【創作大賞2025】あの夏、仮面を描いた後輩が、Switchをくれた
🎨本作は、note創作大賞2025・エッセイ部門 応募作品です。
【冒頭】マスクより、仮面のほうが落ち着いた頃
流行り病の、夏のはじまり。
マスクの下の表情を、
誰も気にしなくなった頃。
ぼくは「マスクより仮面のほうが落ち着くな」なんて、
冗談とも本音ともつかない言葉を口にしてた。
あの頃は、まだ前の劇団にいた。
稽古は止まり、舞台も延期。
ぽっかり空いた時間のなかで、
何かを探してたぼくに、
ある後輩からLINEが届いた。
「先輩、お疲れ様です。Switch、ザバツーシティーの電器屋にまだ在庫あるみたいです」
差出人は、エル・タクミス。
劇団の後輩で、
ぼくのアイコンを描いてくれた、
優しくて不思議な男だった。
✡︎
【第一幕】片道90分、仮面の外で話す時間
片道1時間半。
海沿いの田舎町まで、二人で車を走らせた。
当時の劇団は、今の倍くらいの人数がいて、
そのぶん人間関係もいろいろと複雑だった。
その中でタクミスは、
数少ない“本音を言える存在”だった。
「あの、俺……漫画を描きたいんです」
「昔からずっと好きで、その夢だけは諦められなくて」
彼は、ぽつりぽつりと本音を話してくれた。
ぼくは運転しながら言った。
「絵を描けるって、本当にすごいよ」
「ぼくは、まったく描けないからさ……」
少し照れたように笑いながら、こう続けた。
「タクミスくんの絵、好きなんだよね」
「だから、できれば続けてほしいなって思う」
そのときは、まだアイコンを描いてもらってなかったけど、
彼の描く線には、どこか人の心を映す力がある気がしていた。
✡︎
【第二幕】仮面の理由なんて、話してないのに
あとになって、
彼が送ってくれたラフスケッチを見たとき、
息が詰まりそうになった。
そこに描かれていたのは、
まだ誰にも見せていなかったはずの、
ぼくの仮面そのものだった。
……何も話してないのに。
仮面をつけた理由なんて、言葉にしたこともないのに。
けれど彼は、まるで最初から知っていたように、
迷いのない線で、それを描いていた。
きっと彼には、見えていたのだろう。
ぼくが隠していたものも、
まだ気づいていなかったものも。
言葉じゃなくて、線という言語で。
(.....冗談抜きで絵がうまいんですよ!)
✡︎
【第三幕】Switchと、もうひとつの贈り物
Switchは、無事に.....いや、奇跡的に手に入った。
店員さんに聞いたときに、
「通常モデルはすべて売り切れです」と言われた。
「ああ、やっぱりね……」
そう思ったその直後。
「ただ、『どうぶつの森』デザインのSwitchが3台だけ残ってます」
「ふぉえぇぇぇー!!!( ゚д゚)」←本当こんな感じ。
思わず、タクミスと顔を見合わせた。
なんだよそれ、って笑いながら、
まるで持ってかれてるみたいな気がした。
結局、ぼくはその限定モデルをひとつ手に取り、
帰りの車内で、箱を何度も見つめた。
……これでメイセと遊べる←こら

実はその少し前、
タクミスは、メイセに新品のSwitch Liteを譲ってくれていた。
「彼女さんに……よかったら」と、
余っていた在庫を、ぼくに渡してくれた。
メイセはすぐに『どうぶつの森』を始めて、
しかも好きなキャラのシールでSwitchをデコって←すごいのよw
それを見たぼくはというと、
「……いいな。ぼくも欲ちぃ」って、
思ったのが正直なところだった←こにゃろ
……それが、あの日のドライブのきっかけという。
✡︎
【終幕】仮面の下が揺れるときは
彼は、ぼくの仮面の生みの親みたいな存在だ。
静かで、
おとなしくて、
でも情熱だけは、誰よりまっすぐ。
ルーシャともギシンとまた違う、
けれど確かにぼくの味方だと、
そう思えるやつ。
「ダムズさん、仮面の下が揺れてるときは……また一緒にドライブでも行きましょう」
今なら、そう言ってくれる気がする。
✡︎
【おわりに】
5年前の、夏のこと。
あのドライブがなかったら、
きっと“仮面”は今の形になってなかったと思う。
タクミスくん、
君の優しさは今もちゃんと残ってるよ。
Switchといっしょにね。
※ちなみに「ザバツーシティー」は架空の地名です。
モデルは……ご想像におまかせします(笑)
✡︎
🎭あとがき
いかがだったでしょうか?
今回は、5年前の夏にさかのぼって、
エル・タクミスとの思い出を振り返ってみました。
Switchを探しただけのドライブが、
いつのまにか“仮面の理由”と重なっていたことに、
書いてみて改めて気づかされた気がします。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました🎭✨
📣【マガジン・SNSのご案内】
🪞「仮面のままの1日」シリーズは
👉 マガジン『ピエロの日常』 にてまとめてます!
📲 SNSでは、仮面の下のひとことなども更新中!
• X(旧Twitter):@eldumnez_clown
• Threads:@eldumnez_clown
• Instagram(仮面アカウント):@eldmz__clownlife
そしてもし、「ちょっと良かったな」と思っていただけたら、
コメントやチップをもらえると、仮面の下でこっそり喜びます、よっしゃ🤡←おい
そして、
銀のピエロスーツに、顔に合ってないサングラス。
焼き鳥とホイップを愛し、
時に話が長く、時に手が近すぎる。
我らが団長、ドン・グベ。
そんな彼に、まんまと振り回された
ぼくの“職場という名の劇団”の日常を綴った物語。
次回、
『うちの団長が色々振り回してくる件 Vol.1』
怒号とポロシャツと、ダブルデート未遂。
仮面をかぶったまま、笑うしかない物語。
近日公開です。
それでは、にゃは⭐️
いいなと思ったら応援しよう!
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。
もし、この記事があなたの心に少しでも届いたなら、
チップやスキで応援していただけたら嬉しいです。
仮面のまま、でも確かに書いていきます──。