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報告 長興寺

今回は、先日土曜日に音心で演奏してまいりました、伊平いだいらという所にあるお寺「長興寺ちょうこうじ」さんでの報告をさせていただきます。
このお寺、なんと600年ほど前からある、非常に歴史の刻まれたお寺だそうです。それでいて、今回のように地域に開かれた空間としても親しまれているということは、本当に大切にされている場所なんだなあと感じます。


地域の皆様の主催

今回は地域が作る「さくら会」という主催者様からいただいたお仕事で、非常にありがたい演奏の機会でした。
実は2年ほど前にも、同じ場所で演奏させていただいていたので、雰囲気は事前にわかっている場所で、準備に対する安心感もありました。その時はえんじろう単独で、しかも夜の演奏でした。

会場準備

今回は30から40人ほどと伺っていたので、せっかくなので生音での演奏にしようと心を決めました。
聞き手である皆様は、あまり意識されないことかと思いますが、最近のえんじろうは、会場の情報から音響を通すのか生音に切り替えるのかを判断する時、結構な覚悟を必要としています。

生音と音響

えんじろうの考えでは、音響を使う場合は微妙なリスク、生音の場合は突飛なリスクが存在します。
これは悪いことが起こる方向から見た場合の言い方で、逆に良い方向から見れば音響を使う場合は無難な良い音で伝えられ、生音の場合はうまく環境に適合すると素晴らしく良い音になる可能性を秘めている。

経験不足からかもしれませんが、生音で着実に良い音を狙うというところまでは、音響担当えんじろうはまだ到達しているとは感じたことがありません。だからこそ、可能性の部分にどれほど賭けることができるのかという選択で悩むのです。こればかりは、数を重ねたり、見極めるための条件を発見し、増やしてゆくしかありません。
経験しかないということですね。だからこそ、ちょっと挑戦の気持ちであえて「生音」の採用を試みるケースもあります。今回は1度演奏しているというのが、結構後押ししてくれていました。

写真 本堂の天井

舞台の雰囲気

演奏する場所は、窓の並ぶ本堂に向かって左手。奥の襖を控室として使わせていただきました。
写真はとっていなかったので、片付け後のものになります。

写真 舞台の様子

演奏風景

今回は写真がないので、反省用の記録映像から切り出したものを使います。

写真 演奏前

お客様は30分前くらいから続々と入られ、まさに地域行事での集まりといった雰囲気。なんだか少し懐かしいような世間話が飛び交う雰囲気で、本番の時間を迎えます。
お客様が入った条件での生の音響は、予め試すことができないので、誰もいない時の響きから予測するしかありません。始まって少しの間、えんじろうはまだ音響モードから抜け出すことができずにおりました。

写真 ご挨拶

頭が半分音響だったためか、最初はちょっと言葉に詰まりながらのMCでした。発信しながら響きを受信するっていうのは、とても苦手なんですよね。

写真 楽器の支度

いつもながらですが、喋って紹介を終えてから楽器の編成をつくります。だからどうしても間が空いちゃいますね。でも間髪入れず演奏するよりも、演奏前って隙間がある方が、耳が研ぎ澄まされるということを学んできたので、最近は焦らなくなってきました。

演奏 木村オカリナ

今回の主役的オカリナでした。田舎の風景がよく似合うオカリナという観点から、今回の演奏の主役となることは必然でした。というかそうしたいと願っていました。

最近は長く吹くと音がかすれがちなこの子は、湿気のあったこの日はなおのこと心配しながらの演奏でした。でもそれも解説した上ならば、オカリナを人間味ある楽器として知ってもらうという自分の目的に準ずるというもの。

写真 ピエタオカリナ

続いて同じアルトCで別の音色という選定から、こちらが登場。オーソドックスな不着心地ですが、中高音階でやや気遣いが必要です。
最近割と活躍しています。

写真 土心オカリナ

こちらはザラッとした音色が特徴だと感じる、ソプラノGのオカリナ。楽器が違うと持ち方も吹き込み方も息の量も、姿勢すらも切り替えるのがオカリナです。そこにオカリナを名乗るための明確な条件がない。それがこの楽器の自由と多様性を生み出しています。

写真 加藤オカリナ

こちらはソプラノC管。オカリナ中、最も高い音を奏でる楽器ですが、同時に音量も最もあります。派手できらびやかでもあり、コントロールを失うと暴れん坊な楽器でもあります。
オカリナと自制心を共有しながら演奏するなんて、面白い話ですよね。

写真 パッキオーニオカリナ

こちらはこの日初のオリジナル曲披露として活躍。オカリナの故郷イタリアで作られた楽器ですが、自由なカナリヤを表現してくれました。

写真 ラングレイ・デュエットオカリナ

さてこちらは、デュエットオカリナというハーモニーを奏でる専用のオカリナです。地球のような色合いが好きです。新たなCDアルバム「かたちあるもの」に収録されている「夢で見た夢」という曲は、CDでは3本のオカリナを重ねています。これをライブに持ち込むために、2本分を再現してくれる貴重なオカリナ。
音階や音域の制限があるのに、この曲はたまたまこのオカリナで表現できたことが、運命的で嬉しいです。

写真 Thousand Leavesオカリナ

こちらは15日に浜松に来て、一緒に演奏するFifty-Fifsフィフティー・フィフスの千葉稔氏が制作されたオカリナです。テナーC管という、アルトより1オクターブ低いオカリナです。どっしりとした低音が魅力的です。15日にもきっと活躍しますよ。

写真 りょうこさんMC

後半ではキーボードも様々な音色を使い、その魅力を伝えます。

写真 アケタオカリナ

こちらは40年前に購入した方から10年近く前に頂いたオカリナ。えんじろうよりも高年齢のこのオカリナは、今でも他にはない魅力を振りまけるポテンシャルを持っているのだから、おそろしい。
オカリナは永遠の楽器であり、歳を重ねるとむしろ厚みのある音になることも。まさに人間のようですね。

写真 Tiamoオカリナ

こちらはダブルオカリナという複数が1本に同居しているオカリナ。アンコールがなければ歌うことができないという宿命でしたが、皆様のおかげで活躍することができました。

音楽を聴く

皆様にご参加頂く曲もちらほらあり、そうでないときにはお客様の気配が消えるほど静まり返って聴いてくださって、本当に嬉しかったです。

ところでこのノートを読んでくださっている皆様。
「最近、音楽を聴いたのは、いつですか?」
と聞かれたら、どう答えますか?

えんじろうは「音楽を聴く」の定義から、考え直してしまいたくなる今日このごろです。聴くというのは動詞であり、自分が意思を持って行うときに、初めて使う言葉ではないかと思うんです。
現代は無料やサブスクでまさに水道水のように、音楽が勝手に通り過ぎてゆく時代。通り過ぎる…つまり受取っていないんです。

この日の演奏は、お客様の存在が見えなくなるくらいに、しーんと静まり返った中での演奏でした。
賑やかしに音楽を流すのとはまるで違う空気が、そこにはありました。お客様が「意思を持って聴いてくださる」という環境は、演者にとってどれほど貴重で重くのしかかることか。そしてそれがどれほどうれしく、その期待に答えたいという気持ちにさせるものなのか。
えんじろうはそういうとき、胸にいっぱいの喜びと感謝で、誇りを持って、自分が惚れ込んでいるオカリナを紹介することができます。

さくら会の方々が中心になり集まってくださったお客様方は、大人も子どももみんな最高に心を広げて聴いてくださっていたと感じました。本当にこんなに演奏者冥利に尽きることはないと思います。

写真 感謝の図

演奏後

CDもまた旅立ってゆき、サインもさせていただきました。
最近ようやく、サインという物の価値を認識できるようになってきました。

片付けをして、皆様に見送っていただき、本当に幸せな時間でした。
そんなこの日の朝食は、玄米1杯と自分でつけたカブのぬか漬けが3切れ。もはやお腹がペコペコでしたので、ご褒美はこちらでした。

写真 ご褒美のラーメン

ただいまのオカリナ

今回の楽器は10本。これでもこの丸い切り株クッションに収まる数に厳選しています。だって紹介記事でもわかるように、一挙にたくさんを特徴とともに紹介したところで残らないから。同じ楽器の音色にも、ライブ中に親しんでもらう必要があると感じてきているからです。

写真 活躍した10本の楽器
写真 楽器の横顔

えんじろうの自慢のオカリナたち。この子達がいてくれるからがんばれます。そして今回のように本当の意味で「音楽を聴いてくださる」お客様もいらっしゃるからこそ、これからも続けたいと思うし、その際に生音が生きるのならば、できるだけそれも大切にしたいと思うわけです。

皆様、本当にありがとうございました。



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