Netflix等の独占配信 規制を検討へ=WBC問題に対応=自民党
◎Netflix等の独占 規制を検討へー自民党
地上波で見られないWBC批判に対応
自民党の情報通信戦略調査会は、野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックの試合が地上波で観戦できないことに批判が高まっていることを受け、Netflix等の有料配信事業者の独占配信を事実上規制する方向で検討に入る方針を固めました。
この規制には配信事業者からの反発も予想されますが、韓国では同じような規制の導入によって、WBCの地上波での放送が実現していることから、自民党では大きなスポーツイベントに限り、規制を導入すべきだとの判断に傾いています。
WBCのような大きなイベントについて、視聴の権利を幅広く確保すべきだという権利のことをユニバーサル・アクセス権と呼びます。今回のNetflixによるWBC独占配信のようなケースは、このアクセス権が確保されていないことになるため、自民党では法律でこのアクセス権を明確に位置付け、大きなスポーツイベントに限り、一般の視聴者が無料で観戦できる仕組み作りに踏み切るべきだとの意見が広がっています。
韓国では、法律で大きなスポーツイベントをクラス分けし、オリンピックやサッカーW杯といった最上位のイベントは90%以上、WBCについては75%以上の世帯が視聴可能になるよう求めています。このため今回のWBCでは、配信事業者と並んで地上波の放送局も試合を放送。韓国戦を中心に高い視聴率を記録しています。
一方、Netflixが試合の映像による中継を独占しているため、ライブで観戦できるのは全世帯の3割にも満たないとみられます。WBCの試合は、前回まではTBSとテレビ朝日が日本戦を中心に生放送していたことから、地上波で見られないことを直前に知った視聴者の間では混乱もみられました。
ユニバーサル・アクセス権の導入に際しては、どのスポーツイベントを規制の対象に選ぶのかを巡って、基準作りが難航する可能性もあります。例えばオリンピックのように公的な組織が主催するイベントと、米国のメジャーリーグ関係団体が主催するWBCのような大会を同列に扱ってもいいのかといった議論が予想されます。
また、多くのイベントに導入してしまうと、通信事業者の事業展開を過度に制限してしまうことから、相対的にマイナーなイベントの中継が、逆に減ってしまう恐れもあります。
ただ、韓国と同じユニバーサル・アクセス権を今回のWBCにも適用した場合、Netflixは日本のキー局やNHKのうち、最低でも1局に中継を認めるサブライセンス契約を結ぶ必要があるため、地上波でも日本の試合の観戦が可能になります。
また、キー局でもサブライセンス契約が可能な水準まで放映権料を抑制する必要も出てくるため、放映権料の高騰に一定の歯止めがかかる可能性もあります。
一方で、外資系を中心とした配信事業者の事業展開を制約することになるため、憲法が定めた「契約の自由」との兼ね合いが問題になるとみられます。また主催者側の収入抑制にもつながるため、「財産権」への制約が「公共の福祉」という観点で正当化できるかも、議論の焦点になりそうです。
自民党では、情報通信戦略調査会の下に設けた「放送の将来像に関する小委員会」で30日に議論を開始。5月末か6月初には一定の方向性をとりまとめる考えです。
