ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~(第10話)
(第10話)
第2章 ~記憶・・・・・・~
高校2年の夏休みは、ユウコの家にお泊りして楽しかった。
けれど・・・・・・。
まさかこの後、あんな事が起こるなんて・・────。
1988年 夏──。
それは、突然の出来事だった。
あの日、リョウちゃんは集中治療室にいた。
ユウコから知らせを聞いて、すぐに病院へ駆けつけると、既にユウコとトオルくんは先に来ていた。
今、リョウちゃんのお父さんが、お医者さんから事情を聞かされているところらしい。
「何が・・・あったの?」
恐る恐るユウコたちに尋ねた。
すると、ユウコが深刻な顔をして、口を開いた。
「詳しいことは分からないけど、川下の方で倒れてたんだって。一命は取り留めたんだけど、まだ意識は戻ってないんだって」
トオルくんは、何も言わずただ下を向いていた。
結局、その日は何も出来ず、診断が来るのを待つことにした。
~幼い日の記憶~
・・・・・・リョウちゃん、学校 いこうよぉ~~
初めてリョウちゃんに会ったのは、幼稚園のときだった。
たまたま家がお隣同士で、同じ幼稚園に通っていたのが切っ掛けで仲良くなった。
あの日は、4月5日。
小学校の入学式の前日だった。
リョウちゃんのお母さんが天国へ行っちゃった。
とってもとっても悲しかった。
だけど・・・・・・。
リョウちゃんは・・・・・・。
それ以上に悲しかったのかもしれない・・・・・・。
「オレ、小学校 行かねぇ」
入学式の当日に、ポツリと一言。
「男の子でしょ? サオリがついててあげるからぁ~」
って、半ば強引に学校まで引っ張って行ったこともあった。
・・・・・・なのに。
彼のお母さんがいなくなって、1年後‥‥‥。
私は、父親の仕事の都合で転校することになっちゃった。
リョウちゃんと離れないといけない。
お別れの言葉も何も言えないまま・・・・・・。
何度も、何度も、後悔した。
それから2週間後、リョウちゃんの意識が戻ったと連絡があり、私たち3人は再び病院へ駆けつけた。
「リョウちゃん!」
リョウちゃんは、頭に包帯をして痛々しい姿でベッドに横たわっていた。
元気そうな姿にホッとして、涙が溢れてきた。
「リョウちゃん!心配させないでよ! もう、し 死んじゃったかと思ったじゃないっ!」
「あんた、誰・・・?」
「え・・・?」
もしかして、部屋を間違えた・・・?
急いで名前を確認しに 一度、部屋の外に出た。
302
仲田 亮
なぁ~んだ!
合ってんじゃん!
分かった!
サオリをびっくりさせようとして、態と・・・?
もう、騙されないからねっ!
「リョウちゃん!いい加減にしてよっ!」
「・・・・・・」
あれ・・・?
反応しない・・・?
いつもだったら、すぐ「お前、単純」って、元気な笑い声が返ってくるのに・・・・・・。
目の前にいるリョウちゃんは、姿は同じだけど、まるで全く知らない人に見えてきた。
もう、嫌っ!
何か、頭がクラクラしてきた・・・・・・。
そして、私は意識を失った・・────。
****************
‥リョウちゃ~ん・・────────。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・・・・あれは、夢だったの?
目が覚めたとき、枕元が自分の涙で濡れていた。
いつの間にか、寝ちゃってたんだ・・────。
『何だよっ 裏切ったくせに!』
突然、夢の中の記憶が蘇る。
そっか。
子供のころの夢を見てたのか・・・?
《子供の頃の自分とリョウちゃんが、手を繋いで歩いている・・・・・・?
突然、リョウちゃんがパッと手を離したかと思ったら、どんどん遠くへ行ってしまう。そして、こっちを振り向いて一言・・・》
「何だよっ 裏切ったくせに!」
そこで、目が覚めた。
そして、少しずつ少しずつ・・・現実に戻ってきた。
『あんた、誰・・・?』
さっき、病室でリョウちゃんが言った。
何、これ・・・?
あ・・・。
誰かが喋ってる・・・。
「可哀想に・・・」
「ショックだったみたいよ」
看護婦さんたちが、自分のことを話してる・・・?
ひそひそ声だったけど、はっきりと聞こえた。
そして、衝撃的な事実を聞いてしまった。
「まさか、記憶喪失になってたなんてね・・・」
え・・・ ウソ!
きおくそうしつ~~~!!
私は飛び起きて、処置室から飛び出した。
********
病室へ戻ると、ユウコとトオルくんが心配して、私が来るのを待っててくれていた。
私は、真っ先にリョウちゃんの元へ向かう。
「サオリのこと、忘れちゃったの・・・?」
「・・・・・・」
リョウちゃんは、相変わらず 反応なしだった。
何か、悲しくなってその場で号泣してしまった。
みんな多分、呆れ顔をして自分のこと見てるね・・・。
リョウちゃんも、「何、この子?」っていう顔してる・・・。
私は、その場でただ泣くことしか出来なかった・・────。
・・・何にも出来なかった・・・・・・。
翌日、授業に集中することも出来ずに、ずっと落ち込んだ気分でいた。
あの後、病室で泣きじゃくる私をユウコとトオルくんが、慰めてくれたけど。
もう、病院へ行くの止めようかな・・・?
そう思い始めていたとき、トオルくんに声をかけられた。
「サオリちゃん。大丈夫?」
「・・・うん。大丈夫じゃない・・・かも?」
「そ、そっか・・・。でも、まあ、その・・・ 何て言ったらいいか・・・・・・」
トオルくんは、私の様子を見て困っている顔をしてた。
「ごめんね、トオルくん・・・。 心配させて・・・」
するとトオルくんは、今度は少し怒った顔を見せる。
「サオリちゃん! 前から思ってたんだけど、何で謝ったりなんかするんだよ? サオリちゃんが、責任感じることないぜ」
そう言われて、初めて自分がトオルくんに気を遣わせていたことに気付いた。
「ほらっ!病院の先生も言ってたじゃないか。突然、記憶が戻ることもあるって」
そう。
リョウちゃんの記憶は、「一過性」のものですぐに記憶が戻ることもあれば、このまま一生治らない場合もあるって、お医者さんが話してたっけ。
でも、もしこのまま治らなかったら・・・・・・?
それだけは、絶対に考えたくないけど・・・・・・。
「大丈夫・・・ ほらっ 元気出して! ねっ・・・」
トオルくんに励まされて 私は、少しだけ・・・元気を取り戻した。
「そうだ。昔のリョウの『写真』とか、持ってる? それ見たら何か、思い出すんじゃないかな~?」
あ・・・ そっか。
確か 家に、「アルバム」があったかも・・・?
「ありがとう。トオルくん・・・」
トオルくんにお礼を言って、私は急いで自分の家に向かった。
・・・────確か、この辺にあったと思うんだけど・・・・・・。
リビングのテレビ台の下を探ってみる。
「あった!」
私は、「アルバム」の中から、リョウちゃんが写っている写真だけ抜き取って、カバンに入れた。
「頑張れ、サオリ! また、中学生のころから始めればいいでしょっ!」
鏡の中の自分に喝を入れて、制服姿のまま・・・病院へ向かった。
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