「ボタンの言葉を変えればCVRは上がる」は正しいけど、"変えると下がることもある"ギャンブルになるかも
「ボタンの文字って、何にすればCVR上がりますか?」
これ、めちゃくちゃよく聞かれます。
で、たいていの記事や本や動画は、こう答えます。
「送信」はダメ。もっと具体的な言葉にしろ
「詳しくはこちら」もダメ。何の"こちら"か分からない
「今すぐ購入」みたいに、強い動詞を使え
はい、全部その通りです。僕も基本的に同意します。
というか、これ、僕が書いた本(『最強の一言』)でも、ボタンの「やってはいけないNG原則」として、真っ先に挙げている内容です。
「送信」はやめよう。「詳しくはこちら」もやめよう。ユーザーがやりたい"次の行動"をそのまま書こう、と。
……なんですが。
自分で本にそう書いておいて、こんなことを言うのもアレなんですけど。
この通りにやって、CVRが「下がった」ことも、正直、何度もあります。
今日はその話をします。
「ボタンの言葉を変える」って、実はけっこう危ない。
"変えれば上がる"んじゃなくて、"変え方を間違えると下がる"。
ここがすっぽ抜けてる記事が、多い気がしていて。
この記事で言いたいのは、次の3つです。
「送信を変えろ」は正しい。でも"変えれば上がる"は言いすぎ
効くのは"強い言葉"じゃなく、"具体的な次の一歩"
本当の勝負は、ボタンの中じゃなくて「上」と「下」にある
順番にいきます。
1.「送信を変えろ」は正しい。でも"変えれば上がる"は言いすぎ
まず、定説そのものは本物です。
ソーシャルメディアの専門家ダン・ザレラが40,000ものLPを調べたところ、「送信」ボタンを使ったページは、他の言葉より軒並みCVRが低かった。
別の調査でも、「送信」以外の言葉に変えるだけで、クリック率が最大3倍変わった。
だから「送信をやめろ」「"詳しくはこちら"をやめろ」は、間違ってません。
問題は、その先です。
「じゃあ強い言葉に変えればいいのか」と思って変えると、普通に下がります。
ひとつ、僕自身のLPの話を。
ボタンを「無料で学ぶ」から「無料で試す」に変えたことがあります。
"試す"のほうが軽くて押しやすいだろう、と。
結果、CVRは 9.4% → 6.4%。3ポイント下がりました。
"試す"は一見やわらかいけど、何を試すのかがぼやける。
軽くしたつもりが、曖昧にしただけだったんですね。
ネイルサロンの予約サイトでも、似たことが起きています。
「予約する」をいろいろ変えたテストで、
「予約へ進む」→ −1%
「このサロンで予約する」→ −20%
「メニューを選択して予約」→ +42%
同じ「具体的にする」でも、当たりはひとつだけ。
残りは全部マイナス、なんてこともある。
「変えれば上がる」じゃない。「変えると動く」。
上にも、下にも。
ここを混同すると、ボタン変更は、ただのギャンブルになります。
2. 効くのは"強い言葉"じゃなく、"具体的な次の一歩"
じゃあ、何が当たりを分けるのか。
僕の中の答えは、「強さ」じゃなくて「具体性」です。
もっと言うと、"押したあと、自分がどうなるか"がイメージできるかどうか。
例をいくつか。
ECの
「カートに入れる」を「商品をカートに入れる」に。
クリック率 13.6% → 35.4%。
2.6倍
主語を足しただけ。
特に高齢のユーザーに効きました。
「何を」やるのかが、一発で伝わるからですね。
BtoBの資料請求で
「無料で資料請求する」を「無料で資料を受け取る」に。
CVR 3% → 10%。
"請求"って、こっちが何か手続きさせられる感じがある。
"受け取る"は、向こうから来る感じ。
動詞の重さを下げただけなんです。
「ご予約はこちら」を「空き状況を確認する」に。
CVRが221%改善。
"予約"はまだハードルが高い。
でも"確認するだけ"なら押せる。
これだけです。
気づくのは、どれも「煽ってない」ことです。
"今すぐ"
"絶対"
"限定"みたいな強さじゃなくて、「押したら何が起きるか」を、ただ正確にしているだけ。
強い言葉は、慣れた人には効くこともあります。
実際「詳しく見る」を「今すぐ内容を確認する」に変えて、クリック率が8%上がったテストもありました。
ただこれ、もともと関心の高い人が多いページで、有意差は小さかった。
つまり"強さ"が効いたというより、そのページがもう温まっていた、という話でもある。
煽りは一時的に数字を動かすけど、再現しにくい。
"具体性"は地味だけど、裏切りにくい。
僕は、そう思っています。
3. 本当の勝負は、ボタンの中じゃなくて「上」と「下」
で、ここからが、一番言いたいところ。
ボタンの改善って、みんな「ボタンの中の文字」の話ばかりするんですけど、実際に効くのは、ボタンの"周り"だったりします。
僕はボタンを、3つの層で考えています。
ボタンの「中」:押すと何が起きるか(認知コストを下げる)
ボタンの「上」:なぜ、今押すのか(モチベーション)
ボタンの「下」:押さない理由をつぶす(クリックトリガー)
「中」は、さっきまでの話。
次の一歩を具体化する。
「上」は、行動する理由。
「残り2日」「あと3枠」みたいな、"今"動く動機ですね。
そして、地味に一番効くのが「下」。
人がボタンの"下"を見ているときって、実は一回「押さない」判断をしているんですよ。
「どうせ後で有料になるんでしょ」
「解約、めんどくさそう」って。
その、押さない理由を、先回りしてつぶす。
たとえば「キャンセル無料」「登録解除可」をボタンの下に足しただけで、CVRが +8ポイント 上がったことがあります。
「すでに2,742人が受講中」みたいな社会的証明も効く。
面白いのは、この一文、ボタンの"外"に置くと見られないことが多い。
だからできるだけ、ボタンの中か、すぐ真下に置く。
位置まで含めて設計です。
ボタンの言葉って、単体の言い換えクイズじゃないんですよね。
「上・中・下」で、不安と未来を配置していく作業。
そう捉えると、当てずっぽうじゃなくなります。
じゃあ、結局どうすればいいのか
まとめます。
「ボタンの言葉を変えればCVRは上がる」——これ自体は、本当です。
でも "変えれば上がる" じゃなくて、"変え方しだいで、上にも下にも動く"。
だから僕は、言葉をいじる前に、いつもこの順で考えます。
この人は、押す直前に何を怖がっている?(→ 下:クリックトリガー)
押したあと、何が起きると伝わればいい?(→ 中:具体的な次の一歩)
なぜ、今じゃないとダメ?(→ 上:モチベーション)
言葉を変えるのは、この3つを決めた"あと"。
順番が逆だと、ただのガチャになります。
ちなみに、いろんな事例を並べて、最後に残った共通点は、たったひとつでした。
読む人の不安を、1秒で消しているか。
強い言葉でも、うまい言い回しでもなくて。
結局、そこなんだと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
「あ、うちのボタン、これギャンブルになってたかも」と思った方は、まず"ボタンの下"だけでも見直してみてください。
いちばん低コストで効きます。
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