大人の時間さがし@壱 クラシック
ここは馬車道にある大人の癒やしの場。
以前から気になっていたお店だが、クリスマスの夜にはこんな時間があっても良いかな、と出かけた。
道すがら、クリスマスケーキを求めて列をつくるひとたち、同じくチキンを求めて並ぶひとたちを横目に黙々と目的地に歩を進める。

辿り着いた。
なんとも味のある暖簾。
そして、営業中の札。
書かれた文字からも手作りのメニューが想像される。

薄暗い階段を上がり、飾り気のないドアーを開ける。
「いらっしゃいませ」
女性スタッフの明るく穏やかな声がお出迎え。
予約の名を告げ、カウンター席を案内される。
今宵一番客のようだ。
レトロでシックな雰囲気で統一されていて、昔ながらの老舗蕎麦屋さんとは一線を画す。
JAZZが邪魔しない音量で流れていて、これもとても心地いい。

どれどれ、メニューを覗きお手並み拝見とまいろうか。

まずは、生ビールで喉を湿らそう。
冷えすぎず、ほど良い温度で飲み頃になっている。
お通しの胡瓜に添えてある豆味噌が熟成されていて良い塩梅の心地よい旨味に仕上がっている。
お通しからして、大人の通が喜ぶ設定だ。


カウンター席の目の前には、独特の楕円形の桶に徳利が仲良く浸かっている。
女性スタッフに尋ねたところ、センサーで常に一定温度で保たれていて、呑兵衛好みの「ぬる燗」状態でオーダーの度に即提供できるように経営者が編み出したようである。
ここにも大人が喜ぶ心遣いが施されている。

これは、もうぬる燗を呑まずには帰れまい。
いや、早く愉しんでみたい。
逸る気持ちを落ち着かせて、店内を見回す。

酔いが回る前に店内を案内しておこう。
カウンター席もいいけれど、ボックス席で親しい人達との大人の語らいも良いものだろうな、と妄想する。
ふふふ、誰を招こうか。

日に数度は、ここで店主が蕎麦を打つ。
因みに玄蕎麦はこの日は信州産を使用。

どこを見渡してもテーブル、床、壁ともにシックな感じで、照明も仄かで大人のムードを醸し出している。

いざ、蕎麦前から行ってみようではないか。
焼き海苔、板わさをオーダー。
海苔には、海老の昆布締め刺しがとても合うし好評だと薦められ、追加する。


待ってましたとばかりに、ぬる燗を所望。
10秒以内で提供され、驚くと同時に口に含むと程よい温度にくいくいと呑みが進んで行く。
そうこうしている内に焼き海苔が食べごろになった。
まずは、何もつけずに口に運ぶ。
香りがとても豊かでどこの海苔か尋ねると、長崎有明海産の物と告げられる。
入手がとても困難な一品のようである。

板わさの切り口にも店主の拘りが見てとれる。
見事な包丁さばきだ。

昆布締め。
これは、北陸の人間に間違いないと確信する。
家内が富山出身であり、昆布締めは富山に行って初めて口にした食べ物だ。
尋ねたところ、案の定、店主は福井生まれであった。
奨めてもらった焼き海苔に海老の昆布締めを巻いて食べると、海老の風味が海の香りで満たされ、確かに一段と美味しい物に生まれ変わる。
とても贅沢な食べ方で舌が喜んでいる。

赤海老を羅臼昆布で
締めている。
焼き海苔の箱については、メニューとして扱っている店舗が減少している事もあって、相当探し回らないと見つからないとこぼしていた。
蕎麦前には欠かせない焼き海苔。
江戸時代以来、粋な江戸っ子はそばが茹で上がるのを待つ間、焼き海苔や板わさで一杯やって、仕上げにそばを食べて帰るのが通例だったのに時代の変化で隅っこに追いやられてしまっているのはとても嘆かわしいことだ。
焼き海苔箱用の炭についても、京都のお香のメーカーの物を取り寄せて使っているという拘りようである。

京都 松栄堂
気がつけば、徳利が軽い。
スタッフさんと話し込みながら、アテを楽しんで呑み進んでいく間に呑み干してしまっていた。

如くの猫くんたちが何とも愛らしく
微笑ましい。
ぬる燗を再オーダー。
因みに、日本酒は長野飯山の「水尾」一品に絞っているそうである。
冷でもぬる燗でも呑めるものとして、チョイスしたようだ。
確かに色んなお酒を愉しみたいが、鮮度とかを考えると1品に絞るのは賢明な選択かも知れない。
飽くまでも、居酒屋ではなく蕎麦屋さんなのだから、経営姿勢としては好ましいと感じる。
ひとつ心残りだったのは、「塩氷〆冷酒」を頼み忘れたことだ。
一度燗つけしたお酒を徳利ごと冷水に浸けこんだ一品。
これは、美味しいに決まっている。
まったくもって、痛恨のミス。
続けて、「アボカドのおかかのせ」を所望。
冷え冷えのアボカドに上質なおかかの食感と香りが混然一体となって、良質なメニューに仕上がっている。
アボカドの食べごろ感といい、我が家で食べるアボカドと何故これだけ違うのか追究してみたいところだ。


続いて、「からしこんにゃく」をオーダー。
これまた良く出来た逸品である。
蒟蒻へのタレの染みこみ具合とカラシのバランスが絶妙だ。
こんな旨いアテがあれば、ついつい酒が進んでしまう。

これは合わせるには、白ワインが良いかも知れない。
国産白ワインを所望した。
勝沼醸造のアルガブランカ・クラレーザのお出ましだ。
さっぱりした呑み口でこれはドンピシャ、ストライクだ。

最後に、「揚げぎんなん」と「いんげんのてんぷら」を頼んだが、迂闊にもいんげんの画像は酔いに任せて撮り忘れてしまった。

焼き海苔箱で温めて
くれているが有難い
したたか呑んでしまった。
〆にそばを頼もう。
ここは、「からみおろしせいろ」で仕上げよう。
おろしと刻み葱をそば猪口に入れて、つるつると食べ進んでいく。
そばの麺は福井の平たい蕎麦麺に近い印象だ。

店主ともう少し話したかったが、開店して1時間もするとほぼ席も埋まってしまい忙しくしていたので、ほんの立ち話程度しか出来ず、ルポとしてはやや消化不良であったが、女性スタッフからは仔細にヒアリング出来たので良しとしたい。
詳しくは、下記をご覧頂きたい。
お出かけ希望の方は、電話で予約を入れてから行く事をお薦めしたい。

今宵も良い気持ちで酔った。
暖簾をくぐって店を後にしよう。
美味しい時間、癒しの時間、ごちそうさまでした。

#大人の時間 #JAZZが流れる蕎麦屋さん #馬車道 #蕎麦前
#蕎麦食推進クラブさざれ石 #食レポ #福井そば #食のルポルタージュ
いいなと思ったら応援しよう!
お読みいただきありがとうございます。よろしければサポートをお願い致します。いただいたサポートは活動費に使わせて頂きます。よろしくお願い致します。