脳にAIを繋がれたOL ~止まっていく愛子の静止業務~(前編)【一部有料・メンバーシップ限定】
【注意】
時間停止・静止描写・状態変化(マネキン化)を含む不思議系フィクションです。
18歳未満の方や苦手な方は閲覧をお控えください。
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広告代理店で働く27歳のOL・愛子は、毎朝のように同棲相手の遥人に甘える。
「今日も、ちゃんと動けるように……お願い」
遥人は微笑みながら、愛子の耳元で低く囁く。
催眠暗示が、ゆっくりと彼女の意識に染み込む。
愛子は時折、その暗示が業務中にふと発動することに戸惑いながらも、甘い痺れを感じていた。
そんなある日、上司から突如として舞い込んだ特殊業務。
「勤務中の業務効率化検証。生成AIと直接連携するチップを脳に埋め込み、
その様子をドキュメンタリー化する。
報酬は破格だ」
不安はあった。
だが、遥人との生活をより豊かにしたかった愛子は、決断した。
研究所を訪れた愛子を待っていたのは、35歳の主任研究員・藤原澪だった。
黒髪をきっちりまとめ、白衣の下に知的な眼差しを湛える女性。
制御首輪など、先進的な「人機融合」研究で知られる人物だ。
「青山愛子さんですね。
今日はよろしくお願いします」
打ち合わせの最中、愛子は澪の視線に奇妙な親近感を覚えた。
まるで、同じ「静止」を知る者同士のような……。
簡易手術は30分で終わった。
首の後ろ、髪に隠れる位置に小さなチップが埋め込まれる。
可動試験室で、愛子は澪の端末操作に従い、直立した。

埋め込まれたOL愛子。
実験はここから始まった
「では、指示を送ります」
愛子の瞳から光が消え、表情が無になる。
両手を自然に下ろし、背筋を伸ばしたまま、完全に静止した。
30秒、1分……。彼女は微動だにせず、ただ「待機」していた。
「良好です。では軽作業を」
澪の指示で愛子は動き出すが、その動作は最小限で、無駄が一切ない。
ネット連携により、画面を見ながらほとんど指を動かさず、資料作成・データ処理・メール送信を高速でこなしていく。
従来の3倍以上の速度だった。
試験終了後、愛子はぼんやりと目を瞬いた。
「……あの、手術の後の記憶が、ほとんど……」
疲労だけが、鈍く残っていた。
帰宅すると、遥人が心配そうに待っていた。
愛子は遥人の胸に寄りかかり、いつものように囁いた。
「ねえ……今日の疲れ、取って。楽になれるように、かけて」
遥人の暗示が愛子を包む。
彼女は深いリラックス状態に落ち、安堵の吐息を漏らした。
翌日(火曜日)から本格的なオフィス実証が始まった。
同僚たちの視線が集中する中、愛子はデスクに着席した。
チップが起動すると、彼女の表情がすっと消える。
ほとんど体を動かさない。

静止したOLの姿
画面を見つめたまま、背筋を伸ばし、微動だにせず作業を続ける。
キーボードを打つ音すらない。
脳から直接AIへ指令を送り、パソコンやネットワーク機器を操る姿は、まるで人形のようだった。
ドキュメンタリー撮影を担当するのは、遥人だった。
上司の指示で、彼もこのプロジェクトに深く関わることになった。
1日目の業務は、従来1日かかる仕事をわずか10数分で片付けた。
澪が常駐でフォローしていたが、技術的には問題なし。
ただし、課題は二つあった。
愛子の疲労が想像以上に激しいこと。
そして、映像として「地味すぎる」こと。
ほとんど動かない愛子の姿は、静止画のようだった。
その夜、帰宅した愛子は再び遥人に甘えた。
しかし、催眠をかけてもらう前から、異変が起きていた。

AIの影響は日常にまで…
キッチンでグラスを持ったまま、突然フリーズする。

愛子の瞳から光が消え口は開いたまま。
リビングのソファから立ち上がり進んでから、30秒以上固まる。
瞳は虚ろで、表情は完全に抜け落ちていた。
「愛子……?」
遥人が肩を揺すると、愛子はハッと我に返った。
「……ごめん。ちょっと、ぼーっとしちゃって」
遥人は心配しつつも、
「あと2日だ。大丈夫」
と自分に言い聞かせた。
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