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旨いそば食べに行こう!  ミシュランビブグルマンSELECT②

 ここはどこ?
いやいや、お店はどこ?

目白通りをてくてくと歩いて来たが、目指すお店が見当たらない。
まさか、この細い路地を入ったところにあろうはずが、、、ないよね?と思って恐る恐る抜き足差し足、キャットウォークよろしく歩を進めて行ったら、、、

あった~

無事到着でござる。


蕎麦おさめ

 開店時間前の到着で、流石に暖簾は下がっていないが確かにここに間違いない。
今宵は、昨年秋に新宿大庵で久々の再会を祝し会食したN氏が相手だ。
本人も遅れることなく到着。
我々の前には同じように恐る恐る物珍しそうな風情で足を運んできた男女3人組。同じように初見参なのだろう。

そして、後にも小さいお子さんを連れたリピーターとおぼしき若いご夫婦も並んだ。
流石名店である。
開店前からこの場所でしかも予約して来ているだろうから、その人気振りが窺われる。

開店前


立ち話をして遣り過ごしていたら、ほどなく女性スタッフが二人現われ暖簾を掛け入店を促した。
「いらっしゃいませ、どうぞ~ぉ。」

順番通りに入店する。


土間で靴を脱ぎ、鴨居に掛けられた蕎麦の札に目が行った。
せいろそば、粗挽そば、玄挽そばと提供メニューによって玄蕎麦を使い分けているのだ。
しかも全て在来種。
この拘りようからして、期待が膨らむ。

店内にはいると、予約席に通された。
仄かにJAZZが流れ、とても良い雰囲気だ。
しかも床暖房が施されていて、足元が快適である。

まずは、このおもてなし・・・・・が気に入った。

この雰囲気、いいですよー

池田満寿夫の木版画
「桃の園」が掛けられていた


ふたりして、お店に入るなり、おぉ~と目が輝きパシャパシャと画像に収める。
この静謐な空気感を席が埋まらない鮮度が落ちない内になんとか掌の中に封じ込めておこうと客室内をめ回すかの如く視線を送り、悦に入ってようやく席に着いた。

まずは、なにがなくとも黄金の泡水で乾杯儀式し再会を祝す。

お通しの鮭、大豆ともに濃く
もなくちょうど良い塩梅の
味付けである。器も良いよね。


さあ~て、本格的に蕎麦前にいっちゃいますよ。

迷いつつ、まずは3品を話し合って頼むことに。

・クリームチーズの粕味噌漬け
・板わさ “酒粕仕込みのわさび漬け添え”
・焼きみそ

個人的には、板わさのネーミングに惹かれた。
呑兵衛の心を掴むのが実に上手い。

クリームチーズの粕味噌漬け


クリームチーズは、ふにゃとした食感かと思ったら、しっかり水気を抜いてあって、意外とかっちりしている。
添えてある蕎麦チップはカリっとした歯応えでビールとの相性抜群。

そうこうしている間にネクストバッターボックスに期待大の板わさが登場。
焼き目が入ったツートンのお姿が凛々しい。
いや、美味しそう。

肉厚な蒲鉾でシギシギ、歯応えあって歯切れもいい。
こうなったら、ポン酒の出番である。

板わさ 
“酒粕仕込みのわさび漬け添え”


う~ん、これは迷う。
緑川以外どれも口にした事がない銘柄である。

呑兵衛ミーティングがスタート。
吟醸、大吟醸の吞み口がスムース過ぎるのはパスで意見一致。

残るは未体験の天青と廣戸川の二択である。
お任せします!との声に、では首都圏神奈川を裏切って福島をチョイス。
廣戸川 特別純米(福島/夢の香)に決定した。
因みに「夢の香」は、福島で育成された酒米の品種だ。

いつものように、ぬる燗を所望。


この風貌みてくれに期待が高まる


徳利を持った瞬間、この手触りの良さに旨さが倍増しそうだ。
おまけにお猪口がこれまた良い開き具合で、手触りが良いだけでなく口に運ぶと呑み易さを加速させる感じだ。

そのうえ、「廣戸川 特別純米」。
実に華やかで吞み口の良いお酒である。
フルーティーなどというと俗っぽい言い方になってしまうが、何だろう?
よく呑み易さから❝キケンなお酒❞という形容があるが、そこまで軽やかでなく、それでいて旨味もあってキレもよく呑み易いお酒である。

ツマミの邪魔もしない代わりに、お酒だけでくいくい呑めてしまうタイプなのだ。
2人して顔見合わせながら、「いや、この酒美味いね。」の重唱ハモリである。
呑兵衛が2人揃って声を上げたのだから間違いないと思う。

因みに、福島の日本酒というと「飛露喜」が有名ですが、余りの旨さに酒蔵のことが気になり調べてみました。

廣戸川を造っている松崎酒造(福島県岩瀬郡天栄村)は明治25年創業だから130年以上、地道に良質な酒造りをしている酒蔵会社。

全国新酒鑑評会において、福島県は4年連続で金賞受賞蔵数一位その多くが福島県清酒アカデミーの卒業生という名門でありながら、同校卒業生の松崎祐行氏が杜氏として跡を継いだのが弱冠26歳。

杜氏酒造業界においては若すぎる年齢での杜氏就任となりましたが、なんと杜氏一年目にして吟醸部門、純米部門において『平成23年酒造年度福島県新酒鑑評会』金賞受賞、大吟醸酒においては『平成23年酒造年度全国新酒鑑評会』で金賞を受賞しました。
2022年現在までに、なんと10年連続で金賞を受賞しています。
さらに「SAKE COMPETITION2016」では、純米酒部門で第二位を受賞するなど、その勢い、実力はまさに飛ぶ鳥を落とすが如くの大躍進を見せています。

酒専門店鍵やより引用


26歳で杜氏を継いだのが2008年というから今でも43歳という若さか。
この味に行き着いているのが素晴らしい。

特別純米「廣戸川」
精米歩合55%
日本酒度+2


あっという間に、徳利のお酒はカラになってしまった。
この旨さをもう少し楽しんでいたいので、廣戸川にまっしぐらである。

そうこうしているうちに「そばみそ」が到着。
おーこれは、「東白庵 かりべ」と同じ提供方法だ。
流石、同じ竹やぶの門下生だ。
どのメニューにも言えるが、焼物への拘りとかが共通項である。

やきみそ


いかん、酒がどんどん進んでしまう。
難なく2合目もカラに。(笑)

廣戸川 2合目付近


緑川 3合目付近


すでに良い心持ちただの酔っ払いで記憶が定かでないが味変で3合目は緑川(緑川酒造/新潟:日本酒度+4)を所望。
廣戸川にぞっこんとなってしまった舌には、かなりどろっと重味があって癖のある感じがした。
初めにこちらを呑んでいれば、多分違った印象だったと思うが、廣戸川の舌がすでに出来上がってしまっていたので呑む順番を間違えたようである。

合わせて肴を追加。
「帆立の西京味噌漬け焼き」「生湯葉刺し」「ぜんまい」を頼んでいたようだ。(ぜんまいを食べた記憶しか残っていないのは何故?)

帆立の西京味噌漬け焼き
ぜんまい
生湯葉刺し


ぜんまいの煮付がほどよく薄味に仕上がっていて絶妙で酒の供として良い役目を果たしていたが、残念ながら帆立と湯葉についての印象が残っていない。
無駄に酔って酔いに任せて、品の良い逸品に対する記憶は遠き彼方に消えてしまったようだ。

画像が残ってないが、ここでさらに廣戸川に戻して4合目に突入。
「いやー、この酒旨いねー」ということに行き着いた。

シメに入る前の助走で「玉子焼き」、合わせるは麦焼酎の水割り。
麦麦旭万年むぎむぎあさひまんねん(渡邊酒造/宮崎)

玉子焼き


麦焼酎
麦麦旭万年むぎむぎあさひまんねん


さあ~て、長い長い蕎麦前で準備は整った。
シメにまいろうではないか!

いろいろ試してみたいところだけど、それは別の機会に。
今宵はこれだけ呑んで食べた後なので、せいろでビシッとしめよう。


薬味は
上中央が紫大根のおろし
下段右が山葵、塩

まずは麺だけを口に運ぶ。
蕎麦の香りが噛むたびに鼻腔に抜けていく。
続いて、塩だけで味わう。
塩味と混ざり麺が持つ本来の甘さが引き立つのを感じる。
品種改良によって洗練されていない野生の本能がしっかりと息づいている。
在来種に拘っているのが頷ける旨さなのだ。

さて、つゆにつけて食べてみよう。
濃い目で出汁の利いたたれだが甘味もあって、そばの旨味を邪魔せず喉越しよく味覚脳を刺激し加速させていく。
「うまい!」
と、ここでも重奏ハモリが炸裂。

玄蕎麦は、宮崎椎葉村の在来種使用。
かなり酔ってはいたが、美味いものは旨い。
ノー文句の美味しさである。

これは出来たら、アルコール漬けの舌になる前、少なくとも徳利1本の状態で試さないといけない代物である。


蕎麦湯も美味かったー

そば猪口の絵柄が可愛く素敵であったが、ボケボケで再現出来ず。






さて、酔ってばかりもいられない、お仕事お仕事。
いや、仕事ではないが気を張ってルポルタージュ敢行。

お会計を済ませ、出口付近から厨房を覗き込み女性スタッフに声をかけた。

E:「すみません、ちょっと店主さんにお話伺うことできますか?」
名刺を手渡し、相変わらず図々しく切り込む。


納 剣児さん
画像は、ヒトサラよりお借りしました。

お:「はい、私、おさめと言います。」

E:「noteというサイトで蕎麦食推進クラブなるものをやってまして、シカジカガクガク、、、。昨年暮れには調布の「東白庵かりべ」さんのところにもお邪魔して、苅部さんに少しお話させてもらって記事も書かせてもらったんですよ。確かご一緒に仕事されてましたよね。お二人とも柏の竹やぶ、ご出身と伺っています。」

お:「そうなんです。18歳から修行に行かせてもらって、その後苅部さんのところで一緒にやっていて独立して西麻布で店を開き、ここに移って2年過ぎて3年目ですね。」

E:「ところで、納さんという姓は珍しいんですけど、どちらのご出身ですか?」

お:「よく言われます。神奈川の戸塚出身なんですけどね。」

E:「あー、そうなんですか!失礼ですけど、まだお若いですよね?」

お:「37歳です。」

E:「そうなんですね。お若いのにこんな素晴らしいお店持たれていてすごいなー。こちらのお店は落着きがあって、蕎麦前のどのツマミも選りすぐれた美味しい物ばかりだし、お酒も美味しかった。おそばは在来品種だけに拘ってらっしゃるのも素晴らしいし、シメのせいろもとんでもなく美味しかったです。
また、日を改めて寄らさせていただきますね。
あ、今日の記事にして上げさせてもらってもいいですか?」

お:「全然ぜんぜん、是非お願い致します。」

おさめ 剣児けんじ さん
神奈川県戸塚出身、37歳。
小学生の時に長野戸隠の蕎麦を食べて、蕎麦の魅力に憑りつかれ辻調理専門学校卒業後、18歳で柏「竹やぶ」に弟子入りし3年修行の後に同じ竹やぶ出身の苅部氏の元で5年間共にしたのちに在来蕎麦に特化した店として2018年に独立し西麻布で「蕎麦おさめ」を開業。
目白の現在地には2023年に移転し現在に至る。

尚、同店には元サッカー選手で現在日本酒や日本文化を発信して実業家でもある中田英寿さんも移転前からお気に入りで訪れているようである。
詳細はこちらをご覧ください。➩ GOETHE

勲章がたくさん


気がつけば、良い時間だ。
滞在時間3時間半。
良く呑み、良く食べ、良く語りご満悦の一日であった。



店に着席するなり、N氏からの手土産をいただいてしまった。
流石、東京っ子、土産の品も気が利いている。
ちょこっと、ご紹介しよう。

東京の三大どら焼きのひとつ、草月の「黒松」である。

個人的には、広小路「うさぎや」もしくは日本橋「うさぎや」ファンだったけど、この日を境にどら焼きのレパートリーが増える事になった。

草月の「黒松」

これは、うさぎやのどっしりと粒餡が詰まった物と違って、まずは生地がふわふわと軽くて餡の甘味も抑え目でとても品よく食べ易いどらやきなのだ。

更に面白い事に、このどら焼きを頂いてから数日後、たまたま家内が立ち寄った新宿小田急の食品売り場にて期間限定販売が催されており、期せずして東京三大どら焼きのもう一つの名品、浅草亀十のどら焼きまで知る事になった。

まさに引き寄せの法則で、この歳まで三大どら焼きのひとつしか知らなかったのだが、一気に東京三大どら焼きを制することに相成った。(笑)

亀十のどらやき
白餡、黒餡
浅草 亀十のどら焼き
ド迫力の大きさ



以上で、旨いそば食べに行こう!ミシュランビブグルマン②をお開きにしたいと思います。

(反省)
美味しい肴とお酒が揃っていたので、嬉しくなって呑み過ぎてしまいました。
出直してほどほどの状態呑んでも徳利1本で次はしっかりお蕎麦と対峙したいと思います。



おわり






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