ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~(第4話)
(第4話)
第1章 ~1988年~
ある日の放課後・・───。
同じクラスメートになった縁もあってか、トオルくんとリョウちゃんと3人でお喋りをしていた。
ちょうどそのとき、勢いよく教室のドアが開いたかと思うと、突然 もの凄い形相をした女子生徒が飛び込んできた。
「トオル!! あんた、また女の子クドイてたでしょ!?」
「げっぇ! ユ、ユウコ・・・・・・!」
「ユウコ」と呼ばれたその女子生徒は、頭に血が上っているみたいだ。
今、鋭い目つきでトオルくんを睨み付けている。
河合 裕子。
彼女とは、この日が初対面だったんだけど、後に 私の強い味方になってくれる大事な親友・・・・・・。
当時は、明るい茶色系に染めた長めのストレートの髪をポニーテール風に纏めていた。
綺麗な顔立ちをしているけど、見た目が派手な為、近寄りがたさを感じた。
え・・・。
何・・・・・・っ!!
すごい迫力・・・・・・。
「お前・・・ あの娘には、弱いのな~」
リョウちゃんは、もう既に見慣れているみたいで大してあまり驚きもせず、2人の葛藤を眺めていた。
「ねぇ いつもこんな感じなの?」
私は、リョウちゃんの耳元で小さい声で訊いてみた。
「あぁ もう慣れっこだよ。でも、今日のはまだ甘い方だぜ」
えぇ~~~~。
いつもは、もっとすごいの~!?
あまりの驚きに思わず、大声を出しそうになった。
ユウコとトオルくんの出会いは、まだ2人が「中学生だったころ」・・・ていう話をリョウちゃんから聞かされた。
そのころ、2人は別々の学校へ通っていて、顔も名前も、お互い知らなかった。
そんな2人がどうやって出会ったのかというと、「遊び人」の癖が直らないトオルくんのナンパだったらしい。
「あ、そういえば・・・・・・ ユウコが、しょっちゅうウチのクラスに来てたなぁ」
1年前のことを思い出したのか、リョウちゃんがこんな話をしてたっけ。
高1の時、他のクラスだったユウコは、毎日 休み時間になると、トオルくんたちのクラスへ来て、女子に人気があるトオルくんの周りを常に監視していたらしい。
「家柄が、ものすげぇ~ 金持ちらしいよ」
リョウちゃんが言った言葉にも、「へぇ~ そうなんだぁ」・・・って、そのときは何気なく応えたんだけど。
どれくらいすごい家柄のお嬢様だってことを実際、全く分かってなかった。
ユウコは、見た目は少し派手だけど「お嬢様」だって感じが全然、しない女の子だった。だから、普通に友達として接していた。
だけど・・・・・・。
トオルくんとは、相変わらず痴話ゲンカばかりだった。
********
4人で行動するようになってからは、毎日が楽しかった。
そのころが、多分 一番楽しかったのかも・・・・・・?
もし、時間を戻せたら・・───。
もう一度・・・もう一度やり直せるのに・・・────。
********
「サオリちゃん!いつになったら『デート』してくれるの!?」
「ひゃっ!!」
突然、机の上をバンっ!って叩く音がして、ビクッとなった。
ふと見上げると、トオルくんが焦れったそうな顔をして、見下ろしていた。
「電話番号とか、訊いてもいい?」
え・・・。
この前、言った「あれ」って冗談じゃなかったの?
初めてトオルくんと話した翌日、「『デート』しようよ」って口説かれたことを思い出した。
でも結局、上手く断れないまま・・・そのままになっていたんだっけ。
「今日こそは、応えてもらうからねっ」
うぅ~ もう逃げられない~~~~。
何て 応えたらいいんだろ・・・・・・?
・・・って動揺しながらも、口を突いて出てきた言葉は・・───。
「ト、トオルくん。た・・大変ねぇ~ あれだけの女の子たちの誘いを断るのも・・・・・・」
と言ってみて、すぐに後悔する。
さっき、何人かの女子生徒たちに言い寄られていたトオルくん。
てっきり、断るのに手間取っていると思ってた。
だけど、実際は違ってた。
「断る? オレ、断ったことないけど」
って、あっさり応えられた。
え・・・・・・。
もしかして、全部受けてるってこと??
「そんなこと、サオリちゃんが心配しなくても大丈夫だよ」
別に、心配してないけど・・・・・・。
「サオリちゃんが『デート』したいって言ったら、ちゃんと”スケジュール”空けとくからね」
あ~ そういうことね。
だから~ そうじゃなくって・・・・・・。
予想外の展開にどうしていいか分からず、どぎまぎしてしまう。
やっぱり、この人 苦手~~~。
「あれ? おかしいな・・・・・・」
トオルくんが後方のズボンのポケットに手を突っ込んで、必死で何かを探していた。
すると、突然背後から。
「今、そこで拾ったんだけど」
「げっ ユ ユウコ・・・・・・!」
いつの間に取り上げたのか、ユウコがトオルくんのアドレス帳を目の前で、ちらちらと見せつけていた。
「あ・・・ そそれはっ! いつの間に・・・・・・!?」
「これ、捨てちゃおっかな~」
「か 返せよ!」
「嫌だ。 アタシと『デート』する気があるなら、返してあげる」
「くそ~~~ お前は・・・ 詐欺の常習犯か」
それから数分間・・───。
2人の激しい言い争い。
さすが、年季が入ってる~。
そのとき 突然、強い風が吹いてきたかと思うと。
ユウコの手に持っていたトオルくんのアドレス帳が・・・・・・宙に舞った。
そして、そのまま窓の外へ真っ逆さまに落ちていった。
「あ・・・ ごめん! ・・・手が滑っちゃった」
「お前・・・ 誰かに拾われたらどうする気だ!!」
「アタシ、知~らない」
ユウコは、そう言って素知らぬフリをする。
「くそ! 取りに行ってくるっ!!」
トオルくんは、蒼い顔をして教室から飛び出して行った。
ちょうどそのとき、リョウちゃんがトオルくんと入れ替わりに、教室に入って来た。
「早く帰ろうぜ」
「う、うん」
ユウコは、さっきトオルくんのアドレス帳が落ちていった窓の外に目を向けていた。
「ん? どうした?」
「トオルくんのアドレス帳が・・・・・・」
「は?」
今まで起きた状況を何も知らないリョウちゃん。
当然、キョトンとした顔をしていた。
ユウコを教室に残して外へ出ると、アドレス帳を探しているトオルくんの姿が見えた。
「あ・・・ トオルくん」
「ホントだ」
こっちには全く気付かないトオルくんに、リョウちゃんがニヤッとした笑みを浮かべると、大声で呼びかけた。
「トオル~! アドレス帳あったか~?」
「馬鹿っ! 声がでかいよ」
「もう、誰かに拾われちゃった?」
「早く、帰れよ・・・・・・」
悪戯っぽい笑みを浮かべてからかうリョウちゃんにトオルくんは、相変わらず ご機嫌斜め。
いつもは、クールで女子生徒からも憧れの存在のトオルくんが、今日は必至でアドレス帳を探している。
その光景が可笑しくて、思わず「ぷっ!」と吹き出した。
トオルくんには申し訳ないけど、笑いを堪えることが出来なかった。
ごめんね。
トオルくん・・・・・・。
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