ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~(第34話)
(第34話)
第5章 ~天国から地獄~
12月28日。
リョウちゃん達、会社員の人は今日で仕事納め。
そんな時、受付事務の人が「貴方にお客さんが来てたわよ」って言われて、名刺を見せられた。
女性の名前だったけど、全く面識が無く知らない人だった。
誰だろう・・・?
トオルくんと同じ会社みたいだけど?
すぐ近くだったので、お昼休みに行ってみた。
「カフェルーム」で待ってたら、すぐに女の人が此方へ歩いて来た。
「お待たせしてすみません」
そして、私の顔を見ると確認するかのように言った。
「あなたが、サオリさん?」
「はい。そうですけど・・・」
私が首を傾げると、その女の人は、私に名刺を差し出して、「申し遅れました。私、こういう物です」って、営業マンみたいに自己紹介した。
「あ、どうも」
私も、何か言わなきゃ。
って思っていたら、ワタナベエリコと名乗ったその女性は、私を上から下までじっくり観察するように見た。
「な 何ですか?」
何だか、嫌な感じがした。
「フゥ~ン。意外と普通なのね。何処がいいのかしら?」
「あの~。何の用ですか?」
突然、豹変した彼女の発言にカチンときてしまった。
「ごめんね。ホントは、あなたに会うつもりはなかったの。でも、彼が好きになる女性ってどんな人なのかって思ってたら、どうしても知りたくなって。悪く思わないでね」
エリコさんは、一方的に喋り出した。
「あの。『彼』って、誰の事ですか?」
私が訊くと、エリコさんは突発的に笑い出した。
「あら、やだ!ごめんなさいね。難しかったかしら。じゃぁ、単刀直入に話すわね」
エリコさんは、笑いが治まると真剣な眼差しに変わった。
「あなたの彼に何度か相談に乗ってもらっているうちに、好きになったの」
それを聞いた瞬間、思った。
もしかしてこの人かな?
リョウちゃんが助けた人って。
私と顔がそっくりだ。
リョウちゃんが、「鳩子」って間違えたのも分かる気がする。
「だから、彼と別れて欲しいの」
「えっ?」
一瞬、固まった。
エリコさんは、驚きを隠せない私に向かって言葉を続けた。
「24日のクリスマスイブの日。彼、あなたの許に来なかったでしょ?私が、彼を引き止めたの。それで上手く私の部屋に誘ったの。あなたより、私の方を選んだの。だからお願い。彼と別れて!」
エリコさんは、言葉を強めて私に迫ってきた。
そ、そんな‥‥。
そんなの信じたくない。
唇を噛み締めて、泣くのを我慢していた時。
「おい、ワタナベ。何、やってんだ?」
トオルくんが、慌てて私たちの間に割り込んできた。
「”サオリちゃんには会うな”って約束しただろっ?」
「貴方がいつまでもグズグズしてるから、私が橋渡ししてあげたんじゃない」
「余計な事しなくていいからっ!」
2人のやり取りを耳にした途端、私は大声で叫んでいた。
「トオルくん!どういうことか説明して!」
トオルくんは一旦、静かになり黙り込んでしまうと、エリコさんが私に説明した。
「ウソよ」
「えっ?」
エリコさんは、驚いている私に言葉を続けた。
「彼とは何にもなかったわ。上手く私の部屋には誘ったんだけど、彼『オレは、彼女と約束があるんだ。行かなきゃ』って、申し訳なさそうに言うのね」
エリコさんは、ありのままの状況を正直に話すと、自分の素直な気持ちを伝えた。
「彼。私が今まで付き合ってきた男性と違うタイプだったから、本気で好きになりそうだったわ」
エリコさんは、今までのギスギスした感じがウソのように、優しい眼差しになってた。
そして、リョウちゃんの心配までした。
「私と二人っきりの時も、貴方の話ばかりするんだもの。あなた、よっぽど彼に愛されてるのね。あんまり妬けてきたから、彼のポケベルに”ウソ”のメッセージを送っちゃったの。そういう訳だから、あまり彼を攻めちゃダメよ」
じゃぁ「4510」って送ったのは、エリコさんだったんだ。
そう思うと、直ぐにでもリョウちゃんに会いたくなった。
「私の話はこれで全部よ。後は、そっちの”彼”に話を聞いてね」
エリコさんは、「私はそろそろ仕事へ戻るから」って、立ち去ろうとした時に。
最後に、私を安心させるかのように言った。
「あなたの彼にはもう会わないから、安心して。優しい彼とお幸せにね」
エリコさんの対応が余りにも素晴らしかったのか、トオルくんは何も言う言葉が見つからず、バツの悪そうな顔をしていた。
「ごめん。サオリちゃん」
トオルくんは素直に謝った。
そして、「クリスマスイブ」の日の事を打ち明けた。
「あの日、サオリちゃんに会ったのは偶然じゃなかったんだ。ずっと2人を観察していた。エリコに、リョウを引き止めさせたのは、オレなんだ・・・」
次の瞬間、“バチーン“と大きな音がして、気が付いたらトオルくんを引っ叩いていた。
「トオルくん・・・。最低!」
生まれて初めて人を引っ叩いてしまった。
自分でもあんな行動が取れるなんて思ってもみなかった。
でも、何だか”スカッ”とした気分になっていた。
それと同時に、”浮気じゃなかった”って分かったことが何より嬉しかった。
私は、彼に早速「11014」(会いたいよ)ってメッセージを送った。
その後直ぐに「106841」(TEL欲しい)って返事が返ってきた。
「サオリからの”メッセ”読んで、超スピードで仕事を終わらせたよ」
リョウちゃんが、私の勤務先まで迎えに来た時、待ちきれなかったかのように言った。
そして私たちは、「クリスマスイブ」の日に出来なかった「デート」のやり直しをした。
「まず、ご飯食べに行こっ。腹、減った」
リョウちゃんはそう言って、私を街中へと連れ出した。
今日は、今年最後の「仕事納め」ということもあり、何処も人がいっぱいだった。
「レストラン予約入れようと思ったけど、”満席”で出来なかった。ごめん。こんな所しかなくて・・・」
リョウちゃんは、近くのファミレスへ私を連れて行った。
ホントならこんな所じゃなく、「クリスマスイブ」の日に”キャンセル”したレストランへ私を連れて行くつもりだったらしいけど、生憎、満席で予約がとれなかったらしい。
「ううん。仕方ないよ。また来年の”クリスマスイブ”に、連れてって」
「うん。そうだな。今年はもう、過ぎちゃったから。また来年もあるし、な」
「うん! じゃぁ、指切りしよっ」
私たちは、1年後の「クリスマスデート」の約束をした。
でもその願いは、私たちには叶わなかったんだ。
12月28日。
短い時間の「デート」だったけど、楽しかった。
その後リョウちゃんは、私を家まで送った。
運転中は、一言も喋らなかった彼が、私の家の前に車を停めると、「“仕事“って、ウソ吐いてごめん!」って、謝ってきた。
「ううん。サオリの方こそ、連絡しないでごめんね」
その言葉を聴いたリョウちゃんは、弱冠、柔らかい表情になった。
「すぐバレそうな嘘なのにな。あの時は、ああ言うしかなかったんだ。バカだよな。(笑ハハッ」
リョウちゃんは、自分がした行動に苦笑いした。
私は、エリコさんが自分を訪ねてきたことをリョウちゃんに話す事にした。
「今日ね、エリコさんがサオリの所に訪ねて来たの」
「サオリのとこに?何しに?」
「顔が見たかったんだって。”仕事”って、メッセージを送ったのエリコさんでしょ?」
私は、昼間の事をリョウちゃんに打ち明けた。
するとリョウちゃんは、安堵の笑みを浮かべて言った。
「なぁ~んだ。だったら、話が早いや」
そして、あの日の事を話し始めた。
「あの人、行き成り泣きついて来てさ。どうしようかと思ってたら、今度はオレを誘惑して来たんだ。ホント参ったよ」
それを聴いた時、エリコさんの言葉の意味が漸く分かったような気がした。
ほんのちょっとでも、疑ってごめんね。
リョウちゃんは、サオリのことちゃんと信じてくれてたのに。
でも、どうしても、トオルくんの事だけは言えなかった。
リョウちゃんは、話してスッキリしたのか、満足そうに言った。
「よ、よし!これでもう隠し事はない、よな?」
リョウちゃんは、私を抱き寄せてキスをしてきた。
まるで、別れを惜しむかのように、何度も何度も。
漸く唇を解放すると、「おやすみ」って言って、帰って行った。
結局、トオルくんの事は、最後まで言えなかった。
もし言ったら、また殴り合いの喧嘩になるかもしれない。
でも、もうトオルくんには会うこともないし、話す必要もないって。
そう思っていた。
だけど、この選択が悪い方向へ向かうなんてこの時は、思ってなかった。
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