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【中の人、分人しすぎてバグる】:第1話「中の人は見た!“人格ズレ”の始まり」

経理課の堅物・ナカノ係長は、

組織内では“空気を読まない人”として恐れられている。

だが、SNS公式アカウント「中の人」としては、

親しみやすい投稿で大人気。

ある日、社内のプレゼン中に「SNS人格」がうっかり漏れ出し──

アイデンティティのズレが始まる。


(パチパチとキーボード音。無言で伝票を打ち込むナカノ)

同僚
「……ナカノさんって、喋らないですよね……」

上司
「でも仕事は超正確。
生真面目の化身やからな」

(プロジェクターに「今月のSNSインサイト」グラフが映る)

広報部
「今月、公式アカウントの“中の人”がバズりまして…」
「例の『#決算前だけどお団子食べちゃいました』が…
こちら、2.3万いいねです!」

上司(ざわっ)
「だ、誰やこの“中の人”?…
お、お前か、ナカノ……!?」

ナカノ
「はい。マニュアル通りに投稿しただけです」

そう、ナカノは公式アカウントの“中の人”だった。

まじめすぎるがゆえに、毎日真剣に「今日は何の日か」を調べ、

投稿文を5パターン用意していたのだ。

まじめ一筋だったナカノ係長は、その律儀さをそのままSNSに投影し「中の人」としてまさかの人気者に。 社内では「キャラ変わった?」とざわつきつつも、成果が出ているため黙認されていた。 しかしある日、社内プレゼンの最中に“中の人”人格がうっかり漏れ出し、ナカノ係長の分人地獄が静かに始まる──。


(会議中。ナカノが資料を説明する)

ナカノ
「……そしてこの表を見てください。
#帳簿は嘘をつかない📚」

(会議室が静まる)

上司
「……今、ハッシュタグつけたか?」

ナカノ(ハッとして)
「い、いえ……クセです」

(自分の顔を見つめるナカノ)

ナカノ(独白)
「俺は…“中の人”なんかじゃない。
俺はナカノ貫太、ただの経理係長や。
……でも、#今日はなんか、寂しい。」

(鏡にSNSアカのアイコンが重なる)

人格は切り替えられるものか。

それとも、いつしか“もう一人の自分”が、本体を侵食していくのか──

🧩次回:第2話「分人主義に手を出したら人格バグった件」に続く


🗂️ Appendix:本日の寸劇キャスト

🔹 本日の寸劇キャスト

📛 ナカノ係長(なかの・かかりちょう)

昭和の帳簿と令和のSNSの狭間でバグる、中間管理職の化石フレーム。定時後にだけパーカーを羽織り、スマホを握りしめながら複数のアカウント人格で世界を渡る。
👉 ナカノ係長(なかの・かかりちょう)のプロフィールを見る

🔹 キーワード

分人主義:人は状況ごとに複数の“人格(分人)”を使い分けており、どれも本当の自分とする考え方(平野啓一郎による概念)。
SNS:Social Networking Serviceの略で、個人が複数のアイデンティティを発信・管理するプラットフォーム。
ハッシュタグ:SNS上で投稿を分類・検索しやすくするための記号「#」付きのキーワードで、自己表現やつながりの手がかりにもなる。

🔹 出典情報

『私とは何か 分人主義入門』(平野啓一郎)


📘 この寸劇シリーズは、マガジン『逆ナッジUI図鑑』で公開中!
「逆ナッジUI図鑑」は、日常に潜む“逆ナッジ”な制度やUXを、キャラクター寸劇で批評する実験的プロジェクトです。


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