葦の情熱
例によって大晦日は、何にもすることがない。ので実家の布団に横たわったまま腑抜けながらも、頭ではただただ考えを巡らせている。
師よ、これが人間は考える葦と呼ばれる所以でしょうか。
今年はどうしてこうなったのだろう、来年はどうしていこう、どうして年越しは蕎麦なのだろうなど考えているあいだに、老朽化が進んだ実家の洗濯機がジェット機みたいな爆音を生み出したのち止まった。すかさず私は、どうして実家の洗濯機がジェット機みたいな爆音を生み出せるのだろうと考えた。勿論その間体を起こすことすらせず、微動だにすらしない。
私は考える葦なのだからね。それだけで普通に誉高いよね。
年越しに蕎麦を食べることは、1年の厄災や苦労を切り捨てて翌年に持ち越さないように、という願いが込められている。他の麺よりも切れやすいので、不運や苦悩を切り捨てやすい。細長いことから健康や長寿へも効果があるとのことだ。
「いらんことだけ切れるわけないやろ!
良縁も切れてまうんやないの!」
記憶に新しいバッテリィズが、頭の中で叫んでいる。今年のM-1グランプリも本当に良かった。芸人によって救われて、今年も一年間健やかに毎日を過ごすことができたことをその日改めて理解した。もちろんその中で楽しいことも辛いこともあったが、殆どは笑いで昇華することができること、心の安寧のはかりかたをここ数年で彼らから学んだのだった。頭の中ではジャルジャルが叫んでいる。みんな私のヒーローだ。
「いや蕎麦は細くて長くて軽いよ!
質量としては段々軽くなっちゃうだろうがよ!」
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「僕らは’アース’ステージに興味はありません。
あなたの’明日’を歌いにきているんです。」
一昨日、千葉の幕張メッセで開催されたCOUNTDOWN JAPANにて出演したアーティスト【四星球】のフロントマンから放たれた言葉だった。自らをコミックバンドと評する彼らは、趣向を凝らした笑いと演奏で会場を盛り上げるパフォーマンスで人気を博し、観客に勇気と元気を与え続けている。
本来出演を予定していた体調不良のアーティストの代理で、彼らの出演は3日前に決まった。アウェーな場所にもかかわらず、普段通りコスプレやボケをキャッチーな音楽にのせて会場を沸かし「こんなこと、僕らにしかできない」と圧倒的な自信に満ち溢れた発言でオーディエンスの心を掴んだ。あの場所で、首を横に振る者はいなかったはずだ。
会場は大・中・小で3つあり、アースステージというのは一番大きいステージである。多くのアーティストがそのステージを目指すなかで、彼らは中サイズのステージ上でそう話した。誰か一人を笑わせて勇気づけること自体骨が折れるほど難しいことにも関わらず、こんなにも多くの人が笑っている。そう考えていると自然と涙が溢れてしまうほど、素晴らしいステージだった。
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話をM-1グランプリに戻したい。というか、先週からことあるごとにこの大会のことを思い出して、体が燃えるように熱くなっている。時間をM-1グランプリに戻したい。
【俺たちが一番おもしろい】と信じ続けていたから、
【お前たちが一番おもしろい】と今信じられているのだと思う。この情熱を来年も再来年も、その先もずっと自分のなかで大切にしていきたい。
散々横になって考えていたが、最早年越しだから蕎麦なのではなく、蕎麦なんていつだって食べたいので理由をつけているだけという結論に至った。エーつまりゴホン
ただ、蕎麦にしたいだけなのである。
そしてまた来年も大切な人達と健やかに笑って、
ただ、側にいたいだけなのである。
来年もよろしくお願いいたします。
