【番外編】なんでワシ、クリスマスイブなのにスタジオにおんねん!!
(ピアノとサックスによる、ジャズ風の落ち着いたBGM)
はい、こんばんは。
身長10cmの青ジャージ、小さいおっさんやで。
今日は12月24日、クリスマスイブやな。
街はキラキラ、カップルはイチャイチャ、チキンはバタバタ……。
……って。
いやな、聞いてや。
ワシかて、今頃はこたつでみかん食べて、テレビでも見て笑ってるはずやってん。
それがどうや。
番組プロデューサーから「おっさん、イブの夜に独りで過ごすリスナーに寄り添ってや」なんて言われて、この狭いスタジオに閉じ込められとる。
寄り添うって何やねん。
ワシの身長10cmやぞ?
寄り添ったところで、相手の足首あたりを温めるのが精一杯やわ!
(♪~『小さいおっさんの、心が軽くなる人生相談~!』~♪ ←おっさん本人が歌っている、ちょっと音程が外れたジングル)
まあ、ブツブツ言うてもしゃあないな。
せっかくのイブや。
今日は相談メールも読まんと、ワシの昔話をダラダラ喋らせてもらうわ。
皆さんは知らんかもしれんけどな、ワシら妖精界にも『若手時代』っていうのがあんねん。
金がなくてな、『サンタクロースのプレゼント配達・補助業務』のバイトしたんや。
サンタさんって、皆さんイメージしてるのは、赤い服着た太ったおじいさんやろ?
あのお腹、あれ演出ちゃうねん。ガチの脂肪やねん。
やから、家のエントツとか、サンタさんは通れへんねん。
ま、今どき、家にエントツのあるうちなんか、ほとんどないけどな。
そこでワシの出番よ。
家の適当な隙間からスルッと侵入して、内側から窓の鍵を開ける。
やってること、ほとんど空き巣やからな!
一番キツかったのは、ある家の飼い猫に見つかった時や。
猫からしたら、ネズミよりちょっとデカいくらいのワシが動いてるんやから、絶好のオモチャやんか。
もう、そこからは命がけの鬼ごっこ。
最後はツリーのてっぺんの星にしがみついて朝まで震えてたわ。
翌朝、その家の子が「サンタさん、変なおっさんのフィギュア置いてった!」って喜んでたけど、ワシ、それ腰抜かして動けへんかっただけやねん。
(少しテンポの速い、コミカルなピアノ曲へ)
あと、もう一つ忘れられへんのが、サンタの親分とのやり取りや。
あのじいさん、ああ見えて結構、雑やねん。
ある時な、トナカイのソリの上で地図広げながら、「おい、おっさん! 次はあそこの家な!」って指差した先が、なんと警察署やってん。
ワシ、必死で止めたわ。
「親分、あそこに不法侵入したらワシ、塀の中で年越しやで!」って。
そしたらサンタのじいさん、「おっと、間違えた。ワシも歳かな、ホッホッホ!」とか笑うてんねん。
ホッホッホ、ちゃうわ! こっちは命がけや!
しかもな、休憩中にサンタが何飲んでるか知ってるか?
ホットミルクとかやと思うやろ?
あいつ、水筒に『ほどよく熱燗にした酒』入れて飲んでんねん。
「冬の夜空は、熱燗が一番染みるのぉ……」
って、どこの居酒屋のオヤジやねん!
あの真っ赤な衣装から、酒の匂いぷんぷんさせてプレゼント配ってたからな。
(BGMが、きらきらとしたオルゴールのような温かい曲調に変わる)
……まあ、散々な思い出ばっかりやけどな。
でも、一つだけ今でも鮮明に覚えてることがあんねん。
明け方、最後の配達が終わってな。
朝日が昇る直前の、一番冷え込む時間帯や。
ワシもサンタのじいさんも、クタクタになってソリの上で震えてたんや。
そしたらサンタが、ワシの背中を指先でポンポンって叩いてこう言うたんや。
「おっさん、ありがとうな。お前さんが窓の鍵を開けてくれたから、今年もあの子たちの笑顔が見られたわい」
……って。
その瞬間、不思議と寒さが消えてな。
ああ、誰かの喜びの裏側で、コソコソ必死に動くのも悪くないなって。
青ジャージが真っ赤なサンタ服に負けないくらい、誇らしい気持ちになったんや。
(エンディングの優しいメロディ)
今、このラジオを聴いてる君。
もし君が今夜、残業や夜勤の仕事をしていたり、あるいは一人で静かに孤独に耐えてたりするなら。
それは、君が誰かの助けになっているか、自分自身を必死に守ってるっていう、尊い時間なんやで。
誰も見てへんかもしれんけど、どこかで酒の匂いをさせたじいさんと、青ジャージのワシだけは、「よう頑張ったな」って君に拍手送ってるからな。
今日は自分に、小さなご褒美でもあげてや。
それでは、素敵なクリスマスの夜を。
🎄メリー・クリスマス🎁
君の心に、素敵な灯火が灯りますように。
おやすみ。またな。
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