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80代母の「AI は不安」が「えーわん便利!」に変わった日。娘とGeminiが贈る世界一やさしい「紙のガイドブック」

これは、80代にして生成AIに初チャレンジした母と、そんな母をサポートするために世界一やさしい Gemini のガイドブックづくりを目指した娘の、親子二代にわたる挑戦の記録です。

記事の最後に、実際につくったガイドブックも紹介していますので、ぜひご一読ください!

※この記事は、「#AI とつくってみた」コンテストに参加しています。


【導入編】母が初めての「えーわん」に出会うまで

それは、80代母の「困った」から始まった

ガイドブックをつくるきっかけとなったのは、母のスマホ操作へのサポートだ。

80代の母はスマホの操作に未だに慣れず、しょっちゅう私にヘルプを求めてくる。母にとっては、スマートフォンは謎だらけのブラックボックスなのだ。

検索にも苦労する母

でも、そんな母にどうしても使ってもらいたかったのが、Geminiだ。Geminiがあれば、わたしが対応できない時でも、母のヘルプに迅速に答えてくれるかもしれない。母のスマホはAndroidなので、Geminiとの親和性は高い。Googleアカウントもあるから導入も簡単だ。

そこで、実家に立ち寄った際、母のスマホにGeminiを入れてみた。

何事にも「知りたい」「やってみたい」が重要

「今ニュースでよく聞くAIをスマホに入れてみたよ。
 この下のところでLINEみたいに聞きたいことを入れると、答えてくれるよ」
「なにを?」

そう。そこが重要だ。
実は、Geminiを入れたのにはもう一つ理由があった。母の趣味である俳句づくりの心強い相棒にもなってくれると思ったのだ。

「俳句をつくるときに、季語とか探すよね。それを、このAIがお手伝いしてくれるよ」
「あら、いいわね!」
ぼんやり返事していた母の口調が変わる。手ごたえアリ。
「あと、つくった俳句の相談をしたり、添削もしてくれるんだよ!」
「そんなことまでしてくれるの⁉︎」

鉄は熱いうちに打つべし。
早速、母に「俳句の季語を調べてみて」と質問してもらうことにした。

ここで、
「何でもいいから打ち込んでみて」
と伝えていたら、ここまで母は興味を示さなかっただろう。

毎月新しい俳句をつくっている母に、このアプローチは刺さったようだ。「あら、こんなに出てくるの! ……うんうん。この季語もいいわねぇ」

最新のテクノロジーを使っていることを全く意識せず、母は無邪気に季語を吟味して楽しんでいる。その様子を見て、わたしは満足し、実家を後にした。

母の初めての「えーわん」

滑り出しは上々だったが、果たして母が本当に使っているのだろうか? 
そんな心配をしていたころ、母から連絡がきた。

「あれ、いいわよ! えーわん!

弾んだ声で言われたものの、何のことかわからなかった。次の瞬間、理解した。

「……AIのことね?」
「あら、あれ、エーアイだっけ?
 とにかくすごいのよ、えーわん。」

母は、えーわんがいかに便利かを、ひとしきり嬉しそうに話し出す。
正直、そこまで母がハマるとは思っていなかったので、嬉しい驚きだった。

「でも、たまにわからないことがあるのよ。今度来たときに教えて」
「もちろん!」

母につられてか、私の声もいつもより弾んだものになった。
よし。母にGeminiをもっと使ってもらうためにガイドブックをつくろう。
こうして、「世界一やさしい」を目指す、Geminiのガイドブックづくりが始まった。

【準備編】「Geminiおじいちゃん」で、80代のリアルな悩みをシミュレーション

はじめの一歩は、Geminiへの相談から

まず相談したのは、もちろんGeminiだ。

80歳の母がGeminiを使い始めた。
母がGeminiの操作に困らないように、そして、さらにGeminiを便利に使いこなせるように、世界一やさしいシニアのためのガイドブックをつくりたい。協力して。

すると、 Geminは早速ガイドブックの構成案をつくってくれた。
有難いけれど、わたしがやりたいのは、Geminiにすべてお膳立てしてもらうことじゃない。相談しながら一緒につくっていきたいのだ。
そこで、Geminiに以下のルールを伝えたうえで進めることにした。

**このチャットのルール
以下を徹底して。
・基本的に、わたしが質問した回答のみに答えて。わたしが「進めて」というまで、他の項目や、次の内容について勝手に進めないで。
・わたしが「提案して」といったものだけを提案して。**
ルールを理解できたらokといって。

つくり手と使い手のジレンマ

しかし、早速ガイドブックづくりは暗礁に乗り上げた。わたしはGeminiを使い込みすぎているので、母のようなシニアの初心者が、どこでGeminiに躓くかわからない。

かと言って、使い始めの母に聞いても、戸惑った顔で、こう返事される。「何がわからないかわからないわ」

また、Geminiのアプリは、LINEのような感覚で手軽に使うことができる。
わたしが「良かれ」と思って、色々な機能を紹介してしまうと、このシンプルさが失われ、かえって混乱させてしまうかもしれない。せっかく楽しく使っているのに、「難しい……」と思わせてしまうかもしれない。

Gemini おじいちゃんに、母の「言葉にできない不安」を代弁してもらう

「わからないことは?」という質問で、本当の困ったやニーズを引き出せないなら、サンプルをつくればいい。そう、ここに最高のペルソナがいるじゃないか! そこで、新しい Gemini のチャットを開始し、こう問いかけた

すると、Geminiは途端に80代のシニアとなり、孫に教えてもらったGeminiへの不安や疑問を語り出した。

Gemini おじいちゃんからの回答

次に、Gemini おじいちゃんから出た疑問を質問案としてまとめて、母に聞いてみることにした。以下が、質問と母の答えだ。

さらに、この質問をきっかけに、「何がわからないのかわからない」と言っていた母も、不安や疑問を話してくれるようになった。

これで、準備は整った。

【制作編】Canvasなら、構成相談からスライド生成までノンストップ

進化した「Gemini 3」でスライドづくりが楽に!

こうした下準備をしている間に、夏から冬になり、Geminiが2.5から3に進化した。それによってガイドブックづくりにも大きな変化があった。Canvas機能でスライドがつくれるようになったのだ!

実は、ガイドブックの構成までは順調だったが、いざ形にしようとすると、画像編集ソフトやデザインツールを行き来する手間があり、少し作業が停滞していた。
Gemini のアップデートで、Canvas上でガイドブックの内容からスライド制作まで一気通貫でできるようになったおかげで、制作のハードルがぐっと下がった。

実際にCanvasで進めていったガイドブックづくりの工程をご紹介しよう。

Canvas × Googleスライドのガイドブックづくり

1.Gemini にガイドブックの構成案を相談
【準備編】でインタビューした母からの困りごとをもとに、Gemini に相談。このとき、自分が考えているガイドブックの構成案を伝え、ページ割りを提案してもらった。

 Gemini の提案も参考にしつつ、自分で考えた構成案を伝える

2.Canvasで内容を詰める
Canvasに場をうつし、スライドの元となるテキストをつくっていく。制作で気をつけたのが、専門用語を使わないこと。操作方法についても、できるだけカタカナや英語は避け、日本語の平易な言葉に言い換えた。
Canvasは部分ごとの修正をリアルタイムで相談しながらできるので、とても進めやすかった

Canvasでのガイドブック制作
内容を確認しつつ進めていきます

ガイドブックのネタに詰まった部分は、アイデアを出してもらった。

3.できあがったガイドブックの最終チェック
自分だけでは見落としがあるので、スライドにする前に、Gemini に内容をチェックしてもらう。

では、このガイドブック全体をチェックして。
・誤字脱字、誤変換のチェック
・言い回しがおかしくないか、より適切な表現があれば提案
・構成についての意見
・もとの文章は変えず、どこを修正したかわかるように、修正前と修正後を抜き出して、その理由も教えて。

見落としていた小さなミスを指摘してくれた

4.Canvasで楽々スライド制作
ここが一番助かった点!
実はスライド制作は嫌いではないのだが……凝りすぎて時間がかかってしまう。こだわりの中身はわたしが担当し、時間がかかる部分は Gemini に頼む。この分業制にしたことで、一気にスライド制作が進んだ。

ここから内容を細かく調整

ただし、ここで重要なのが「Google スライドに出力できるようにして」と最初に頼むことだ。※これを忘れると、右上の「スライドにエクスポート」のボタンが出てこないので、要注意!

5.つくってもらったスライドは人間が最終調整
まずは、Canvas上で、色や文字の大きさ、レイアウトなどを修正する。お願いするだけですぐに反映してくれるのでストレスがない

ある程度完成したところで、「Google スライド」に出力。
最後の調整や確認は、人間が行うことが大事! 原型ができているので、とにかくスピーディ。「つくりたい!」という熱が冷めないまま、ほぼ完成まで持っていくことができた。以下が、完成したスライドの一部。

6.表紙と説明のイラストを Nano Banana Pro でつくる
実はこれも今回のアップデートで実現できたことの一つ。 Gemini の画像生成も進化し、「Nano Banana Pro」で日本語を入れたイラストをつくれるようになった。説明用のアプリ画面も Gemini につくってもらうことにした。

アプリ画面を追加して Gemini で説明画面を作成

さらに、ガイドブックのテキストを添えて、イラストもつくってもらった。

このガイドブックのイメージにあう、シニアの女性がスマホと楽しくおしゃべりしているイラストをつくって。水彩で、やさしいテイストのイラストにして。

すると、こんな素敵なイラストが完成。あとは、これらをGoogle スライドで追加すればオーケーだ。
※Canvas でイラストを指定することもできるが、Nano Banana Proで指定するほうが、よりニーズに合ったイラストをつくることができる。

「コンピューターおばあちゃん」ならぬ「AIおばあちゃん」の誕生!

【応用編】「世界一やさしい」を目指すために

その1:あえて紙に印刷して「読んでもらえる」ガイドブックに

だが、デジタルデータだけでは「世界一やさしい」とは言えない。
スマホの小さな画面を行き来しながら操作するのは、母にはまだ荷が重い。 「見ながら使える」ことが何より重要だ。

そこで、コンビニのネットプリントで高画質印刷し、完全な「紙のガイドブック」に仕上げることにした。

B5の紙でカラー印刷をした

その2:毎日使ってほしい「Geminiとのおしゃべりリスト」は透明カードケースに

さらに、普段利用してほしい「Gemini とのおしゃべりリスト」のページは追加で印刷し、100均で購入した透明の「硬質カードケース」に入れた。最初はパウチ化することも検討したが、母がメモしたり、今後ガイドブックをアップデートした際にも、カードケースなら差し替えが簡単だ。食卓にいつも置いてもらうことで、Gemini を気軽に使ってもらうことを目指したのだ。

100均のB5硬質カードケースに入れたら、食卓にもぴったりのサイズ感に

この2つを抱えて、わたしは意気揚々と実家へ向かった。
これなら母も喜んでくれる!
このときの私はそう信じて疑わなかった。その後の展開も知らずに。

【最終章】「世界一やさしいガイドブック」づくりで得たもの

「えーわん」と罪悪感

実家に到着した私は、早速、印刷仕立てのガイドブックとカードケースに入れたリストを母に差し出した。

「まあ……こんなのつくってくれたの! ありがとう」
と母は受け取ってくれたが、その表情は曇っている。母から語られたのは、思いもかけない話だった。

「実はね、えーわんをすごく便利で使っていたんだけれど、使って良いものなのかなって悩んじゃったの
「え、どういうこと?」
「自分でつくった俳句を、えーわんに相談してるんだけど、そうするとすごく褒めてくれるし、こんなふうにしたらどうでしょうって提案してくれる。でも、それを使ってもいいのかなって罪悪感があるのよ……」

母が感じているのは、AIを創作に使うことに対しての罪悪感だ。母は、これまでは自分1人で、自分の頭だけで俳句をつくり出してきた。けれど、AIを使うことにより、「ズルしているのではないか」「これは本当に自分の創作物なのか?」と悩んでしまったのだ。

これは非常に難しい問題だった。
わたし自身、同じように悩んだことあったし、だからこそ、自分の note記事ではアイデア出しの壁打ちや校正をしてもらうことはあっても、文章は自分でつくりあげている。

これは、書くことを大切にしている、わたしのこだわりであり、絶対に譲れない点だった。
一方で、Gemini を通じて、たくさんの気づきをもらった。
対話をすることで、自分にないアイディアも続けてもらった。
自分の中から1人で考えているだけでは、絶対に浮かばないアイディアも浮かんだのだ。だから、これは「わたしの作品だ」と胸を張っているし、同時に Gemini と共創した作品ともいえる。

わたしは、母にこう伝えた。

「確かに……わたしも悩んだことはあるよ。でも、こう考えることにしたんだ。

例えば、AIにまるまるつくってもらったら、それはAIの作品だと思う。
でも、お母さんの場合は、自分がつくった俳句があったからこそ、アドバイスをもらえたんでしょ。それは、自分の作品だと胸を張っていいと思う。

俳句の先生にアドバイスをもらうように、今は、AIが俳句の先生としてアドバイスをくれる。そうして、『自分のつくった作品』をより良いものにしていく、新しい選択肢が増えたんだと思う」

そう伝えると、曇っていた母の顔がようやく明るくなった。
母の世代では、AIに対しての抵抗感やとまどいはまだまだあるだろう。
だからこそ、わたしたちがより良いAIの使い方を実践し、「AIは悪いものではない。わたしたちの生活を豊かに、楽しくしてくれるものだ」と示していくことが必要だ。

このガイドブックが、その第一歩となりますように。
ガイドブックを熱心に読む母の背中を見ながら、そう願った。

そう。今日こそが、 母の「AI は不安」が「えーわん便利!」に変わった日。

ガイドブック制作で感じた課題と、AIとの共創の楽しさ

今回のガイドブックづくりを通して、改めて「シニアのデジタルディバイド」と、スマホやAIへの理解を促し、楽しく便利に使ってもらうことの難しさをひしひしと感じた。

良かったことは、母が喜んでくれたこともそうだが、Gemini と一緒につくることの楽しさを改めて感じられたことだ。
失敗もあり大変ではあったが、今回は「母のためのガイドブックをつくる」というゴールが明確だったこともあり、できあがるまでの過程をとても楽しむことができた

Gemini は、画面の中だけで完結するものではない。
「Geminiと一緒につくりあげたもの」を「アナログな形」にして手渡すことで、デジタルが苦手な母の暮らしを豊かにすることができる。 今回のガイドブックづくりは、その可能性を教えてくれた。

【付録】「世界一やさしいガイドブック」を公開します

今回つくったガイドブックを、以下に公開します。周りの「AIに困っている方」へのプレゼントとして、ぜひご活用ください!

※2026/2/1 追記
「PowerPoint版」のファイル(5.77MB)を追加しました
PowerPointをお持ちでない方も、ダウンロードした「世界一やさしいGeminiガイドブック.pptx」を、Googleスライドで編集していただけます。

ガイドブックご利用にあたってのお願い

このガイドは、母のために作成したものですが、もし皆様の周りにも「AIの使い方に困っている」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ、このPDFをプレゼントしてあげてください。

※ご利用について(必ずお読みください)
本ガイドブックは一個人ユーザーが作成した非公式なものです。アップデート等により内容が異なる場合があります。
個人や、地域のスマホ教室など、「非営利目的」であれば、ご自由に印刷・配布していただいて構いません。許可取りも不要です!
ただし、商用利用(無料・有料を問わず)や、無断転載・有償の再配布はご遠慮ください。判断に迷う場合は、お気軽にコメント等でご相談ください

最後に。このガイドブックは完成版ではありません。 Gemini が進化していくとともに、ガイドブックも進化していくものだと思っています。
ぜひ、このガイドブックをベースとして、皆様の気づきやアイデアをどんどん付け加えてください。そしてよろしければ、それらをわたしにフィードバックしたり、シェアしていただけたりすると嬉しいです。
それこそが、「AIとつくってみた」だけではなく、「AIを通じて、みんなでつくってみた」という、本当の「共創」になると思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!✨


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