大豊神社 哲学の道にある社を訪れ椿の花を堪能
大豊神社
(オオトヨジンジャ)
京都の哲学の道沿いに位置するのがこの大豊神社。
珍しい『狛ねずみ』がいることでも知られる隠れた
人気パワースポットのひとつとなっている。
ここは元々が東山三十六峰の中の十五峰目にあたる
椿ヶ峰を御神体とした山霊崇拝の社であった。
平安時代初期887年、宇多天皇(ウダテンノウ)
の病気平癒祈願に藤原淑子(フジワラノシュクシ)
が建立したものとなっている。彼女は京都御所の
真東にあたる椿ヶ峰に医薬祖神とされる少彦名命
(スクナヒコノミコト)を奉祀し創建したのである。
また、宇多天皇の信任の厚かったとされる菅原道真
(スガワラノミチザネ)も合祀されたのである。
ここは国内でも珍しい『狛ねずみ』が鎮座する場と
して知られるものだが、一方で多くの椿が植わる
ツバキ神社としても知られている。
京都府立植物園にて毎年開催される『つばき展』、
此処には京都で有名な寺社仏閣や、ツバキの名士
の方々の協力を頂き、貴重なツバキを多く揃えて
展示するものとなっている。
ここ大豊神社もまた、境内に咲いたツバキを毎年
数点を持参頂いて、京都府立植物園のつばき展の
一画を見事な銘ツバキで飾って頂いているもの。
2026年2月28日、同植物園内で開催された
一般財団法人 京都園芸倶楽部の公開講習会の場に
『大豊神社と椿』のタイトルで大豊神社の小林哲人
宮司をその講師にお招きしての、その講義の内容
がとても面白かったのと、多くのツバキが植わる
その解説に私はいたく感動したのだった。そして
講義翌日に早速、神社を訪れてツバキの写真撮影
をしたのが今回のリポート内容となっている。
では早速、順を追って解説をさせて頂こうと思う。
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大豊神社内の散策
京都は四条烏丸からバスに乗って15分程揺られ
バス停『宮ノ前町』で下車、そこからは徒歩5分程
で、目的地の大豊神社へと到着する。


『哲学の道』沿いを流れる小さな川は、琵琶湖疏水
(ビワコソスイ)の分線である。琵琶湖から京都市内
へ引かれた人工的に作られた運河で、南禅寺付近から
銀閣寺付近までの約1.8kmにわたり、桜並木と共
に閑静な景色を作り出しているもの。

扇紋 この大豊神社の社紋である。
この社を建立した藤原淑子は平安時代の高貴な身分
で有り、扇紋はその象徴とされている。この建立の
目的より主祭神の一柱に、知恵と医薬の神様である
少彦名命を持ってきており、『邪気を仰ぎ散らす』
『福を呼び込む』道具として『扇紋』を社紋に迎えた
ものと考えるものである。灯籠や各所などに社紋が
あるので境内の中を探してみるのも楽しいのである。


手水舎と石碑
手水舎には落椿が縁に置かれており風情がある。
その傍の石碑には『くれないの椿にぬれし越路をば
寄りて流るる天乃川かな』と読めるものとなっており
この碑文を直訳すると、散った椿の花が地面を覆い
流れる水に乗って集まる様子を天の川に見立てた詩
と解釈されるものである。この詠み手は不明である。


福緣石 フクエンイシ
石をさすりながら祈願する事で、良縁や福が身に
つくと云う有難い石である。これには落椿が沢山
並べられていた。これら椿は後ほどの解説にて。


狛狐 (コマギツネ)
サザンカの花が多く咲き、その足元に沢山の落椿が
飾られご機嫌そうな表情の狐様である


狛鼠(コマネズミ)
大豊神社の祭神である大国主命(オオクニノミコト)
を救った者として重要なのがネズミである。これは
古事記の中にある神話に残るもので、大国社の祭神
の大国主命(オオクニノミコト)が野火に囲まれて
絶体絶命の危機を迎えた時、ネズミが洞穴を教えて
救ったという神話に由来する。
物語は荒ぶる神、須佐之男命(スサノオノミコト)
の娘である須勢理毘売命(スセリビメ)に対して
オオクニが求婚した事に始まる。スサノオは娘を
簡単には与えたくない為に、婿となる資格を試す
目的として、次々と苛酷な試練を与える。
スサノオはオオクニを広大な野原へと連れ出すと
『この矢を取って来い』と言って矢を野に射る。
オオクニが野原へ入った瞬間、四方から火を放ち
野原は炎に包まれる。逃げ場はなく死を覚悟した
その瞬間、一匹のネズミが現れてこう告げてくる。
『内はほらほら、外はすぶすぶ』これは内は空洞に
なっていて、外はすっと通れるという内容であり
オオクニは地面を蹴ってやると言葉通り穴が現れ
中に身を隠し、炎が収まるまでやり過ごした事で
命を救われる。この試練から無事生還を果たした
オオクニにスサノオは娘をやる事を決めた神話と
なっている。ネズミはこうしてオオクニの神使と
なったという伝説である。


狛巳(コマミ)
本殿の前に鎮座するのは巳、つまり蛇となる。
大豊神社は宇多天皇の病気平癒祈願の為に建立
したもので、この本殿に蛇が神使になっている
理由は、その自己修復能力によるものだと云う。
ヘビはその身体に傷を負ったとて、脱皮すると
その傷は修復される。そんな事からこの本殿を
ヘビが睨みを効かせているのである。


狛鳶(コマトビ)
愛宕社に鎮座し、そのご利益は防火、防災、幸福飛来

狛猿(コマザル)
日吉社に鎮座、ご利益は、魔除、厄除、方除、勝運

絵馬
ネズミとウマの絵馬が並ぶ、礼儀として願い事が
映らない様に撮影する様に心掛けている




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ここからは、ツバキ巡り篇となる。それぞれに
30枚ほどの写真撮影をしているが画像点数が
多くなりすぎる為、各々2枚ずつの掲載という
縛りをつけた。これらの中でも素晴らしい椿は
別セレクション記事として公開する予定である。
また、今回の撮影に留めるつもりはないもので
今シーズンも何回か訪れ撮影したいと考える。
菊月 キクヅキ
花弁が中折れする事から独特の花型となるツバキ品種


初嵐 ハツアラシ
江戸時代からの古典椿のひとつ。一重ラッパ咲の白椿


太神楽 ダイカグラ
花に鳥の爪や嘴の被害がある筈が此処のは不思議とない


覆輪秋ノ山 フクリンアキノヤマ
淡桃色の花弁は白覆輪にうっすら紅絞が浮かぶ上品さ

胡蝶侘助 コチョウワビスケ
侘助の中で極小輪のもの。二色混在の私の好きな逸品


大豊八重神楽 オオトヨヤエカグラ
樹齢が四百年の巨大な椿、未開花乍ら天を仰ぎ撮影

海神 ワダツミ
先の大雪の影響か、多くの蕾が開かずのままなのだとか


港ノ曙 ミナトノアケボノ
次に控える蕾たちが沢山ありこの先が楽しみである。


黒椿 クロツバキ
ヤブツバキ系の花型に黒味を帯びた花弁が美しい


卜伴錦 ボクハンニシキ
これで一重咲きであり、蕊が弁化した形は美である


白侘助 シロワビスケ
境内の中で多花を誇る白い侘助。落椿姿だけを確認。

輝国ノ春 テルクニノハル
このたったの一週間で多くの花が開花したと云う


東雲 シノノメ
鴇(トキ)羽色をした花弁は幻想的な美の世界である


山茶花 サザンカ
サザンカはバラに匹敵する程の美を秘めると思っている


四海波 シカイナミ
豪華な八重咲は波打つ花弁も見事だが絞りが見事


無憂 ムユウ
憂いを無くすの名がつくヤブツバキ系、ただ美しい


竜宝 リュウホウ
名古屋から来た鉢植姿の見習い選手だが花に風格あり


白卜伴 シロボクハン
唐子咲の白花品種である。見事に柔らかな白さである


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ツバキ以外の植物
此処からはツバキ以外のものを紹介する。ここのは
地面に全ての植物の名札が拵えてあり、境内の植物
への愛情が伝わるもので嬉しくなる場所でもある。
馬酔木 アセビ
哲学の道周辺にも鹿は出るとの事だが、安全圏の植物


南天 ナンテン
赤が鮮やかに目にも楽しい境内には定番の縁起樹


万作 マンサク
葉が残る状態のものなので大陸からやってきた品種


蝋梅 ロウバイ
飴細工の様な花と、前の年の実とが印象的である


枝垂紅梅 シダレコウバイ
本殿に向かう階段右側の枝垂紅梅となる。


梔子 クチナシ
のびのびと気持ち良さそうに育っていてよい


裏白 ウラジロ
直角配列、裏面白色で正月飾に利用。境内の裏を覆う


万両 マンリョウ
縁起樹のひとつである。


夫婦梛ノ木 メオトナギノキ
この葉には強靭な繊維が備わり、鹿が食さぬ樹木


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名称 大豊神社 (オオトヨジンジャ)
旧称 椿ヶ峰天神 (ツバキガミネテンジン)
大宝大明神(オオタカラダイミョウジン)
所在 〒606-8424
京都府京都市左京区鹿ケ谷宮ノ前町1
最寄 宮ノ前町 バス停 徒歩5分
祭神 少彦名命(スクナヒコノミコト) 医薬祖神
管原道真(スガワラノミチザネ) 学問の神
応神天皇(オウジンテンノウ) 勝運の神
大国主命(オオクニノミコト) 縁結びの神
創建 887年 (仁和3年)
開基 藤原淑子(フジワラノシュクシ)
境内 本殿 祭神:少彦名命(スクナヒコノミコト)
祭神:管原道真(スガワラノミチザネ)
祭神:応神天皇(オウジンテンノウ)
神使:狛巳(コマミ)
利益:治病健康長寿、金運恵授
大国社 祭神:大国主命(オオクニノミコト)
神使:狛鼠(コマネズミ)
利益:子授安産、繁栄招福
日吉社 祭神:大己貴神(オオナムチノカミ)
祭神:大山咋神(オオヤマクイノカミ)
鎮座:狛猿(コマザル)
利益:魔除、厄除、方除、勝運
備考:猿は山王権現の使いとされる
愛宕社 祭神:火産霊神(ホムスビノカミ)
祭神:大山祇神(オオヤマツミノカミ)
鎮座:狛鳶(コマトビ)
利益:防火、防災、幸福飛来
備考:鳶は天狗のモデルとなる
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大豊神社 ツバキ リスト
□ アサツユ 朝露
□ エゾニシキ 蝦夷錦
■ エリナ
□ オウカン 王冠
□ オオトヨヤエカグラ 大豊八重神楽
□ カミヨツバキ 神代椿
□ クジャクツバキ 孔雀椿
■ クロツバキ 黒椿
□ ゴシキヤエチリツバキ 五色八重散椿
■ コチョウワビスケ 胡蝶侘助
□ コヒラグリ 小平栗
■ サザンカ 山茶花
■ シカイナミ 四海波
■ シノノメ 東雲
■ シロボクハン 白卜伴
□ シロワビスケ 白侘助
■ ズイコウ 瑞光
□ スズヒメ 鈴姫
■ ダイカグラ 太神楽
□ タイヘイノサト 太平ノ里
■ テルクニノハル 輝国ノ春
□ テンモク 天目
□ ニギタツ 熟田津
■ ハツアラシ 初嵐
□ フイリホウチャクソウ 斑入宝鐸草
□ フガクノスズメ 富嶽ノ雀
■ フクリンアキノヤマ 覆輪秋ノ山
■ ボクハンニシキ 卜伴錦
□ マルベニ 丸紅
■ ミナトノアケボノ 港ノ曙
□ ミヌマノハル 見沼ノ春
■ ムユウ 無憂
■ リュウホウ 竜宝
■ ワダツミ 海神
2026年3月1日時点でのツバキの状態を示し
■が開花、□は未開花であったもの
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大豊神社 その他植物リスト
■ アオキ 青木
■ アセビ 馬酔木
■ ウラジロ 裏白
■ エノキ 榎
■ クチナシ 梔子
■ センリョウ 千両
■ ナンテン 南天
■ シダレコウバイ 枝垂紅梅
■ シナマンサク 支那万作
■ マンリョウ 万両
■ メオトナギノキ 夫婦梛ノ木
■ ロウバイ 蝋梅
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公演 大豊神社と椿
講師 小林哲人氏(京都哲学の道 大豊神社 宮司)
主催 一般財団法人 京都園芸倶楽部 公開講演会
この講演きっかけで大豊神社の椿リポートとなった

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展示 第65回つばき展
内容 京の銘椿
日時 2026年3月21日(土)〜22日(日)
場所 京都府立植物園 植物園会館1階展示室
主催 京都府立植物園
一般財団法人 京都園芸倶楽部 公開講演会
協賛 村上社中、宗美会(呈す茶席)

今回もこの展示に、大豊神社からの銘椿が出展される
ので是非とも会場にて見て頂きたいと思う。
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