくつろいでいた。暫くして部長が若手に「まぁ、楽しんでくれ。そうだ君、何か歌ってくれないか?」と促した。
誰もが通る試練である。
若手は私に助けてもらおうと、必死になってしがみつく。
若手「いや~歌はあまり得意ではないんですけど」
(嘘を付け、お前がカラオケで一番騒いでるだろう)
若手「本当に私でいいんですか?○○さん(私)お先にどうぞ」
私 「いつもの調子で頼むよ」
(すまん。ここは自分で乗り越えてくれ)
完全アウェイのこの状況で、彼が悩みに悩んで選曲した歌は・・・
「バンバンバン!バンバンバン!」
あっ!このイントロは
「はんにゅへんだー ほいのにー」
ジャッキーチェンの「プロジェクトA」のテーマ曲。
それも中国語フルバージョンだ!あまりにもマニアックすぎる!
上司はスルーを決め込んで部長と話の続きをしようとしている。私も反応しないことにした。
しかし、部長が妙に喰いついてきた。
部長「いや~なんだったかな。中国語だねぇ」
私が慌ててフォローに入る。
私「あれは、ジャッキーチェン映画の曲です。彼は筋トレが趣味で、ジムにも通ってます。部長にアピールしたかったんですよ」
部長「そうかそうか。いや元気だねぇ」
彼はそのやり取りを聞いて何を思ったのか、歌ってる最中に上着を脱ぎだして、カンフーのまねごとをやりだした。
「あっ」
「あっ」
「おぅ!」
(なにしてんだコノヤロー!!被せて余計なことするんじゃねぇよ!)
(フォローしてやったのに、俺とお前がネタ仕込んでたみたいになってるじゃねーか!)
(何で笑顔なんだバカヤロー、共犯にしやがって、少しでも同情した俺がバカだった!それに、お前のそのカンフーの動き、ジャッキーでなく、少林寺三十六房じゃないか!ホンマ腹立つわ!)
彼の歌が終わって私と上司は呆然としていたが、彼は笑顔でやり切った感を出していた。
部長「いや~面白かったよ。それはカンフーかい?」
若手「カンフーではありません!功夫(クンフー)です!!」
(テメー、もういい加減にしろよ。そこは攻めていい所じゃないだろ)
上司「そうそう、部長、中国支社のお話はどうなりました?」
上司がさっと話題を変えてきた。イレギュラー時の危機管理能力はさすがに高い。上司と部長が話し込んでる間、私はイラ立ちが隠せなかった。
私「中国語が出来るんだね~。いつでも中国支社にいけるんじゃない?向こうが楽しくて帰ってこなかったりして」
若手「大学で中国語やってました!いつでもOKっすよ」
彼の言動が部長の何かにスィッチを入れたらしく、部長が急に歌い出すと言い出した。
上司「部長の歌は久しぶりですね。いつものアレお願いします」
部長「私も久しぶりだよ。さぁやるか」
スナックのママが手慣れた手付きで曲を入れる。
山が動いた。私は何が始まるのか固唾を飲んで見守った。
チュ~ル、チュチュル♪ チュ~ル、チュチュル♪
ああっつ!このイントロはっ!
まさかのモーニング娘 「LOVEマシーン」だっ!!
上司も立ち上がって合いの手を入れる。
上司は、私達に「お前らもやるんだよ」と鋭い目付きで合図をしたので、私達も懸命にサポートした。
部長と上司はノリノリで踊っている。
「Fu-Fu~~!」
日本の未来は~~~♪
「WoW WoW WoW~~!」
会社の未来も
「イエィ イェイ エィエイ!」
上司の踊りとハモリ、合いの手は完璧だった。さすがに熟練者は違う。部長は歌が終わって「きみたちがこれからの会社の未来を作るんだ」と笑っていた。
スナックでの飲み会が終わった後、私は上司に呼び出されて叱られた。
上司「部長に気を使わすんじゃない!私だって忙しい部長とは滅多に飲みに行けないんだぞ!」
今回は、私のフォローが至らなかったせいで場を荒らしてしまった。
上司は「おっさん48」で不動のセンターを卒業して、その席を後輩に譲っている。上司の気配りや、部長の深い配慮には到底かなわない。
私が「おっさん48」のセンターを張るには、まだまだ未熟で力不足なのだ。


