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【7】試作:夏のパン生地をうまく扱うためのいろいろ①

 英国の食の歴史研究家?であるNeil Buttery氏のブログ記事を参考にして、イングリッシュマフィンを焼いてみたのち、自分好みのマフィンを目指して、いろいろお試し中。
 参考:【1】イギリス人のレシピでイングリッシュマフィンを焼いたよ!
       【4】テスト計画 ― イングリッシュマフィン


 前回(【6】テスト:発酵温度と発酵時間の組合せ①)、夏の暑さで生地がダレてしまって捏ねが終わらない、という課題が発生した。

 捏ねるのに疲れて約10分の休憩を入れたところ、結果的に生地のまとまりが良くなったが、これは偶然か?それとも「手捏ね工程の後半に約10分の休憩を入れる」が本当に有効なのだろうか?

 発酵温度と発酵時間の組合せについてはテストの後半(発酵温度:40℃ )がまだ残っているが、こちらの結果は、まぁまぁ見えているので後回しにして、捏ねの問題解決を優先することにした。

どうする?手捏ね@夏

 いろいろと検討した結果、効果がありそうなことを思いつく限りやってみた。
 ほんとうは、要素を分けて、1つずつ試したほうがよいのだろうが、基本的に週1回しか試作する時間を取れないので仕方ない。1個ずつ検証していたら、解決する前に夏が終わってしまいそうだ。
 また、先日、酵母について調査した際に、乳酸菌を入れると風味が増して食感がもちっとして、保存性が高まると書いた文献を複数見つけたので、ついでにドリンクタイプのプレーンヨーグルトも入れてみた。

試作のポイント

  • 捏ね始め温度を室温程度にして、酵母の成長率が比較的おだやかなところから開始する(参照:【5】酵母

  • 保存性と風味・食感の向上のため、乳酸菌を入れてみる(参考:同上)

  • 捏ねの後半に、生地の温度が0.5℃下がるくらいの時間(≒10分間)、休憩を入れる

  • 一次発酵の温度条件は、前回のテストでいちばん成績がよかった(35℃,90分)にする

■ヨーグルトの選択
 近所のスーパーに売っている商品の中で、普段の牛乳(北海道サツラク牛乳/サツラク農業協同組合)と無脂乳固形分と乳脂肪分がいちばん近いものを選んだ結果、明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン(ドリンクタイプ) になった。

明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン(ドリンクタイプ) 

最終的な目縹

  • 夏の室温条件に因らず、捏ねる時間が30分以下になる組合せ(温度・材料)を見つけること

  • 美味しさが変わらない、または、さらに美味しくなること

  • 保存性が向上すること

結果予想

■ プラスの効果予想

1.牛乳(+ヨーグルト)の温度を下げることによって
  ①粘り気が少ない捏ねやすい生地になる
  ②トータルの捏ね時間が30分以下になる
2.ヨーグルトを入れることによって
  ① 焼き上がりの食感がもっちりする
  ② 風味が増す
  ③ 冷凍→解凍後の味が落ちない
3.休憩を入れることによって、
  ①生地の温度が下がって、発酵が緩やかになる
  ②グルテンの網目が強化される(酸化が進む?)

■ マイナスの効果予想

1.牛乳(+ヨーグルト)の温度を下げることによって
  ① 粉類に牛乳(+ヨーグルト)を投入した際に、混ざり具合が悪くなる
2.ヨーグルトを入れることによって
  ① ヨーグルト特有の酸味が残る
  ②乳酸発酵で糖を消費するので、その分、酵母(イースト)の餌が減って生地の膨らみが悪くなる

前回の状況の確認

  • 室温:26.5℃

  • 湿度:49%

  • 牛乳の温度:38.6℃ ※ヨーグルト不使用

  • 捏ね始めの温度:27.6℃

  • 捏ねた時間:25分(休憩前)+10分(休憩後)

今回の試作

環境

  • 室温:26.6℃

  • 湿度:69% 

材料の温度

  • 粉類:18.5℃

  • バター:24.5℃

  • 卵:?(計測忘れ、使用する30分以上前に冷蔵庫から出したので、20℃前後と思われる)

  • 牛乳+液体タイプの無糖ヨーグルト:25.0℃
     ※ 既存レシピの半量(165ml)を、ヨーグルトにした

一次発酵

  • 設定温度:35℃

  • 時間:90分

結果

 総合的に、よい結果だった。30分以内に捏ね上がったし、風味が増して食感も良くなった。焼き立てを何もつけずに試食したところ、わずかに酸味を感じたが、ジャムを付けたり、具材を載せるとまったく気にならない。以前に試したように、カレー粉を入れてもいいかもしれない。

 冷凍→解凍はまだ試していないので、後日に確認する。


(2025/07/24追記)

  • 電子レンジで解凍後に、半分に割ってフライパンで軽く焼いたところ、モチっとした弾力が感じられた。「イングリッシュマフィン」よりは、ロールパンの食感に近いが、これはこれで美味しい。

  • また、大きな気泡がないのは、そもそも、気泡を大きく育てるような捏ね方をしていないことや、レシピが目指す方向性がそっちではないことが原因の可能性が高い。 

※追記はここまで


 一次発酵では、予想に反してちゃんと膨らんだ。

35℃で90分間一次発酵した結果


予想と違った原因は、以下のいずれかだと思われる:
 A)乳酸菌は酵母の活動を阻害しなかった
 B)乳酸菌も酵母菌と同様に、二酸化炭素ガスを出した
 C)捏ね方がちょっと上手になった
 D)発酵の条件が、なにか違った

 ネット検索で見つけた資料によると、乳酸菌には、乳酸だけを作る「ホモ乳酸発酵」と、エタノール(=二酸化炭素ガスの元)を出す「ヘテロ乳酸発酵」とがあるらしい。

・ 乳酸菌による糖質の発酵は、通常2種類の経路(ホモ乳酸発酵またはヘテロ乳酸発酵)で進⾏します。下記の通り、ホモ乳酸発酵は単糖(例えばグルコース)1分⼦から2分⼦の乳酸を⽣成し、消費された糖のすべてを乳酸に
変換します(1式)。これに対してヘテロ乳酸発酵では、乳酸のほかにエタ
ノールと⼆酸化炭素を⽣成します(2式)。
・ 乳酸菌の菌種によって、例えばヨーグ ルトの製造に⽤いるブルガリア菌(ラク トバチルス デルブリュッキー 亜種 ブル ガリクス)は(1)式のホモ乳酸発酵

https://www.nyusankin.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/05/nyusankin02.pdf

 今回使ったヨーグルトに含まれているLactobacillus bulgaricus (ブルガリア菌)は、ホモ型らしいので「B)乳酸菌も酵母菌と同様に、二酸化炭素ガスを出した」が正解ではないのはたしかだろう。

今後の方針

  • 捏ねる練習をする
    ー>イングリッシュマフィンは時間がかかりすぎるので、ベーキングパウダーを使ったソーダブレッドやスコーンでもいいかもしれない。とにかく、グルテンを作ることに慣れる必要がある。
    ー>イングリッシュマフィンに適した捏ね方を調べて、その方法で捏ねてみる(2025/7/24 修正)

  • 今回と同じ方法で、もう2回くらい作ってみる
    ー>ヨーグルトをいれたことや、10分休憩を入れたことが、どのように機能したのかを調べる。その結果、必要であれば同じ方法でもう1度やってみる。

  • グルテンが強化される仕組みを調べる。特に10分休憩がどういう風に機能しているのかを確認する。

  • 乳酸菌について調べる
    ー>文献調査+化学反応の理論の復習+ヘテロ型の乳酸菌を持つ材料(フレッシュチーズなど)を使って試してもよさそうだ。または、カルピスとかはどうだろう?

  • その他の検討項目として、生地のpHがある。乳酸発酵が進むと、当然、生地のpHが酸性寄りになる。これは酵母のはたらきにどう影響するだろうか?今度からは、温度だけではなくpHも測ったほうが面白いかもしれない。

写真集

すべての材料を混ぜ合わせたところ。いつもより、まとまりが悪い。
10分休憩に入る前の状態。
両方とも全然まとまっていないが、右側(今回)のほうが、少しだけマシ。
9cmのセルクル型で抜いた直後。
生地に弾力があるので、型抜きをすると一気に生地が立ち上がるのはいつものことだが、
今回は、前回よりも勢いが良かった。
左:前回の試作、右:今回の試作
同じ9cmのセルクル型で抜いたはずなのに、今回のほうが仕上がりサイズが大きくなった。また、両方とも、断面のキメが細か過ぎる気がする。朝マックのマフィンのように、もうちょっとザックリ感が欲しいところ。
大:9cmのセルクル型、小:6cmのセルクル型
家族のリクエストで小さいものを作った。
「大」サイズは、夜食に向かないとのこと。
いろいろな食べ方を試したけれど、一周回って、こんなのでいいと思うようになった。
(熱したフライパン上で溶けて広がり始めたバターにマフィンの断面を押し付けて軽く焼いたのち、ジャムを塗ったもの)
フィンガーホットドッグ?
(かるく格子状に切れ目を入れたマフィンの断面を
バターでカリカリに焼いて、
シャウエッセンとケチャップを挟んだもの)


 




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