会社を辞めるより怖いのは、「このまま」を選び続けること。
「このままでいいのかな」と思ったとき、人生はもう変わり始めている
「会社を辞めたいです」
私が相談を受けていると、本当によく聞く言葉です。
でも、そのあとには必ずと言っていいほど、
「収入がなくなるのが怖いです」
「家族がいるので簡単には辞められません」
「本当にやりたいことで生活できるのか不安です」
という言葉が続きます。
これは当然だと思います。
生活があります。
家族がいる人もいます。
住宅ローンや教育費を抱えている人もいます。
「嫌なら辞めればいい」
そんな簡単な話ではありません。
先日、会社員を辞めて、現在は個人で心理カウンセラーとして活動している方と対談しました。
その方も、退職を決める直前まで大きな不安を抱えていました。
安定した収入を手放して、本当に大丈夫なのか。
やりたいことを仕事にして、生きていけるのか。
それでも最終的には会社を辞めました。
そして半年ほど経った今、以前より表情がずっと明るくなっていました。
話を聞きながら改めて感じたことがあります。
退職するかどうか以上に、大切なことがあります。
それは、
「このままの人生で本当にいいのか?」という自分の声を、いつまで無視し続けるのか。
ということです。
会社を辞めたい人が本当に苦しいのは「仕事」だけではない
やりたいことが見つかると、今の働き方への違和感は大きくなる
ただ仕事が忙しいだけなら、
「まあ、仕事だから仕方ない」
と我慢できることもあります。
でも、
「本当はこれをやってみたい」
というものが見つかった瞬間、今まで気にならなかった働き方まで苦しく感じることがあります。
本当は発信したい。
人の相談に乗る仕事をしたい。
副業を育てたい。
資格の勉強をしたい。
自分の商品を作ってみたい。
でも、朝から晩まで会社で働く。
帰宅した頃には疲れ切っている。
そこから家事や育児をする。
「さあ、やりたいことをやろう」
と思っても、もうエネルギーが残っていない。
気づけば寝る時間になります。
そして次の日、また会社へ行く。
この繰り返しです。
だから、やりたいことが見つかった人ほど、
「この時間を、この仕事だけに使い続けていいのかな」
という違和感が大きくなっていきます。
退職で失うのは「収入」だけではない
辞めないことで失っているものにも目を向ける
会社を辞めようとすると、どうしても失うものを考えます。
毎月入ってくる給料。
社会保険。
賞与。
安定。
肩書き。
もちろん、どれも大切です。
でも僕は、もう一方も考える必要があると思っています。
会社を辞めないことで、何を失っているのか。
やりたいことに使える時間。
家族と過ごせる時間。
心の余裕。
新しいことへ挑戦するエネルギー。
健康。
そして、自分の人生を自分で選んでいる感覚。
対談した方も、
「収入は不安だったけれど、会社員を続けたら、やりたいことをする時間も家族との時間もなくなってしまう」
と話していました。
だから最終的には、
収入だけではなく、人生全体で考えた。
ここが大切だと思います。
退職は、
「給料を捨てるか、捨てないか」
という二択だけではありません。
何を守り、何を取り戻したいのか
という人生の選択でもあります。
「このままでいいのかな」は、人生からの大切なサイン
違和感は、一度無視してもまた戻ってくる
対談の中で、とても印象的だった話があります。
その方は、今回初めて、
「このままでいいのかな」
と思ったわけではありませんでした。
以前から何度も、
「自分らしく生きられていない気がする」
「周りに合わせすぎている」
と感じていたそうです。
でも、そのたびに生活や仕事を優先して、気持ちを飲み込んできた。
すると、時間が経ったあとに、また同じ問いが戻ってきます。
僕は、これがとても本質的だと思います。
自分が変わらなければ、同じ違和感は何度でも現れます。
転職しても。
数年我慢しても。
昇進しても。
給料が上がっても。
根本的に自分が望んでいるものが変わっていなければ、
「このままでいいのかな」
という問いは消えません。
違和感を「我慢不足」で片づけない
僕たちは違和感を感じると、
「もっと頑張らないと」
「みんな我慢している」
「自分が甘いだけかもしれない」
と考えがちです。
もちろん、一時的な疲れでそう感じている場合もあります。
だから、違和感を感じたからといって、すぐ会社を辞める必要はありません。
でも、何か月、何年も同じ違和感が続いているなら、一度きちんと向き合ってみてほしいと思います。
「仕事を辞めたい」
ではなく、
「自分は、本当はどんな人生を望んでいるのだろう?」
まで考えてみる。
そこまで掘り下げると、本当の悩みが見えてくることがあります。
退職が正解とは限らない。でも、我慢が正解とも限らない
大切なのは「辞めるか」ではなく「どう生きたいか」
ここは誤解してほしくありません。
会社を辞めれば幸せになれる。
独立すれば人生がうまくいく。
僕は、そんなことを言いたいわけではありません。
会社員という働き方が合っている人もいます。
今の会社で環境を変えるだけで楽になる人もいます。
転職したほうがいい人もいます。
副業から小さく始めたほうがいい人もいます。
休むことを最優先にしたほうがいい人もいます。
そして、退職して自分のやりたいことへ進んだほうがいい人もいます。
つまり、
退職は正解ではなく、選択肢の一つです。
大切なのは、
「会社を辞めるべきか?」
だけを考えることではありません。
「自分は、これからどんな毎日を送りたい?」
「何を大切にして働きたい?」
「誰と、どんな時間を過ごしたい?」
「どんな仕事なら、自分の人生を使いたいと思える?」
そこを考えた結果として、退職という選択が出てくるなら、その退職には意味があります。
お金が不安だからこそ「0か100か」で考えない
生活を守りながら、やりたいことに近づく方法もある
退職で一番大きな不安は、やはりお金だと思います。
「やりたいことを優先したい」
と思っても、
「生活できなかったらどうしよう」
が出てきます。
これは無視しないほうがいい不安です。
だからこそ、
「今すぐ退職するか、永遠に会社員を続けるか」
という0か100かで考えなくてもいい。
たとえば、
会社員を続けながら発信してみる。
休日に小さくサービスを始めてみる。
必要な生活費を計算する。
固定費を整理する。
やりたい仕事をしている人に話を聞く。
数か月分の生活費を準備する。
働き方を変えられないか会社へ相談する。
失業保険も視野に入れて考える。
こうした準備をしながら、少しずつ選択肢を増やすこともできます。
勇気とは、何も考えずに飛び込むことではありません。
怖さがあるからこそ準備をして、それでも自分が望む方向へ進むことだと思います。
子育てが一段落したときに「自分の人生」が戻ってくる
「母親」「父親」以外の自分を考えるタイミング
今回の対談では、子育てについても印象的な話がありました。
子どもが小さい頃は、どうしても生活や教育費が優先になります。
自分が何をしたいかより、
「安定して稼げる仕事」
「今できる仕事」
を選ばなければならない時期もあると思います。
それは悪いことではありません。
大切な家族を守るために選んできた人生です。
でも、子どもが少しずつ大きくなり、手が離れ始めると、
ふと自分の時間が戻ってきます。
そのときに、
「これから自分はどう生きよう」
という問いが出てくる人は、とても多いです。
それまで、
誰かの母親として。
誰かの父親として。
会社員として。
家族のために。
たくさん頑張ってきた。
だからこそ、これから先は、
「自分自身は、どう生きたい?」
と考えてもいいと思います。
子育てが一段落したことは、人生が終盤に入ったということではありません。
むしろ、自分の人生をもう一度選び直すタイミングになることがあります。
「誰かに相談すること」は、答えを決めてもらうことではない
本当は9割、答えが決まっていることもある
対談した方が退職について相談してくれたとき、僕の感覚では、
「もう9割くらい、本人の中では答えが決まっているな」
と思っていました。
実際、本人も、
「ほとんど決まっていました」
と話していました。
あとは、
「それでいいと思うよ」
と背中を少し押してもらいたかった。
こういうことは、相談の場でよくあります。
人は、自分のことになると不安が大きくなります。
頭では答えが分かっていても、
「本当にいいのかな」
「間違っていないかな」
と何度も考えてしまう。
だから、誰かに話す。
すると、自分が口にした言葉を自分で聞いて、
「やっぱり自分はこうしたかったのか」
と気づくことがあります。
コーチやカウンセラーの役割は、人生を代わりに決めることではありません。
本人の中にすでにある答えを、一緒に見つけること。
そして、自分で選べる状態を作ることだと思っています。
一歩踏み出した人は、いつか誰かの希望になれる
苦しかった経験が、誰かを助ける力に変わる
今回対談した方も、少し前までは、
「会社を辞めていいのかな」
と悩む側でした。
でも今は会社を辞め、心理カウンセラーとして活動しています。
つまり今度は、
同じように悩んでいる人の相談に乗れる側になっています。
僕は、これがとても素敵な循環だと思っています。
自分が苦しかったこと。
迷ったこと。
怖かったこと。
踏み出した経験。
そこから分かったこと。
それらは、後から誰かの希望になることがあります。
僕自身も、会社員だった頃には、
「まさか自分が退職について人から相談される側になる」
なんて想像していませんでした。
でも、自分が悩み、決断し、一歩ずつ進んできた経験があるからこそ、今伝えられる言葉があります。
踏み出した人から、少しずつ景色が変わります。
そして、いつか自分が、
「そんな生き方もあるんだ」
と誰かに思ってもらえる存在になることがあります。
会社を辞めるか迷ったときに考えてほしい3つのこと
① このまま5年続けた自分を想像する
今の働き方を、あと5年続けたとします。
その自分を想像したとき、
「それでもいい」
と思えるでしょうか。
それとも、
「もっと早く動けばよかった」
と思いそうでしょうか。
未来を正確に予測する必要はありません。
ただ、自分が今の延長線上に何を感じているのかを見るための質問です。
② 本当に怖いものは何かを明確にする
「辞めるのが怖い」
で終わらせず、
何が怖いのかを分けてみます。
収入なのか。
家族の反対なのか。
再就職できないことなのか。
失敗することなのか。
周りからどう見られるかでしょうか。
恐怖の正体が分かれば、準備できることも見えてきます。
③ 辞める・辞めないの前に、今日できる一歩を決める
人生を一日で変える必要はありません。
やりたいことについて調べてみる。
30分だけ始めてみる。
誰かに相談する。
SNSで一つ発信してみる。
必要なお金を計算する。
今日できることを、一つだけやってみる。
小さく動くと、考えているだけでは得られなかった情報が入ってきます。
そこから次の選択を考えればいいと思います。
「このままでいいのかな」は、自分の人生を取り戻すきっかけになる
「このままでいいのかな」
この言葉が浮かぶと、不安になります。
でも僕は、必ずしも悪いことではないと思っています。
それは、
今までの生き方と、本当に望んでいる生き方の間にズレがある
ことに気づき始めたサインかもしれません。
すぐに会社を辞めなくてもいい。
答えが出なくてもいい。
ただ、その問いを、
「考えても仕方ない」
と消さないでほしいと思います。
一度聞こえた心の声は、自分が変わらなければ何度も戻ってきます。
どうせ向き合うなら、早いほうが人生に残される選択肢は多い。
これからの人生で、今日が一番若い日です。
退職するかどうかよりも、
「自分は、どんな人生を生きたいのか」
を一度真剣に考えてみてください。
そして、今の自分にできる小さな一歩から始めてみる。
人生は、大きな決断をした瞬間だけに変わるものではありません。
自分の本音を無視するのをやめた瞬間から、少しずつ変わり始めるのだと思います。
もし今、
「会社を辞めたいけれど、本当に辞めていいのか分からない」
「やりたいことはあるけれど、収入が不安で踏み出せない」
「このまま今の仕事を続けていいのか、一度整理したい」
そんな気持ちがあるなら、一人で答えを出そうとしなくても大丈夫です。
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