LINEに来た問い合わせ、全部スプレッドシートに自動で貯まるようにした話
LINEで来た問い合わせに返信した。でも記録は残らなかった。トーク履歴を上下にスクロールして探す。返した/返してないを記憶で管理する。それが毎日続いていた。あるクライアントの依頼で仕組みを構築したとき、それが全部なくなった。
返したはいいが、記録が残らない

LINEは便利だった。返信も手軽で、相手との距離感も縮まる。でも、問い合わせが流れていく。
「返したはいいが、何日後かに『あの件どうなったっけ』とトーク履歴を上下にスクロールして探した。」
その会社では、問い合わせのほとんどがLINEで来ていた。「見積りをお願いしたい」「この日に予約を入れられますか」「申込の手順を教えてください」——日々そういうメッセージが届く。返信はしている。でも記録が残らない。
返したはいいが、記録が残らない。これが最初の課題だった。
具体的な不便さは3つあった。まず、返信したかどうかを記憶で管理していた。次に、担当者が複数いるとトーク履歴を共有できない。最後に「あの人の名前、なんだっけ」とスクロールして探す時間が発生する。LINEは受信箱として使うと、問い合わせが流れていくだけだ。来ては消え、来ては消えていく。
記憶から記録へ。それができれば、管理の手間は一段変わる。
トークに来た内容が、日時・名前つきでシートに1行ずつ貯まる

仕組みを構築したとき、まず変化したのは「シートを開けばすべてある」という状態だった。
LINEにメッセージが届く。それと同時に、Googleスプレッドシートに1行が追加される。その行には日時・送信者名・メッセージ内容が揃っている。探す必要がない。スクロールする必要もない。
「翌日シートを開いたら、昨日来た問い合わせが日時・名前つきで全部並んでいた。探す必要がなかった。」
日時・名前・内容が自動で揃う。それだけのことだが、この「それだけ」が日々の管理を変えた。クライアント側のスタッフは「あ、これでいい」と言っていた。大げさな驚きではなかった。静かな安堵だった。
「複雑そう」と思うかもしれない。でも使うものはGoogleアカウントとLINEの公式アカウントだけだ。新しいサービスに加入するわけではない。すでに持っているものを、つなぐだけの話だった。
シートを開けば全部ある。その状態になると、記録を探す時間が消える。探す時間がなくなった、という感覚は、使い始めてすぐにやってきた。
仕組みはこう動いている——Messaging API + GASのWebhook

技術的な骨格を一度説明しておく。ただしコードの話はしない。「誰が何に反応して、何を動かすか」という役割の話だけだ。
4つのステップがある。
LINEの公式アカウントにメッセージが届く
Messaging API(LINEが提供する「メッセージを受け取るための窓口」)がそれを検知する
Webhook(「何かが起きたとき、外部に知らせる仕組み」)が反応して、GASに通知を送る
GAS(Google Apps Script)(Googleが提供する、スプレッドシートを自動操作できるツール)がシートに1行を書き込む
ドアベルが鳴ると、受付が出て、台帳に記録する——それだけの話だ。
アナロジーで言えば、LINEのメッセージがドアベル、Messaging APIが受付、GASが台帳係にあたる。Webhookはその連絡経路だ。
設定の手間はある。コードを書く場面も出てくる。「骨格はシンプルだが、ゼロから自力でやると詰まる箇所がある」というのが正直なところだ。ただ、仕組みの構造自体はシンプルで、役割分担を理解すれば何が起きているかは追いかけられる。
同じ仕組みが、問い合わせ・予約・申込に効く
今回はクライアントの「問い合わせ管理」から始めた。でも同じ仕組みが、問い合わせ・予約・申込に効く。
Webhookの向け先を変えて、受け取るメッセージの内容を調整するだけで、3種類の用途に対応できる。
問い合わせ受付:「見積りをお願いしたい」「〇〇について教えてください」→ シートに問い合わせログが貯まる
予約受付:「〇月〇日に予約を入れたい」「変更したい」→ シートに予約リストが貯まる
申込・登録管理:「セミナーに申し込みます」「登録完了しました」→ シートに参加者リストが貯まる
あるクライアントでは問い合わせ管理から始めて、後から予約受付も同じシートに追加した。「LINEから来るものなら何でも貯められる」という感覚に変わったと聞いた。
これは「LINEの管理ツールを入れた」という話ではない。LINEをデータの受け口にするという発想の転換だ。
LINEを受信箱にしない。データベースにする。
構築して最初に変わったのは、探す時間がなくなったことだった。
クライアント側のスタッフが「LINEを見なくてもシートを見ればいい」と言うようになった。問い合わせが来たかどうかをLINEを開いて確認するのではなく、朝シートを開いて一覧で確認する。その変化は小さいようで、日々の管理の重さが変わった。
構築した側として感じたことも書いておく。仕組み自体はシンプルだった。でも「こんな状態になるとは思っていなかった」という反応は毎回ある。なぜかというと、ツールとして使っているときは「便利になった感」があっても「不便がなくなった感」は来ないからだと思う。連携して初めて、不便がなくなる。
これは便利にした話ではなく、不便をなくした話だ。「探す」「記憶する」「転記する」という作業が消えた。機能が増えたのではなく、手間が消えた。そちらの変化のほうが、日常の中で効いた。
「LINEを受信箱にしない。データベースにする。その発想の転換だけで、毎日の管理が変わる。」
探す時間がなくなった。それだけのことで、仕事が変わる。
LINEで貯まったデータ、次は書類に変えてみませんか。
