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ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~(第6話)

(第6話)

第1章 ~1988年~ 


今日は、苦手な体育の授業があったんだぁ。
男子生徒は、「バスケットボール」女子生徒は、「バレーボール」だったので、体育館を半分に分けて、それぞれ自由に練習をしていた。
ふと、隣りのコートを見ると・・・・・・。
男子たちが、勝手に「ミニゲーム」を始めていた。
どうやら、「リョウちゃんチーム」と「トオルくんチーム」に分かれて、対抗試合が始まったらしい。
女子たちは、授業そっちのけで男子たちの方を気にし始めて、ざわざわと騒ぎ出した。

「きゃー トオルく~ん!!」
「かっこいい~~~!!」

トオルくんのファンらしき女子たちは、しきりに声を張り上げていた。
もうこの場所は、「コンサート会場」みたいな勢いになっている。
クラスの半分近くが、「トオルくんチーム」を応援し始めた。
やっぱり目の前で見ると、あの人気はすごいっ!

「サオリは、どっちの応援・・・?」
「え・・・ ?」

いつの間に来たのか、ユウコが側に寄ってきていた。

「どっちって・・・ べ 別にどっちでも・・・・・・」
一瞬、リョウちゃんの方を意識してしまったけど。

ユウコは、そっと耳元で「意味ありげ」な言い方をした。

「一部の女子には、リョウくんも結構人気あるみたいよ。早く告白しないと、誰かに取られちゃうわよ」
「な 何言ってんの・・・?」

一生懸命 表情に出さないようにしてた。
でも、ユウコには一瞬で見抜かれてしまったらしい。

「・・・好きなんでしょ?リョウくんのことが」
「まっさか~ あんな子供ガキ 何とも思ってないもん」

昨日、おソバ屋さんで赤っ恥をかかされたことを思い出して、急にムカムカしてきた。

全っ然 優しくないし~~。
人が気にしていることをずけずけ言っちゃうし~~~。
「友達以上」になれるかも~?なんて、全っ然 ・・・思ってないもん。

とか、思いながらも・・・・・・。

リョウちゃんを目で追っている自分に気付いていた。
あんな真剣な表情、初めて見た・・・。
元々、運動神経が良かったリョウちゃんが、今 トオルくんと互角に競い合っている。

ドキドキドキドキ・・・・・・。

そう思った途端、また昨日感じた胸の鼓動。
今度は、「もしかして」じゃなく、はっきりと感じる。
サオリ 今、リョウちゃんに恋してるんだぁ~。

やがて・・────。
終了の合図が鳴り終わろうとしたときだった。

リングにスーッと吸い寄せられるかのように、ロングシュートが放たれた。
それをやってのけたのは、リョウちゃん。
「トオルくんチーム」をわずかな差で逆転勝ちした。
クラス全員が、ワ~って歓声をあげた。
それと同時に、授業終了のチャイムが鳴り響いた。

********

次の授業のため、ユウコと一緒に教室へ向かっていた。
すると、後から「サオリちゃ~ん」って、トオルくんが走ってきた。
でも、一緒に終わったはずのリョウちゃんがいない。

「サオリちゃん オレのプレー、ちゃんと見てくれた?」
「え・・・ ?」
「その顔は・・・ 見て・・・ない・・・よね・・・・・・」

トオルくんは、ちょっとショックだったみたいだ。

ごめんね・・・。
トオルくん・・・・・・。

少し罪悪感を感じたとき、ユウコがすぐ真後ろから歩いているトオルくんに話しかける。

「それより リョウくんはどうしたのよ?」
「あぁ アイツね。さっき、先生に呼ばれてたよ」

「先生に呼ばれた」って・・・。
何があったんだろう・・・?

トオルくんは、さっきの「ミニゲーム」でよっぽど悔しかったのか、珍しくグチグチと文句を言い出した。

「あそこで、ロングシュートが入るなんてありえねーぜ。少し前までは、オレの方が上だったのになぁ」
「リョウくんだって、いつまでもあんたとドウレベルじゃないわよ」
「そうなんだよなぁ~ 学歴も、いつの間にかオレを追い抜きやがって・・・・・・。アイツ・・・ どこまで伸びるんだ・・・?」
「そのうち 女の子たちも、リョウくんに取られちゃったりしてね・・・」

ユウコが悪戯っぽい笑みを浮かべて言い放つと、トオルくんは 急に慌てた素振りを見せる。

「そ それは、絶対にありえないっつーの!」

・・・って、言ったかと思うと。
次の瞬間、コロッと態度を変えて。

「でも、女の子たちはオレの方が、若干モテてるしな~」
そう言って、トオルくんは得意げに笑った。

何だか 少しリョウちゃんに似てきた・・・よ・・・ね?

いつも冷静なトオルくんだと思ってたけど。
こんな一面もあったんだぁ~。

********

次の授業のチャイムが鳴ったけど、リョウちゃんはまだ戻ってこない。
先生が教室へ入ってきた。

「起立!」

クラス委員長の合図で、クラス全員が一斉に立ち上がった。
それと同時に、リョウちゃんがスッと入ってきて私の隣りの席へ。

「礼!」

委員長の合図でクラスの生徒たちが、先生の方へ一斉にお辞儀をした。

「着席!」

ストン!と席に着いたリョウちゃんは、走ってきたのか、かなり息を切らしていた。

「どうしたのよ?」
「ハァハァ・・・ 先生に呼び出されて・・・・・・」

息を切らしながらも、私の質問に答えてくれる優しいリョウちゃん。

「・・・バスケ部に入らないか?って」

そっか。
体育の先生は、「バスケ部」の顧問もやっていたんだっけ。

「あまりにもしつこいから、次の授業があるからって、逃げてきた」

「そこ、静かに・・・!」
リョウちゃんが小声で話し出したとき、先生が私とリョウちゃんの方を指差しで注意した。

また後で話、訊こうかな。

その日の放課後・・────。

「リョウちゃん!」
・・・って、声をかけたのだけど。

HRホームルームのチャイムが鳴り終わるのと同時に、クラスの男子生徒たちが一斉に、リョウちゃんの周りに集まってきた。
一気に、数名の男子生徒に囲まれたリョウちゃん。
さすがに、声をかけるタイミングを見失ってしまう。

しばらく観察していると、1人の男子生徒が。
「リョウ。やっぱお前、スゲェな~。あそこでロングシュートを決められるなんてさ」
って、バスケの「ミニゲーム」のことを言い出した。

あ。
トオルくんと同じこと言ってる・・・。

さっき、見事なロングシュートを放ったリョウちゃんは、いつの間にか クラスの注目の的になってたらしい。

やがて、話は別の方向へそれて、バスケ以外の全然関係ない話になっていってた。
何のスポーツでも、ずば抜けた才能があるリョウちゃん。
運動部に入っている男子生徒からは、何とか自分たちの部に入れようと、必死に頼み始めた。
そのうち、「今度の県大会まででいいから」って、助っ人頼みする「野球部」の男子生徒まで現れた。この時期は、何処の部も必死らしい。

こうなると、しばらく帰れそうにないな・・・。
って、思っていたら。

私の様子に気付いたのか、リョウちゃんが「ちらっ」と、こっちを見て。

「あ 先・・・帰ってて」
「う・・・うん」

リョウちゃんが困惑した表情をしていたので、思わず返事をしてしまったけど。

仕方がない。
外で時間、潰そうかな。

そう思って、教室から離れた。

********

グラウンドの方へ歩いて行くと、運動部の生徒たちの活気良い声が聞こえてきた。

そういえば、トオルくん・・・。
サッカー部だったんだっけ。
ちょっとだけ・・・ 見ていこうかな。

トオルくん目当ての女子たちの取り巻きを横目で気にしながら、私は少し離れた場所から見学することにした。
すると、すぐに私に気付いたらしいトオルくんがこっちへ向かってきた。

「サオリちゃ~ん!」

ちょうど練習をしていたのか、サッカー部のユニフォームを身につけていた。

「嬉しいな。サオリちゃん、見に来てくれたんだね」
「う・・・うん でも、すぐ帰るから・・・・・・」

女子たちの痛い視線を感じる。
真っ先にこっちへ来て、トオルくんのファンにニラまれそう。

「あれ・・・? 今日は、リョウと一緒に帰らないの?」
トオルくんは、キョロキョロと辺りを見回して、私が1人でいることを気にし始めた。

「ちょっと・・・ あの・・・ いろいろ忙しいみたいで・・・・・・」
「ふぅ~ん そうなんだぁ」

すぐにまた練習に戻るのかと思ってたんだけど。
トオルくんは、その場をなかなか立ち去ろうとしなかった。
それよりか・・・・・・。

「リョウには、まだコクってないの?」
・・・って、そっと耳元で囁いてきたので、ビクッ!ってした。

「な、何でそんなこと訊くの?」
「いや、別に。何となく・・・・・・」

そのとき、トオルくんを呼ぶ声が聞こえた。
その声の主は、サッカー部員の男子生徒だった。

「じゃぁ、オレ そろそろ戻るわ」
そう言って、トオルくんはグラウンドの方へ走って行った。

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#創作大賞2024 #恋愛小説部門

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