見出し画像

ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~(第16話)

(第16話)

第2章 ~記憶・・・・・・~ 


リョウちゃんったら、何で「あんなこと」言っちゃうのよ‥‥‥。

そのころ私は、泣きながら歩いていた。

さっき、教室を飛び出したとき、トオルくんと鉢合わせしたけど・・・。
多分、見られちゃったよね。

リョウちゃんを引っぱたいたとき、涙が出て止まらなかった。
今度こそ、ホントにもう、嫌われちゃったかも‥‥‥?

ちょうどそのとき、背後に人影が見えた(?)かと思ったら、いきなり口を塞がれた。
何やら甘い匂いを嗅がされ、私は気を失った。

それから後のことは、全く記憶がない・・────。


ここは・・・何処ドコ・・・・・・?

目が覚めたとき、私は後部座席に眠らされていた。

痛っ! 何、これ? 頭がズキズキする。
それに・・・・・・。
両手を後ろにきつく縛られていて痛い。

何、これ?

パニックになっている自分の頭の中を整理する為に一度、深呼吸して辺りを見渡す。
車の窓は半分くらい開けられていて、ここから外の様子が見えた。
少し離れた場所に人影が見える。
誰だかわからないけど、全く面識がない見知らぬ男性が2人・・・?

こっちに背を向けて何か喋っていた。

「奴は来ますかね?」
「こっちには大事な人質がいるんだ。俺たちを馬鹿にしたこと後悔させてやる」

この人たち、リョウちゃんを探していた・・・?
「誰」ってはっきりとは言わなかったけど、私は何となくそう確信した。

もしかして、リョウちゃんが記憶喪失になったのも、この人たちと「何か」関係があるの?

そう思っていたとき、後部座席のドアが開いた。

「おい、降りろ」

私は、無理やり車から降ろされる。
そして、初めて自分が立っている場所がはっきりと分かった。

ここは、リョウちゃんが「記憶喪失」になった原因の崖の上だ。
もう二度と、「この場所へは来たくない」って思っていたのに。

今ではもう「安全柵」が掛けられてあるけど、それでもまだ足が竦んでしまう程の高さだ。
この時期は、まだ昼間でも流石に寒い。

私は、寒さと恐怖で身震いした。

「お嬢ちゃん。あんたには恨みはねぇが、奴をオビき寄せる為に利用させてもらった」
「・・・・・・」

私は、あえて何も応えなかった。
何故なら、下手に刺激しない方がいいって思ったから。

すると、彼はすぐに怖い表情に変わり、でもそれは私に向けられたものではなかった。

「あの野郎・・・ オレたちをさんざん馬鹿にしやがって・・・」

相当、腹が立ってるみたいだった。

リョウちゃん! この人たちに何したの!?

**********

さ、寒い・・・。

ここへ連れて来られたときは、まだ日が差してて暖かかったけど、あれから何時間か過ぎて、だんだん薄暗くなり始めていた。
初めは穏やかな表情だった男の1人が、だんだん苛ついてきているのが分かった。

「あの野郎・・・ 怖気オジケづいて逃げたんじゃないだろうな?」
「奴が来なかったら、人質はどうします?」
「顔を見られたんだ。このまま帰らせるわけにはいかねぇだろ」
「やっぱり、・・・殺しちゃうんですか?」
「いや・・・待て。俺たちには”前科”があるんだ。事故死に見せかけて始末するさ」

サオリ、ここでこの人たちに殺されちゃうの?
まだやりたいこといっぱいあったのに・・・・・・。
リョウちゃんと仲直りもしないまま死んじゃうの?

リョウちゃんに逢いたいよぉ~。

「あんたには恨みはねぇが、ここで死んでもらおうか」
「お願い 家に帰して ・・・貴方アナタたちのことは誰にも言わないから‥‥‥」

私は、もう半泣き状態で男に必死で頼んだ。
すると、男は希望を持たせるかのように提案した。

「じゃぁ、こうしよう。タイムリミットは、あと5分だ。奴が来るまであと5分だけ待ってやる」

あと5分・・・?

何かの「映画」で聞いたことがあるような「セリフ」を男が言った。

「俺は、やさしい男なんだ。痛みも苦しみもないようにひと思いにってやるさ」

どっちみち、寿命が少しだけ延びたけど。

「何にも怖がることはない。その後で奴も、あんたのところへ送ってやるよ」

やっぱり、ここで死んじゃうのかな・・・。

そう思っている間にも、刻一刻と時間だけが過ぎていき・・。

「時間切れだ。残念だったな」

リョウちゃんは、来なかった。

「さぁ、ここから飛び降りろ」

真冬の冷たい海に飛び込んだら、確実に死んじゃうだろうな。

私は、初めて死の恐怖を感じた。
リョウちゃんと天国で逢えたら、素直に言えるかなぁ。

「ごめんね、リョウちゃん」って・・・。

ごめんね・・・・・・。

そのとき、何度も自分を呼ぶ声が聞こえた。

「‥‥‥!」

走馬灯・・・?

ここにいるはずのないリョウちゃんの声が聞こえる。
もうすぐ死ぬ直前だから・・・?

だけど、その声は次第に大きくはっきりと耳に届いた。

「サオリちゃ〜ん!!」

やっぱりリョウちゃんの声だ!
リョウちゃんが助けに来てくれた!!

数時間前に別れたばかりなのに、もう何日も会ってないような気がする懐かしい声・・・。

「ようやく来たようだな」

男はそう言うと、すぐに私を引き戻した。

「この子を離せ!」

リョウちゃんは、もの凄く息が上がっていた。

「てめぇ、よくも俺たちを小馬鹿にしてくれたなぁ(怒。 この高さから落ちて、生きていたとは運がいい奴だ」
「あんたたち、誰だ?」

リョウちゃんは、男たちには「全く身に覚えがない」っていう顔をした。
その反応に、男たちを余計に苛つかせてしまったらしい。

「まさか、『忘れた?』とか言うわけじゃないだろう」

すると、リョウちゃんは相手を挑発するかのように、

「ピンポーン!あんたたちのこと、全然覚えてないや。それにオレ、崖から落っこちた衝撃で”記憶喪失”になっちゃったらしいから」

躊躇チュウチョすることなく男たちに言い放った。そのあともリョウちゃんは、”挑発”する暴言をいっぱい吐いた。

私は、突然思い出した!
確か、中学の頃もこんなことあったっけ。

正義感が強すぎるリョウちゃんは、見て見ぬフリが出来ない。
いつも誰かを助けるために、危険な目にあってきた。
高校生になって、もう直ったと思っていたのに。
お願いだから、もうこれ以上相手を挑発するのはやめてよ!

「アニキ、あいつ完全に俺たちをなめてますぜ」
「あの野郎・・・(怒」

次の瞬間、男が物凄い勢いで私の背中を押した。
リョウちゃんが、咄嗟に身体で受け止めてくれた。

「サオリちゃん!大丈夫だった?」
「ふぇえ~ん!リョウちゃん、怖かったよぉ~・・・(泣」

私は、リョウちゃんの胸にすがって、激しく嗚咽した。

「間に合ってよかった。いろいろ探し周ってたから‥‥」

リョウちゃんは、私の腕を縛っていたロープをホドきながら言った。

いろいろ探し周ってくれていたんだぁ。
リョウちゃんは、サオリのこと見捨ててなんていなかった。

ほんのちょっとでも、リョウちゃんを疑った自分が恥ずかしかった。

じわりと胸の奥が熱くなって感動に浸っていたとき‥。
また再びピンチに立たされた。

男が、上着のポケットからカッターナイフを取り出した。
その瞬間、リョウちゃんの顔つきが険しくなった。

「サオリちゃん。ちょっと・・・いや、かなりヤバい・・・かも?」
「え?」

リョウちゃんは、決死の覚悟で私に言った。

「サオリちゃん、オレが奴を引き付けるからサオリちゃんだけでも逃げて」

だ・・・。

今、リョウちゃんと離れたら・・もう二度と会えなくなるような気がした。

だ。リョウちゃんが、死んじゃうよぉ」
「言っただろ? 『サオリちゃんを置いて死ねない』って」

リョウちゃんは、泣きじゃくる私を優しく慰めてくれた。

私とリョウちゃんは、崖の端まで追い詰められた。

「さぁ、2人仲良く死んでもらおうか」

男がゆっくりと近づいてきたとき‥────。

「サオリちゃん。走れる?」

リョウちゃんの問いかけに「うん」って頷くと。

「オレが合図したら、サオリちゃん。あっちへ走って」

リョウちゃんが、男に気付かれないように視線を向けた。

「大人しくなったな。さっきまでの威勢はどうした?」

男は、リョウちゃんがすっかり観念したと思い込んでいる様子を見せた。

リョウちゃんは、一歩後ろへ下がると、地面に落ちていた小石を男に目掛けて蹴った。

え?
今、何が起こったの?

「よしっ、今だ! サオリちゃん、走って!」

男が一瞬だけ目を逸らしたとき、リョウちゃんの鋭い声。
その声に反応して、私は走り出していた。

もう少し・・。
あともう少しで大通りに出られる・・・・・・。

そう思ったとき、パトカーの警音が鳴り響いてきた。

最初から読む☟

#創作大賞2024 #恋愛小説部門

いいなと思ったら応援しよう!