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動詞で思考すること | デザインあ展neoでの体験を経て


まえおき

名詞思考と動詞思考は、世界を認識し理解する際の2つの異なるアプローチである。

名詞思考

名詞思考は「もの・状態」を静的に捉え、「これが○○です」と断定的に分類・ラベリングする。この思考法は整理や分類には優れているが、一度カテゴライズすると思考がそこで停止しやすいという弱点がある。例えば「これはイスである」と認識した瞬間、その対象についての探求が終わってしまう。

動詞思考

動詞思考は「変化・行為・関係」を動的に捉え、「なぜそれをするのか?」「どうやって行われるのか?」「それは誰のためか?」といった問いを生み出す。

セロハンテープに内在する「はる」「きる」「ひっぱる」の展示

セロハンテープという一つの物体を例に取ると、名詞思考では「テープ」として分類して終わりだが、動詞思考では「はる」「きる」「ひっぱる」といった複数の動詞が内在していることに気づく。デザインあ展neoでもこの視点が展示されており、「一つの名詞に複数の動詞が内在している」ことの発見の面白さが表現されていた。

ステーキらしきものを食べる行為に内在する「さす」と「きる」という動詞のオブジェクト

また、ステーキを食べる際の「さす」と「きる」という2つの動詞が同時発生する様子を表現した彫刻も印象深かった。こちらは、「一つの動詞(行為)に複数の動詞が内在している」ことが明確に表現されていた。これは名詞的に「ナイフとフォーク」と捉えるのではなく、動詞的に「さす・きる」という行為の組み合わせとして理解することの豊かさを示している。

動詞は他者や環境とのつながりを内包している

名詞は単体で成立するが、動詞はたいてい「誰が何をする/何とどう関わる」といった関係性を伴う。必然的に自分以外のものとの関係性に意識が向き、視野が広がる。

すわらない世界 - オフィスでは全員起立、スワンボートに立って乗り、映画を起立して観る世界

デザインあ展neoでは、「座る」という動詞で考えられた展示があった。「座る」に対しては、姿勢、快適さ、目的、状況など多角的な視点が自然と生まれる。展示では「座る世界」と「座らない世界」を比較した絵があり、同じ空間でも「座る」という行為の有無によって、人々の関係性や空間の使われ方が劇的に変化することが視覚的に示されていた。

動詞思考の利点

  1. 背景や意図を想像する:「座る」という動詞で考えると、なぜその場所に座るのか、どんな気持ちで座るのか、誰と一緒に座るのかといった文脈が自然と浮かび上がる。名詞的に「イス」と捉えるだけでは見えない、人の行動の背景にある物語が見えてくる。

  2. 関係性やシステムを理解する:セロハンテープの「はる」「きる」「ひっぱる」という動詞は、それぞれ異なる相手(紙、カッター部分、手)との関係性を示している。一つの物体が複数の関係性の中で機能していることが理解でき、システム全体の動きが見えてくる。

  3. 創造的な発想を促進する:ステーキを食べる行為を「さす」と「きる」に分解することで、それぞれの動作の意味や改善点が見えてくる。「食べる」という1つの動詞が、別の新たな動詞の視点を生み、新しい道具や方法を考える余地が生まれる。

  4. 多角的な視点を獲得する:「座る世界」と「座らない世界」の比較が示すように、一つの動詞の有無で空間の性質が変わることに気づく。同じ場所でも異なる動詞で捉えることで、全く違った可能性や問題点が見えてくる。

まとめ

なにかを「もつ」私

日常生活では名詞思考が優勢になりがちだが、イノベーションや問題解決には動詞思考が不可欠なのではないだろうか。デザインあ展neoは、そんな気持ちにさせてくれるとともに、童心に戻って楽しませてくれた。

参考


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