見出し画像

白いクレヨンは必要ない!

クレヨンの箱の中で
白いクレヨンはいつも孤独だった。

赤、青、黄色、緑
どれもがキャンバスに
色鮮やかな物語を描いていく。

けど、白だけが
手つかずのままだった。

箱の隅っこで
自分が必要とされないことを
感じながら
静かに時を過ごしていた。

「なんで僕だけ使われないんだろう…」

白いクレヨンは独り言をつぶやいた。

「それはお前が目立たないからさ!」

赤いクレヨンが笑いながら答えた。

「僕たちはみんなの目を引くんだ。
 でもお前はただの白。
 紙と同じ色だから
 誰も気にしないんだよ。」

白いクレヨンは
その言葉に傷ついた。

けど、何も言い返せなかった。

自分の存在価値を
見いだせないまま
毎日を過ごしていた。

ある日、新しい絵を描くために
子供たちがクレヨンの箱を開けた。

いつものように赤や青
黄色のクレヨンが次々と取り出され
画用紙の上に
鮮やかな色を広げていった。

白いクレヨンはまたしても
取り残されると思っていた。

しかし、その日は違った。

小さな女の子が
白いクレヨンを手に取り
にっこりと笑った。

「この白いクレヨン、使ってみよう!」

白いクレヨンは驚いた。

何かが変わる予感がした。

女の子はキャンバスの上に
白い線を引いた。

すると、不思議なことに
白いクレヨンの線は
他の色と混ざり合い
美しい光の反射を作り出した。

「わぁ、キラキラしてる!」

女の子は歓声を上げた。

他のクレヨンたちも驚いて
白いクレヨンの
新しい一面を見直した。

「見てみろ、白いクレヨンが
 こんなにも美しい役割を
 果たしている!」

青いクレヨンが感嘆の声を上げた。

白いクレヨンは
初めて自分の価値を
見つけた気がした。

自分も他のクレヨンたちと
同じように
キャンバスに美しい物語を
描くことができるのだ。

その日から、白いクレヨンは
他の色たちと
一緒に使われることが増えた。

雪の景色や光の反射
水の透明感を表現するために
白いクレヨンは
欠かせない存在となった。

彼はもう孤独じゃなかった。

「みんな、ありがとう。
 僕も一緒に絵を描けることが
 こんなに幸せだなんて思わなかった。」

白いクレヨンは仲間たちに
感謝の気持ちを伝えた。

「僕たちこそ、お前の力を
 見逃していたことを謝りたい。」

黄色いクレヨンが答えた。

「白がいなければ
 僕たちの絵は完成しないんだ。」

それ以来、白いクレヨンは
いつも笑顔で
他のクレヨンたちと一緒に
美しい絵を描き続けた。

彼はもう、ただの白ではなく
キャンバスに光と陰影をもたらす
重要な存在となった。

いいなと思ったら応援しよう!