歴史のリレーの中に居る
カメラマンは腰痛持ちが多いと思う。
昔のカメラは大きく、三脚もライトも重かった。ロケへ行く日は、引っ越し屋さんのような荷物を運んでいた。それに比べれば今の機材はずいぶん軽くなった。それでも取材先で「大荷物ですね」と言われる。そのたびに「今日はかなりコンパクトなんだけどな」と心の中でつぶやいている。
腰痛の原因は荷物だけではない。同じ姿勢で長時間撮影したり、前かがみになったり。最近は撮影後のパソコン作業も長い。
これまで整体や整骨院にもずいぶん通った。でも結局、毎日のストレッチと、月に一度の鍼灸という結論に至った。
鍼を打ってもらうと、「そこ!」という場所に当たることがある。詰まっていた何かがビビッと流れ出すような不思議な感覚だ。髪の毛ほどの細さなのに、どうしてそんな仕事ができるのか。人体のツボというものは、本当に面白い。
そして帰宅すると、決まってぐっすり眠ってしまう。目が覚めると、体がちゃんと回復した気がする。不思議だ。
こういう、昔からあって変わらないものが好きだ。
最近、日本料理の「あしらい」を調べる機会があった。季節ごとに添える植物や飾り方には、昔から受け継がれてきた決まりがある。もちろん表現は人それぞれだけれど、基本は変わらない。
長く残っているものには、理由がある。流行ではなく、道理で残ってきたものなのだ。
一方で、インスタグラムのルールは次々と変わる。昨日まで正しかったことが、今日はもう違う。仕事だから追いかけるけれど、そのスピードに疲れることもある。
そんな日々だから、変わらないものに心が向くのかもしれない。長い時間をかけて残ってきたものには説得力があり、何より安心感がある。
流行は移り変わる。でも、何百年も続いてきた鍼灸や日本料理の知恵は、今も誰かの体を整え、季節を伝え続けている。
そんな歴史のリレーを、静かに走り続けている人がいる。
その人たちに会うと、なんだかホッとする。
