うちの猫はすぐに噛む
9月になってもまだ半袖で充分なくらい、
暑い。暑い。暑い。
今日、私の住んでいる地域では雨が降り、ずっと一日中薄暗かった。
なんというか、雨だとほっとするのは
たぶん、ちょっと疲れている証拠。
晴れていると、自分の心の暗さがより際立つような気がして
後ろめたい。
そんな中、うちの猫は、天気に関係なく元気だ。
これは実にありがたいことで、
人の枕によだれをたらしてぐっすりと眠りこけている姿を見ていると
胸が熱くなる。
ここでも少し書いたが、
昨年末から今年の春にかけてうちの猫は突然体調を崩して
ほとんどご飯を食べなくなった。
これは私にとって驚天動地の一大事だった。
もともと、うちの猫は
腹が立つくらい食い意地が張っていて
洗ったばかりのフライパンを
夜中になめ回すことで有名である。(一部の友人などの間では)
カップラーメンはセロファンを噛み破り、
容器ごと食べようとするし
オリーブオイルのキャップをベロベロなめ回す。
うちに来た初日に、小皿に出しておいた
味噌汁のための味噌にダイブした。
このヒトを飼い始めてから、食べものは一切外に出しておけなくなった。
台所がすっきりと片付いて助かった。
そんな猫がまったく食べなくなったので、
すぐに異変に気づくことができた。
かかりつけの動物のお医者さんに診てもらって
しかるべき処置と励ましをいただき
奇跡的に回復した。
本当にありがたかった。
本などに書いてある
「猫は具合が悪いと丸くなって寝ない」というのは
そのとおりだった。
回復するにつれ、だんだんと体の緊張がほぐれるように
尻尾に鼻をうずめてまるくなって眠るようになった。
今日もうちの猫はベッドのど真ん中で
まるくなって寝ている。
私が冷蔵庫を開けると
すぐ目を覚まして飛んでくる。
「エマのじゃないよ」と言っても
台所で座って
おやつか何かが出てくるのをずっと待っている。
動物のお医者さんからは
「また症状が出てくるかもしれない」
「食べたいものを食べさせてあげてください」と
言われた。
去年の年末に言われた言葉が
ずっと今でも私の心にある。
もう17歳になったうちの猫は
その類い希なる食い意地で
私にたくさんの愛を伝えてくれていたのだと
その時、気がついた。
病気から復活してから、
今まで以上にわがまま放題のお姫様だけど
私にはそれが何よりもありがたい。
とにかくすぐに噛むのが悪い癖なのだが
今は噛まれることさえも
幸せに感じる。
そして、流血した指に絆創膏を貼りながら
「この傷が一生残ればさみしくないのに」と
思う。
