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ほのかちゃんに ほのかに恋して♥ー4ー

初回からは、こちら⬇文末にそれぞれ次の回の貼り付けがあります。

次の日の朝、僕が登校していると、川の土手の昨日と同じ場所にほのかちゃんが佇んでいた。
川からの風に、ほのかちゃんの細く長い髪がキラキラ……。

(ほ、ほんとに僕を待っている)

僕は、目をまん丸にした。

僕は、制服のポケットの昨日の香水(アロマ)の名前をメモした紙をちゃんともう一度見て確認し、少し俯きながら歩いていった。

「お、おはよう……小此木(おこのぎ)さん」
「おはよう。あ、なんて呼べばいいのかしら?」

(……そういえば、僕は自己紹介していなかった)

昨日は、突然のことで びっくりして、ほのかちゃんの名前を憶えるのと、アロマのことで、僕は頭の中が一杯になり、そのままになってしまっていた。

「あ、ごめん、僕、新田浩之。東高校の2年生」
「新田くん?よろしく。同じ歳ね。東高校といえば、すぐ隣ね。行事のときには、よくうちの高校にそちらの生徒が遊びに来るわ」
「うん。僕も去年の文化祭はそっち行ったよ?こちらにも、冨永女子高は来てるね」

よく隣り合わせの男子校と女子高は、なにか行事があるとお互いの生徒が往き来する。勿論、恋愛的なシタゴコロで。

「で、ところで……」

僕は、一回咳払いを勿体つけたように どこかのお爺さんのようにコホンとして、ポケットのメモの文字を思い出す。

「昨日の香り、アロマで『スウィートオレンジ』ってんだ」

心のなかで、えっへん!と。

姉さんがアロマの専門店で3000円もかけて買ってきたらしい。高校生には、少し割高。

「『スウィートオレンジ』……柑橘類ね」

ほのかちゃんは、にっこり微笑う。鳶色……、というのだろうか。瞳を輝かせて。

「ありがとう。助かりました。お礼に……」

と、ほのかちゃんは、制服の後ろに背負ったリュックから、ガサガサとなにやらシャレたリボンで結いた小さな袋を取り出し、
「はい」
と、手渡す。

小さな透明な袋に詰められた、お茶のティーパックが5、6個程。

僕が、この突然の手品のようなことに、何も言い出せずにじっと見て固まっていた。すかさずほのかちゃんは、

「これをお湯でお茶を点てて寝る前とかリラックスしたいときに飲むの。いい薫りがするわよ?」

僕は、クンクンとそれを嗅ぐ。たしかに深みのある、りんごに似たいい匂い。

「効果があるから試してみて。とっても寛げるから。カモミールっていうお茶なの」

僕が、不思議そうにその古いヨーロッパのカラクサモヨウのような絵のティーパックの包みを見ていると、ほのかちゃんは、颯爽と自転車を漕ぎ、去っていこうとした。 

「ありがとう!新田くん!疲れたときにはそれ飲んでね!……きゃあ!」

今度は、ほのかちゃんが、土手のちょっとした段差で転んでしまった。自転車ごと。



            つづく


©2023.6.30.山田えみこ

次回⬇


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