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消えた熱狂:中国ライブコマースの変容(前)

今回から前後編に分けて、中国ライブコマースの変容を取り上げます。ライブコマースとは、インフルエンサーによる動画配信を通じて商品を販売する手法で、中国ではここ数年、急速に市場を拡大してきました。

しかし近年、そのライブコマースにも変化の兆しが現れ始めています。前編となる今回では杭州・麗晶国際という建物で暮らした人の姿を追いながら、その変化をドキュメンタリーのかたちで描いていきます。

これはかつての麗晶国際を紹介した動画です。

麗晶国際は2015年に竣工した、延べ床面積約26万平方メートル、全39階・1594戸からなる巨大複合マンションです。最盛期には、配信者や業界関連者を中心に、約2万人がここで生活していたとされています。

麗晶国際

沈みゆくEC、過剰な人材

11月初旬、杭州・麗晶国際

延べ床面積約30万平方メートルを誇るこの巨大ビルは、中国のライブ配信・インフルエンサー産業を象徴する存在だった。かつてメディアはその盛況ぶりをこう表現していた。

「約2万人の配信者と関係者が活動し、GDPは一つの町に匹敵する」

業界に足を踏み入れたばかりの若者たちは、ここを「チャレンジの第一歩」と位置づけてきた。しかし2025年11月11日の双11(中国最大のセール)が最高潮を迎えるこの時期、この建築物はどこか静けさを帯びている。

出入りする住民たちの会話にライブ配信や売上といった言葉はほとんど登場しない。「昔、インフルエンサーはみんなこの辺りに住んでいました」と語るのは地元の不動産仲介業者だ。

「今も配信者はいますが、主に個人撮影が中心で大規模なライブ配信スタジオはもうありません」

当然ながら大家も厳しい。ワンルームの家賃は3000元台から2000元前後まで下落。それでもネットでは「1カ月以上空室のまま」と嘆く声が上がっている。

部屋の貸し出し広告

麗晶国際に掲示された賃貸案内板によれば、少なくとも50戸が空室で入居者募集中だ。不動産サイトでは、その数は147戸に上る。こうした話は麗晶国際に限った話ではない。

このビルの静寂は、ひとつの時代の終焉を見届けているかのようだ。

インフルエンサーという過剰労働

杭州で3年間、仕事を続けてきた程星瞳は年初に山東省の実家へ戻った。彼女が杭州を離れる直前に感じていたのは、Bランク以下の配信者は、既に仕事を見つけるのが難しくなっているという現実だった。

配信業界でいうB級配信者とは、時給300元未満の一般的な配信者を指す。
「代替可能性が高すぎるんです。単品販売の配信なら台本を暗記して、多少カメラ映りさえ良ければ、誰でもすぐにできてしまう。そこへ大量の安価な大卒新人が流れ込んで、こうした配信者たちは一気に淘汰されました」と彼女は語る。

新人配信者には低賃金にもかかわらず6時間配信を求められるケースも少なくない。「あれは完全に現代の奴隷募集です。配信者を人として扱っていない」と彼女は憤る。

程星瞳は今年31歳。2023年に杭州へ来た当初、彼女が就いた最初の仕事はレディースファッションの販売だった。基本給は8000元、歩合給はなし。その後転職を繰り返し、給料は次第に上がっていった。最後に勤めた会社では、繁忙期に月10万元以上を稼げるようになっていたという。

「杭州を離れるとき仕事がなかったわけではありません。でも、もう体が本当に限界でした」と彼女は振り返る。

仕事のリズムはほぼ決まっていた。出勤後に配信、ハイヒールを履いて立ち続け、1回の配信で100〜200着の服を着替える。配信後は必ずレビューを行い、退勤する。これを1日4時間、半年間続けた結果、ある時期は「もう体力が空っぽで、死にそうだった」と感じるほどだった。

ライブコマースの様子

「取り調べの拷問に被疑者の前にライトをずらっと並べて、強烈な光を浴びせながら、精神が崩壊するまで問い詰める方法がありますよね。配信者は、まさにあれと同じです」と程星瞳は語る。

「配信では常に高いテンションと極度の緊張を維持しなければならない。この仕事をやる以上、不安にならないなんて不可能です」

「配信が始まると、常にインプレッションの推移を見続けなければならないんです。数字が落ちたらどうする?セール品を投入するべきか?インプレッションというのは、実際には競馬みたいなもの。同じ時間帯に同ジャンルの配信者が10人以上いることも珍しくなく、結局は誰のデータが一番良いかで決まります」と彼女は語った。

彼女にとって恐ろしかったのは、そのインプレッションが自分自身のコンディションと完全に同期していることだった。

程星瞳は配信前にコーヒーを1杯飲む。配信開始から2時間半ほど経ち、疲労が出始めるとインプレッションは目に見えて下がり始める。そのタイミングで、彼女はミルクティーをもう1杯飲む。カフェインで再び刺激を入れ、テンションを無理やり引き上げなければ、インプレッションは持ち直さない。

こうした状態が長く続いた結果、程星瞳は深刻な睡眠障害を抱えるようになった。夜通し眠れない日が続くようになったという。

顔と身体を差し出す職業

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