仏教は宗教か、宗教ではないか
無相と有相(簡略版)
今回は「仏教は宗教か非宗教か」という点について、記しました。
一般の皆さまは普通に読んでいただいて、
僧侶の方はご参考にしてもらえたらと思います。
※勉強になったという方がおられましたら、
これらの資料作成や、ここに至るまでの勉強思案などを想って、
ご喜捨いただければ幸いです。(御気の向くままに)
0.導入:仏教は非宗教か宗教か
仏教はよく「哲学・科学だ」とか言われることがある。
「非宗教的なものでもある」という声がよくあるのである。
確かに仏教は、宗教と呼ばれるものの中においては少し特殊なところがあり、
釈迦という人間が、その努力によって究極の境地に至った、というような型式があり、
「神」「創造主」みたいなものから教わる、という形式をとっていないどころか、
自力によって到達したというような型式があるがゆえに、
非宗教的な香りがする/宗教的な香りが薄いものなのである。
しかもその言説において、
創造について何も語らなかったであるとか、
神秘的なものを否定した/あるいは重視しなかったであるとか
そういうところが含まれるものであったり、
人間の努力によって到達することを説いたりしていることから、
そうした神秘的なものについて否定的なところを見出しうる、ということがあると言える。
そこで、こうしたことにのみ着目して、
仏教は哲学だとか、科学だとかいう言説も登場するのであるが、
また一方ではやはり、かなり神秘的なことも実際にはあちこちに登場するものであり、
例えば創造主も登場すれば、輪廻転生も登場し、
釈尊による奇跡や、弟子たちによる奇跡まで登場するものである。
ところが、その神秘性を抜いてでも成立する範囲の「教えの内容」が十分に強いがあまりに、
そこで満足して、それ以外の神秘性がないとまで錯覚しかねないところがあるとも言えるし、
また或いは、本当にこうした神秘的なことは後に付されたものであって事実ではないという意見もあり、
「神秘的なものは説かれていない」という意見も、根強く存在するのである。
このような事情があって、
仏教は結局宗教なのか、非宗教なのかという議論がよく起こるの、
また或いは勉強し始めたものに混乱をきたすことがあるのである。
これについて、「有相と無相」という話をする。
1.本論:有相と無相がある
結論からいうと、
「仏教には宗教的な範囲と、宗教以前の範囲がある」、ということが深い真相である。
これを有相、無相と個人的に呼びあらわしている。
有機質的/神秘的、無機質的/物質的というイメージと対応している。
仏教は、この両面の真相を説いている。
●喩え:天動説と地動説
これを私はよく天動説と地動説で説明する。
天動説が無相と対応し、地動説が有相と対応する。
(1)天動説/無相(物質的/無機質的)

天動説というのは、大地が中心だという立場に立って天体の動きを計算する立場である。
物質的/無機質なものを主体として、世界や命について真相を見ようとすることに対応する。
これでも計算は可能である。
というよりも普段、我々から見た状態では実際にこのように天が動いている。
これはこれで真実ということもできるのである。
(2)地動説/有相(神秘的/有機質的)

ところが真相はさらに深く、広い目線からいえば、
「地球が中心なのではなく、実は太陽(天)が中心だった」という見方ができるのである。
というよりは実際には、こちらがさらに深い真相なのである。
・太陽を中心として見る見方によっても、計算が可能であるどころか、
むしろシンプルに説明が可能となり、さらにこれによってはじめて、
宇宙全体についても説明できる道が開かれるのである。
・天動説を内包する。
・しかも実は地球は天から出来たものだったのである。
このように天動説を内包しながら、
広く全てを説明するものとして、より深い真相として成立するのである。
これと、「物質的/無機質なもの以上の、神秘的/有機的な真相がある」という見方が対応する。
仏教には、このように二つの真相が説かれているのである。
・その前者だけを取り出せば、「宗教性の含まれない哲学・科学的内容」となるのであり、
・その後者まで見れば、「厳然として宗教的なことが説かれている」のである。
・無相しかわからない状況:羽がさびついていれば

ここでもし、天の方が中心であるという直観が絶望的に閉ざされていれば、
その者は天動説しか理解することができない。実際そういう人たちもいたであろう。
(喩え)
鳥は羽を持ち空をはばたくようになったが、
もし羽が生えていなければ天など飛べるとは考えないであろう。
このようにして神秘的な領域を感じる感性がなければ、そのものは有相を理解しないのである。
ところが実際にはそうではない。
人類というものは本来みな、神秘的な領域を感じるように生まれている。
それが、あまりにさびついているものが増えただけにすぎない。
例えば脚力も視力も劣化した。
このようにこの感性も多くの人がさびついてしまっているだけというのが真相である。
そうなると多くの人は、有相を理解しづらくなってしまった、という事情が現在ある。
そこで昨今、仏教は非宗教・宗教以前の哲学・科学のようなものだという見方が流行っているのである。
・真相は有相であり、無相を内包している
ところが実際に経典を普通に読めば、宗教的/神秘的なことも「てんこ盛り」である。
仏教は、有相をも説くものであり、無相を内包して説明しているものだからである。
地動説が天動説を内包して理解できるように。天(宇宙)が地(地球)を生み出したように。
これについて、天動説だけを理解することも可能なように、
無相だけを切り取って理解することも可能なだけということである。
もし絶望的に有相への感性が閉ざされていれば、そこで満足してしまう。
そのような仏教が流行りつつある、という事情が現代にはあるといえる。
天動説でも、天の動きは計算できる。それはそれとして真実である。
仏教は非宗教なのか宗教なのかということの真相は、
その上の真実を見ないか、その上の真実を見るか、という違いがあるというだけであり、
「仏教は有相をも説くものであり、無相を内包して説明しているものである」ということが、
仏教の真相である。
2.結論:仏教は非宗教かつ宗教
人は相反する二つのものがあるときに、どうもどちらかに一つにしたがる傾向がある。
ところが実際には、より広い視座で見たときにその両方が同時に成立している、
ということは沢山ある。
・例えば)WEBの喩え
WEBというものについて考えてみよう。
WEBというものは、皆さんが目にするときには、
単に意味をもったマクロな表現として認識されるものであるが、
これについて二種類の方面がある。
・無機質な方面
まずは無機質な方面として、そもそもPCは何で作動しているかというと、
大元をたどれば「0,1」だけの2進数によって成立しているものである。
あれほど複雑に表現されたWEBであるが、
その実際の作動は、無機質な2進数によって形成されているものである。
・有機質な方面
その一方で、ではなぜそのようなマクロの複雑な表現として成立しているかといえば
全く真反対に、人間の有機質なビジョンがあって、これによって表現されるものである。
やはりそういう意味では、単に2進数のものだけによって成立しているのではない。
このようにWEBというものは、
・片面では単なる二進数という無機質なものとしてあり、
・片面では真反対に複雑なマクロなビジョンとしてあって、
→これらが組み合わされて形成されているものだということが出来るのである。
※補助:他の例)他の例で言えば、
・建物もそうである。
木材などの単なる物質と、設計図という有機質なものが組み合わさって形成されている。
・身体もそうである。
単なる物質と、遺伝子のもつ情報が組み合わさって形成されている。
(無相だけで見ると)
ところが、もしこれについて単に2進数に過ぎないというように見れば
確かにそうでもあるのである。
(有相が無相を内包している)
しかしまた、さらに深く見れば、
そのマクロなビジョンを描こうとしている側のこころが、
その2進数の仕組みを生み出したものであって、実は有機質な側が内包しているのである。
この世界は、まさにこのように成っているのである。
・仏教は宗教かつ非宗教
この世界は、そのようになっているのである。
そこで仏教は、そのように説かれているものなのである。
この世の真相として、
無相的な範囲=非宗教的な範囲も説いているし、
有相的な範囲=宗教的/神秘的な範囲も説いてあるのである。
そして有相的な範囲が、無相的な範囲を内包して
これらが融合して、成立しているものなのである。
もしこれについて、
無相的な範囲にとどまって見れば、その部分だけを見ることが出来るのである。
そして、
有相的な範囲まで含めてみれば、
無相的な範囲を内包して、成立しているというようになっているのである。
このようなことになっており、
仏教には非宗教的なところと、宗教的なところがあるのである。
これを狭く見るか、広く見られるかという違いがありうるということが、
仏教は非宗教なのか宗教なのかということの真相であり、
仏教は宗教でありながら、非宗教的な領域を内包して説いているということが、
仏教の真相である。
★今後の課題
●物質的、神秘的とは/あの世とこの世とは
●仏教でその両面というように説明できるのは何故か
いかがでしたでしょうか。
勉強になったという方がおられましたら、
これからもこうしたことに専念していくために、
ご喜捨いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
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