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私が面接で「志望動機」をあまり重視しない理由


面接の場において、必ずと言っていいほど投げかけられる定番の質問があります。

「なぜ、当社を志望されたのですか?」

採用を担当する側の私も、面接の序盤でこの質問を口にします。しかし、ここで正直な胸の内を明かすとすれば、私はこの「志望動機」を採点の材料としてそこまで重視していません。

誤解のないように言っておくと、応募者の方が真面目に準備してきてくれたことや、当社について調べてきてくれたこと自体はとてもありがたいと思っています。

ただ、現実として返ってくる答えの9割以上は、ネットの面接対策サイトやSNSで手に入るような、整えられた「綺麗な建前」であることが多いのです。

「御社の企業理念に深く感銘を受けまして……」

「事業を通じて社会に貢献されている点に魅力を感じ……」

どれも間違いではありませんし、立派な回答です。でも、聞き終わったあとにどうしても一言、心の中でつぶやいてしまう自分がいます。

「で、本当のところはどうなんですか?」

私たちが面接で本当に知りたいのは、企業研究の成果発表でも、優等生な模範解答の朗読でもないのです。

1. 本当に知りたいのは「なぜ今の会社を辞めようと思ったのか」

私が面接で最も耳を傾けたいのは、志望動機そのものよりも「なぜ転職しよう(今の環境を変えよう)と思ったのか」という部分です。

人が大きなエネルギーを使って環境を変えようと決断するとき、そこには必ずその人なりの「本音」と「価値観」が隠れています。

  • 何に対して違和感や不満を抱いたのか?

  • どんな仕事の仕方に限界を感じたのか?

  • これからの人生で、何を一番大切にしたいと思ったのか?

人間は「こうなりたい」という理想を語るとき、いくらでも格好をつけることができます。しかし、「何に我慢できなかったか」「何を守りたくて環境を変えるのか」という不満や離職の理由には、その人のごまかしようのない素顔が出ます。

以前、面接に来られたある応募者の方がいました。

最初は「貴社の〇〇事業の将来性に魅力を感じ……」と硬い表情で話してくれていたのですが、私が「ちなみに、前職で一番悔しかったことって何ですか?」と尋ねた瞬間、少し間を置いてこう話してくれたのです。

「実は……どれだけ成果を出しても『チームの調和を乱すな』と評価されなかったことです。私はもっと、お客様のためにスピード感を持って挑戦したかったんです」

その言葉を聞いたとき、初めてその人の「芯」が見えました。この人は挑戦を重んじる人であり、停滞を嫌う人なのだと。綺麗な志望動機よりも、そのひとことのほうが何倍もその人の人物像を伝えてくれました。

2. 私自身も「理念への共感」だけで会社を選んだことはない

かくいう私自身も、過去に何度か転職を経験しています。

だからこそ、面接官の席に座りながらも、求職者の方の「建前を言わなければいけない苦しさ」が痛いほどよくわかります。

自分が転職活動をしていた頃を振り返っても、「御社の理念に共感しました」だけで入社を決めたことなんて一度もありません。

現実は、もっと泥臭くてリアルなものです。

  • 「もっと自分の頑張りを給与や評価で実感したい」

  • 「上司の顔色を伺うような人間関係から抜け出したい」

  • 「このままここにいても、自分の市場価値が上がらない気がして怖い」

  • 「誰と働くか、どんな成長ができるのか、自分の未来をここで描けるか」

そういう現実的な欲求や危機感こそが、人を動かす本当の動機のはずです。それなのに、面接の場になった途端「社会貢献」や「企業理念」という綺麗な包装紙で包まないと評価されないと思い込んでしまう。それって、どこか歪んでいないでしょうか。

転職は、自分の人生をより良くするための手段です。現実的な理由で仕事を選ぶのは当たり前のことですし、決して恥ずかしいことではありません。

3. 採用は「答え合わせ」ではなく「相互理解」の場

そもそも、採用とは会社が上から目線で応募者を選別する場ではありません。応募者だって「この会社は自分の人生を託すに値するか」を見極めているはずです。

もし面接を「面接官が用意した正解を当てるテストの場」にしてしまうと、内定をもらうことがゴールになり、入社後のミスマッチを生む原因になります。

スキルや経歴のチェックであれば、履歴書や適性検査、実技テストである程度カバーできます。

では、なぜわざわざ貴重な時間を割いて直接対話をするのか?

それは最後の最後に、「価値観の相性」を確認したいからです。

  • 私たちの組織が大切にしている「当たり前」と、あなたが大切にしたい「当たり前」は重なっているか?

  • 苦しい状況に陥ったとき、同じ方向を向いて踏ん張れる関係になれそうか?

それを確かめるためには、志望動機という名の優等生な回答ではなく、その人がどんな人生を歩んできたのか、どんな選択を重ねてきたのかという「生身のストーリー」を聞くしかないのです。

4. 最後に:綺麗な志望動機が作れなくて悩んでいるあなたへ

もし今、あなたが転職活動をしていて、「志望動機がうまく作れない」「どうしても建前っぽくなってしまう」と悩んでいるとしたら、少し肩の力を抜いてみてください。

少なくとも私の面接では、ネットで調べたような満点の志望動機は要りません。

  • なぜ、今の場所を飛び出そうと思ったのか。

  • 過去のどんな経験が、今のあなたの価値観を作ったのか。

  • これからの仕事で、何だけは譲りたくないのか。

ぜひ、あなたの言葉で、あなたの人生のドラマを教えてください。

面接は、あなたをふるい落とすための試験ではありません。お互いが自分らしく働くための「対等な対話」の場なのですから。

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