Dos Monosのライブがものすごかった
普段かなりインドアで、ましてや音楽ライブという激しそうなものとは無縁だったのですが、Dos Monosのライブはそんな自分もがっつりと熱狂に巻き込んでくれて最高だった!という話をします。
まずDos Monosを知らない人は、なにはなくとも彼らの曲を聞いてみてください!
自分は初めて聞いた時、今まで聞いたことのある音楽のルールとは違うルールで音が鳴っている気がして、それなのにかっこいいことだけは分かるという「なんじゃこりゃ」状態になりました。
ラップの内容も、1曲の中に何か共通のメッセージがあるのかと思いきや、三者三様にバラバラのことを歌っているようで、あれよあれよと煙に巻かれるうちに曲が終わり、しかしそれがクセになる、なんとも不思議な感覚に陥りました。
そもそもDos Monosの存在を知ったのは、オモコロがきっかけでした。
ダ・ヴィンチ・恐山さんが好きで追いかけていたら、『脳盗』という怪しげなラジオにゲストに呼ばれていて、そのパーソナリティの一人がTaiTanさんでした。
そこから『奇奇怪怪』『流通空論』と、TaiTanさんのポッドキャストも聞くようになり、ふっとい本は出すわ、なんでも盗めるイベントはやるわ、変で面白い人だなあとリスペクトの念が高まっていったのですが、どうやら本業(?)はDos Monosというラップグループのメンバーらしいぞということを知ることになります。
それで曲を聞いてみたら上記のようにくらってしまって、メンバーの荘子itさんと没さんがトラックを作っていることを知ります。
荘子itさんはめちゃくちゃ博識で、いつも雲の上の話をされているように感じました。
没さんはたまにインスタでゲリラ的に暗闇の中でライブが始まり、アングラ感ムンムンの人、という印象でした。
そんな3人が近々ライブをやるらしい。しかもなんだか恐ろしいほどに仕上がってるらしい。そんなただならぬ雰囲気なのに、チケットがまだ残ってるらしい・・・!!
これは何かとんでもない現場に立ち会えちゃうんじゃないかと思って、勢いでチケットを買いました。
でも購入ボタンを押したその日からなんだか焦りが止まらないのです。
そもそもラップのライブなんて初めて行くけど、怖い人がいっぱいいるんじゃないのか・・・?
女一人で乗り込んで(夫は仕事で行けず)大丈夫なのか・・・?
ずーっと背中にうっすら汗をかいているような日々が続きました。
ライブ本番が2日後に迫り、突如インスタでDos Monosの3人によるインスタライブが始まりました。
「ライブに来てね」という趣旨でおしゃべりする3人。
画面はライブに行く人たちの熱気に満ちたコメントで溢れていました。
その様子を見て、楽しみではあるものの、なぜだか不安もさらに増していってしまいました。
きっとみんなと同じテンションまでついていけていない自分が参加していいのか?という申し訳なさが、そうさせたのかもしれません。
いたたまれなくなって、「普段音楽ライブとか行かないのですが、大丈夫でしょうか?」とコメントしてしまいました。
そしたら、没さんがそれを丁寧に拾ってくださって、TaiTanさんが「大丈夫です」とはっきりと言ってくれました。
それからTaiTanさんが、「今回初めて親をライブに呼んだ」と話してくれたり、荘子itさんが「うちのライブは待ち時間に本読んでる人もいるぐらいで、全然怖くないよ」と言ってくれたので、心の底からホッとしました。
そうやってしみじみと話してくださる様子を見て、初めて3人が自分と地続きで生活してる人間なんだなと感じることができた気がしました。
メディアを通して見ているうちに、自分の中で彼らを勝手に別次元の存在だと思ってしまっていたようです。
そしてライブの前日、一旦安心できたとは言え、何か今からできる準備はないかとソワソワしていました。
とりあえずライブでちゃんと歌詞を追えるようになりたいと思い、新しいアルバムの曲の歌詞を、原稿用紙に写経してみることにしました。

自分の言語感覚からは絶対に出てこないような言葉の組み合わせを、自分の手で出力するというのはなかなか新鮮な体験で、ニヤニヤしながら書きました。
三者三様のパンチラインがドバドバと紙になだれ込んでいくわけですが、いざ全て書き終えたものを俯瞰して見てみると、「で、一体何について書かれた文章なんだ・・・?」とそれぞれの曲に対して、むしろ謎が深まりました。
しかし、謎解きをするように歌詞を考察する、というのはなんだか野暮な気がしたので、Dos Monosのポッドキャストを聴くことにしました。
去年発売された「Dos Atomos」の全曲セルフ解説、というのを聞いてみると、TaiTanさんがすごいことを言っていました。

衝撃でした。
もはや意味とか超越してたようです。
もちろんご本人たちの意図は詰め込まれているので、その話を解説で聞けるというのはすごく面白かったです。
自分は3人と同い年なので、ポッドキャストの中でシャーマンキングやゾイドの話が出てきて嬉しくなったりと、もう怖いという邪念は完全に祓うことができました。
迎えたライブ当日。
開演と同時に、TaiTanさんの言っていた「大丈夫」の意味を知ることになりました。
まず、ズンズン響くドラムのテンポに心臓を乗っ取られてしまいました。
いつもの鼓動のリズムがDos Monosのリズムにチューニングされたのです。
目の前にはクラゲの光に包まれた3人が現れ、そのパフォーマンスを浴びると、体は自然に揺れ始めました。
周りに合わせて乗ろうと思っているのではなく、勝手にそうなるのでした。


もうそれからは、どれが何ていう曲だとか、歌詞を追わないといけないだとか、そんなことは頭から吹っ飛んで、自分が空間と音楽の一部になったようでした。
舞台上には、地面からエネルギーを吸い上げてばら撒くように暴れ回る没さん。
良い意味でいつもの冷静さがなくなり、びよんびよん飛びまくる荘子itさん。
観客の熱狂を指揮者のように掌握するTaiTanさんの姿がありました。
そして最後のMCでは、荘子itさんが、メンバー・バンド・スタッフ・観客・関わった全ての人に向けてリスペクトの言葉を紡いでいました。
公演が終わり頭に浮かんだのは、この人たちと一緒に歳をとっていける時代に生まれたことの嬉しさでした。
同じ時代・同じ文化圏に、これだけ純粋に「とにかくすごいものを作る」という目的のためだけに本気になれる人がいて、それを私たちと同じように生活しながら達成して、できたものを届けるところまで誠実に向き合う人がいるんだという事実は、こんなにも希望になるのかと感動しました。
このライブはまだ大阪と北海道で開催される予定なので、チケット購入にまだ踏み切れていない人、Dos Monosを知らない人も、ぜひ行って熱狂に巻き込まれてほしいなと思います。
