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Google Fitbit Airでアナログ時計をスマートウォッチ化してみた。

みなさん、スマートウォッチはお好きですか?
毎日使っているでしょうか。

僕は基本的に面白いガジェットには目がありませんが、時々、妙なところで天邪鬼な一面が顔を出します。
例えば、僕はもう長いことiPhoneユーザーなので、いつでもApple Watchを使える立場なのですが、今日に至るまで、使わずに生きてきました。

series 11になってバッテリーが24時間持つように。
…やっぱり短くないですか?

主な理由は、次の3つ。

ひとつは、利便性軸ではなく愛着軸で見た時に、スマートウォッチより、ゼンマイやローターや無数の歯車で動くアナログ時計の方が、モノとして圧倒的に魅力を感じるから
言い変えると、僕が愛着と利便性を比較した時に、どうしても「愛着が持てるかどうか」を重視してしまうタイプの人だ、ということでもあります。

あらゆるものが充電を必要とする今の時代に、身につけて生活しているだけで体の動きを利用して勝手にゼンマイが巻き上がり動き続ける「実質的な永久機関」は、手工業のプロダクトの中で人間が到達した一つの極みであり、もうそれだけで「尊いな」と感じます。

実際、アナログ時計はきちんとメンテナンスすれば孫の代まで使えますので、とても環境に優しい道具です。

セイコーの自動巻ムーブメント「NH35A」。安くてタフで正確。

ふたつ目は、スマートウォッチの呪縛の強さを警戒しているから
スマートウォッチを身に付けていると、いちいちスマホを取り出さずとも、通知が飛んできてメッセージやスケジュールを把握したり、決済できたりするので、確かにとても便利です。

それだけでなく、「手首に巻いていれば詳細なライフログが取れる」というところが、スマホには成し得ないスマートウォッチならではの強みだと言えます。

ただし、ライフログは毎日取り続けてこそ真価を発揮するもの。
つまり、自分の生体データを取りたくてApple Watchを使い始めた場合、もうApple Watchから離れられなくなることが容易に想像できました。

それはとりも直さず、他のすべての時計の出番が奪われることと同義なので、時計好きとしては受け入れがたい束縛に感じました。

UltraいいよねUltra

そして3つ目は、単純にお高い
僕は、頻繁に充電を必要とするガジェットが好きではありません。なので、もしApple Watchを買うとしたら、少しでもバッテリーの持ちが良いUltraを選びたいです。

しかし、パソコンやスマホ同様、この手のデジタルガジェットは基本的に活躍できる年数が短いもの。頻繁に買い替える定めにあるものをまた一つ増やし、それに16万円も払うということに、非常に大きな抵抗を感じます。ぶっちゃけ、パソコンとスマホでもうお腹いっぱいです。

そもそもライフログを取るだけなら、いまはいくらでも選択肢があるので、僕はXiaomi(シャオミ)のSmart Band 10を使ってきました。10日に一度の充電でOKだし、6500円でお釣りが来るので、コスパモンスターです。

本当におすすめ!

僕はスマートウォッチの利便性には浴したいものの、正直、Apple Watchにモノとしての魅力はあまり感じません。
ちょうど、登場して間もない頃のiPhoneには純粋にモノとしてワクワクしたのに、今ではただのインフラとしか感じなくなったのと似た感覚です。

これらの話をひっくるめると、僕が欲しいのは「アナログ時計の顔をしたスマートウォッチ」だということになります。

そんな僕が買おうかどうかずっと迷っていたのが、クラウドファンディングで資金調達していた「wena X(ウェナ・クロス)」です。

非常にいいガジェットだと思います。
こういう狂気すら感じるプロダクト、好きです。

wena Xのコンセプトは「自分の好きな時計をスマートウォッチ化する」こと。(より正確には、今作では「腕時計の姿とスマートバンドの姿を行き来する」へと変化しています)

手持ちの時計のバンドをwenaが組み込まれたバンドに交換することにより、手の甲側はアナログ時計、手のひら側はスマートウォッチという「二つの顔を持った時計」に仕立てることができる仕組みです。

ここだけ聞けば、まさに「アナログ時計の顔をしたスマートウォッチ」を実現するのにもってこいのソリューションのように思えます。

使用例。開発陣が想定するターゲットがだいたい分かります。

そもそもwena Xは、元々SONYが社内ベンチャーの一環で「wena wrist」として2015年から手掛けてきた事業ですが、事業規模やポートフォリオの見直しの結果、2024年にソニー社内でwenaの終了が決定されました。

それを、「終了するくらいなら自分たちに引き継がせて欲しい」と、発案者である對馬(つしま)哲平氏をはじめとする熱心な開発メンバーがSONYから独立して譲り受けたというところが、非常にアツいです。

この応援したくなるストーリーも相まって、一口乗るかどうかで真剣に悩みました(実際、コンセプトに共鳴した1万人以上のギークたちから、2026年7月の時点で5億7千万円を超える資金が集まっています)。

ですが、結局僕は、wena Xにも食指が動きそうで動きませんでした。
僕がスマートウォッチ化したいのはシンプルなアナログ時計ですが、くるっと手首を返した時に、情報量の多いデジタル表示のディプレイが視界に飛び込んでくることを想像すると、どうしても違和感が拭えなかったからです。

レトロな外見と手応えのある走りを求めてヴィンテージカーを買ったのに、乗り込んだらコンソールが未来感あふれるタッチパネルで、ドライビングは自動運転だった…みたいなミスマッチというか。

要するに、アナログの顔とデジタルの顔が横に並んでいることに、デザイン的な文脈の一貫性を感じることが出来なかったわけです。

wena Xは、自分が「便利になりすぎることを望んでいるわけではない」ということに気づかせてくれるきっかけになりました。
正真正銘のアナログ時計が、見えないところでこっそりライフログだけ記録してくれている…そういう匙加減のツールが、僕にとっては理想だったようです。

そんな時に現れたのが、Googleの「Fitbit Air」でした。

ホントにただの輪っか。

最初に驚いたのは、どう見てもただのリストバンドにしか見えない外観です。スマートウォッチとしてあるべきディスプレイがありません。
それもそのはずで、Fitbit Airはスマートウォッチではなく「フィットネストラッカー」であり、装着者の1日のアクティビティを淡々と記録することだけを目的とした観測デバイスです。

Fitbit AirとNATOバンドは、見る人が見れば「クリソツ」

その構造を見た瞬間、(あ。待ってたのはこれだったかも?)と何かが閃きました。
手首の周りを1周半もする長いバンドが、「NATOバンド」と非常によく似た構造に見えたのです。アナログ時計好きなら分かって頂けるかと。

NATOバンドの通し方は非常に簡単。

NATOバンドは、ただ時計のラグ(ベルトを取り付ける部分)の隙間にスルッと通すだけの、シンプルなリストバンドです。Fitbit Airのバンドなら、同じ取り付け方が出来るのでは?…うん、たぶん行ける気がする。

思い立ったら吉日、僕はFitbit Airを購入しました。

ストラップがちょっとだけ長くて余ります。

これが、実際にアナログ時計「BUSHIPS(ブシップス)」とFitbit Airを組み合わせてみたモノです。
違和感がなさすぎて、新しいものを見せられている気がしませんが、よく見ると、時計の真裏…バンドの下に、Fitbit Air本体が隠されています。

手首に当たる部分に本体が隠れています。

おそらく言われない限り、巨大な竜頭が特徴のBUSHIPSが、フィットネストラッカーでもあるとは誰も思わないでしょう。
この「スマートウォッチとしての存在感のなさ」こそが、僕が欲しかったものです。

僕がこの時計(BUSHIPS)をスマートウォッチ化の被験体(笑)として選んだのは、個性的なデザインが好きだったのはもちろんですが、ベルト幅がFitbit Airとまったく同じ18mmだったという点も大きいです。

ただ、純正ベルトは特殊な生地で出来ていて汗や汚れを吸い込むので、どれだけ洗ったところで、早晩「臭くなってくる」ことが予想できました。

そこで、Amazonでサードパーティー製のFitbit Air用シリコンバンドを見繕って交換し、ローラー台でのトレーニングで汗だくになっても問題なく丸洗いできる防水性と防汚性を確保しました。

取り付けには簡単な加工の必要あり。
知りたい方はメッセージください。

ちなみに、wena Xがなぜコンセプトを「腕時計とスマートバンドを行き来する」へと変えたかというと、ユーザーがwenaと組み合わせる相方として想定しているアナログ時計が、得てして「大柄で高価で重い」場合が多いから。

「そんなの寝る時や運動する時まで付けていられない」という問題を解決するために、時と場合に応じて時計部分を取り外し、wena単体でも利用できるように進化しました。

その点で言うと、今回作ってみたこのBUSHIPS Air(笑)は、非常に小ぶりで軽く安価なので、24時間つけっぱなしでも気になりません。

これで汗まみれになってもOK!

驚いたのは、固定ローラーを漕いだ後にスマホの専用アプリでログを確認すると、ちゃんと「30分間エアロバイクをやった」ことになっていたことです。

Googleが買収したFitbitは、フィットネストラッカーの先駆的なメーカーであり、睡眠・心拍・ストレス・運動パターンなどの生体データに関して膨大なデータを持っていました。

Fitbit Airにはその知見が注ぎ込まれているので、手首に伝わる振動のテンポや加速度センサーの動き、心拍数の変化、GPSの移動の有無などによって、ユーザーがいま何をやっているのかを高度に予測することが出来るわけです。すご。

とはいえ、運動の自動検知は上手く行くときもあればスルーされることもあり、まだ発展途上の機能だなという印象です。
ただ、Fitbit Airとつながるアプリ「Google Health」はAIのGeminiと連動しているので、運動を終えた直後に
「〇〇:〇〇から〇〇:〇〇まで、エアロバイクやったよ」
と入力すれば、勝手に心拍データと紐づけて上のようなデータを作ってくれます。

こうして「アナログ時計のスマートウォッチ化計画」は、とりあえず上手くいくことが分かりました。
コストは16,800円、バッテリーライフは約7日間。もし充電し忘れてバッテリーが切れたとしても、時計は何食わぬ顔で動き続けます。文句ありません。

GarminのCIRQA Smart Band。そっくりですね。

最近はGarminやAmazfitなどからも次々にディプレイのないフィットネストラッカーが登場していますが、いちばん小さくて薄いのはFitbit Airなので、アナログ時計と組み合わせるなら、これ一択かなと思います。
(分厚いと、パソコンのタイピング中に邪魔になるので)

それに、Google HealthはGoogleがPixel Watchのために作ったアプリですから、よほどのことがない限り、存続していくはずです。そういう安心感もFitbit Airの強みになるかと。

めちゃくちゃニッチなニーズだとは思いますが、Redditなどを見ていると、海外でも全く同じことをやってみようとする人たちが結構いたので、日本でも誰かの参考になればと思い筆を執った次第です。



最後に、向き不向きを書いてまとめとします。

誰に向いているのか
 アナログ時計愛が深い人
 ライフログが取れれば十分な人 
 通知や視認はスマホでいいや、と割り切れる人
 即時性を求めない人

誰に向いていないのか
 通知やスケジュール管理が必要不可欠な人
 タイマーやストップウォッチを使いたい人
 何でもリアルタイムで知りたい人

■注意点:充電時、アナログ時計の磁化に注意。

P.S. デジタルデトックスにちょうどいいかも?

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