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採用担当者が追うべき数字は「採用数」ではない。「定着率」だ。





1. はじめに

採用担当者は採用数を追います。

「今年は何人採用したのか。」
「採用目標を達成できたのか。」

採用部門では、この数字が成果として評価されることが少なくありません。

一方で、現場責任者が見ている数字は違います。

それは定着率です。

採用した人が半年後、一年後も活躍しているのか。

ここに現場の評価があります。

私はこれまで何百人もの採用に携わってきました。

そして、同じくらい多くの退職も見てきました。

採用が決まった瞬間は嬉しいものです。

しかし、その人が数か月後に退職してしまえば、本当に成功だったと言えるのでしょうか。

採用活動を続ける中で、私は一つの結論にたどり着きました。

採用成功とは、入社ではなく「定着」である。


2. 採用担当者が追う数字、現場責任者が追う数字

採用担当者のKPIは、多くの場合「採用人数」です。

年間30名採用、応募数、内定数、採用率など、数字で成果を評価されます。

もちろん、それ自体は間違いではありません。

しかし、現場責任者が本当に見ているのは、その先です。

「採用した人が戦力になっているか。」
「チームに馴染み、長く働いているか。」

もし10人採用して半年後に7人辞めてしまえば、採用活動は成功とは言えません。

現場には教育コストだけが残り、再び採用活動をやり直すことになります。

採用担当者と現場責任者では、「成功」の定義そのものが違うのです。


3. 何百人もの採用で見えてきた現実

採用担当になったばかりの頃、私は「採用すること」がゴールだと思っていました。

応募を集め、面接を実施し、内定を出す。

数字は伸びました。

しかし、その一方で退職者も増えていきました。

最初は「最近の若い人はすぐ辞める」「忍耐力がない」という声も耳にしました。

ですが、退職者一人ひとりと話をすると、見えてきた景色はまったく違いました。

辞めた人の多くは、「働く意欲」がなかったわけではありません。

会社との認識にズレがあっただけだったのです。


4. 「給与が原因で辞める」は本当なのか

退職理由として最も多く聞くのが「給与」です。

しかし、本音を深掘りすると、違う理由が見えてきます。

「仕事内容が思っていたものと違った。」

「人間関係が想像以上に厳しかった。」

「夜勤や残業の負担を理解できていなかった。」

「教育体制が整っていると思っていた。」

つまり、給与そのものではなく、「入社前とのギャップ」が積み重なった結果として退職に至るケースが非常に多いのです。


5. ミスマッチは入社後ではなく、入社前に始まっている

会社は少しでも魅力的に見せたい。

応募者も少しでも良く見られたい。

その結果、お互いに本音を隠したまま面接が終わることがあります。

しかし、現実は入社後に必ず見えてきます。

採用活動は営業ではありません。

契約したら終わりではなく、入社してからが本当のスタートです。

だからこそ、面接で隠したことは、後になって大きな問題になります。


6. 面接で会社を良く見せることの落とし穴

採用担当者には、「採用目標を達成したい」というプレッシャーがあります。

そのため、会社の良い面ばかりを伝えてしまうことがあります。

しかし、その姿勢は短期的には採用数を増やせても、長期的には離職率を高める原因になります。

期待値が高いほど、現実とのギャップは大きくなるからです。

採用とは「選ばれること」だけではありません。

「正しく理解してもらうこと」も、同じくらい重要なのです。


7. 私が面接で"あえて厳しい話"をする理由

私は面接で、良いことばかりは話しません。

繁忙期の忙しさ。

現場仕事の大変さ。

覚えることの多さ。

体力的な負担。

人によって向き・不向きがあること。

こうした現実も包み隠さず伝えます。

その結果、辞退されることもあります。

しかし、それで構わないと思っています。

入社して数か月後に「こんなはずじゃなかった」と辞めるより、入社前に納得して判断してもらう方が、お互いにとって良い結果だからです。


8. 定着率を高めるために実践している5つのこと

私が採用活動で意識していることは、次の5つです。

  1. 良いことだけでなく、厳しい現実も伝える。

  2. 可能な限り現場見学を実施する。

  3. 面接では応募者からの質問を歓迎する。

  4. 入社後の一日の流れを具体的に説明する。

  5. 採用人数ではなく、半年後・一年後の定着率を振り返る。

特別なことではありません。

しかし、この積み重ねがミスマッチを減らし、結果として定着率の向上につながっています。


9. 採用成功は半年後、一年後に証明される

採用が決まった瞬間はゴールではありません。

本当の評価は、その人が半年後、一年後も会社で活躍しているかどうかです。

現場から「あの人を採用してくれて本当に良かった」と言われたとき、初めて採用は成功したと言えるのではないでしょうか。

採用担当者の役割は、人を採ることではありません。

会社と応募者の未来をつなぐことです。


10. まとめ|採用担当者の仕事は「採用すること」ではない

採用数は重要な指標です。

しかし、それだけを追い続けても、会社は強くなりません。

本当に見るべき数字は「定着率」です。

長く活躍する人材を採用することが、企業の成長につながり、現場の負担を減らし、応募者自身の人生にも良い影響を与えます。

私はこれからも採用数だけではなく、「一年後に活躍している人を採用する」という視点を持ち続けたいと思います。

採用とは、人を増やす仕事ではありません。

人と会社の未来をつくる仕事なのです。

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