ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~(第5話)
(第5話)
第1章 ~1988年~
何だろう・・・・・・?
すっごい人だかり。
「おっ!そろそろサッカー部の練習が始まるな」
見るとそこだけ、まるで「アイドルのサイン会か」って思うくらい、女子たちの取り巻きでいっぱいだった。
「知ってた?トオル サッカー部員なんだぜ」
「へぇ そうだったの~?」
そうか。
そういえば、去年もこんな光景みたんだっけ。
あのときは何の騒ぎかなって、思ってたんだけど・・・・・・?
今思えば、納得。
「トオルくんってすごいよね~ あれだけの女子の誘いを断ったことないって」
「あぁ そうだな。オレには、本気 真似出来ないぜ」
真似してほしくないけど。
それに・・・・・・。
リョウちゃんがこんなタイプだったら、サオリが困るよ~。
ちょうどそのとき、サッカーボールが転がってきた。
「よっ!と・・・」
リョウちゃんがそれを軽く受け止めた。
「去年、トオルに『サッカー部に入らないか』って誘われたんだけど・・・・・・」
「せんぱ~い! ボール取ってくださ~い」
新入生らしい部員が、こっちへ向かって手を振っている。
「OK~! 行くよ~!」
華麗なボール裁きで、サッカー部のグラウンドへ蹴った。
それを見た部員たちは、「すげ~」ってビックリしていた表情だった。
元々、運動神経が良かったリョウちゃん。中学のころは、「空手部」に入部して、全国大会で優勝したこともあったんだよね。
でも、何で辞めちゃったんだろ・・・・・・?
前に訊いたときは、「生活の為」だとか言って、高校に入学したと思ったら、さっさとアルバイトを始めちゃったし・・────。
「じゃぁ 行こっか」
リョウちゃんが、先に歩き出した。
今のリョウちゃんは、中学のころとは比べものにならないくらい優しくなった。
こうやって毎日、一緒に帰ってくれるし。
あのときは、反発してばかりだったもんね。
リョウちゃんは、サオリのこと・・・・・・。
どう思ってんだろ・・────?
ふと、リョウちゃんの後ろ姿を見ながら、そんなことを考えていたら・・・・・・。
「歩くのが遅い」って、私の手首を掴まえた。
そのとき、ほんの一瞬だけ・・・ 胸が高まった。
ドキドキドキドキ・・・・・・。
何・・────?
初めて感じる胸のときめき・・・・・・?
そっか・・・。
背が伸びたんだぁ~。
手もがっしり大きくて、力強くなってる。
4年前に会ったときは、全然そんな風に思ってなかったのに。
もしかして、サオリ今・・・。
リョウちゃんを「男の子」だって意識してる・・・?
よく「友達以上」なんて言葉を聞くけど、これって・・・。
そうなのかな??
********
今、思えば あのとき、リョウちゃんを初めて「男の子」だって意識し始めた瞬間だったかもしれない・・───。
・・──
──────数分後・・・。
「う~ん・・・・・・」
私は、おソバ屋さんのメニューと格闘していた。
ここは、学校から家までの境目にある小さなおソバ屋さん。
リョウちゃんが、バイトの前に「腹ごしらえをしたいから」っていう理由で、この場所へ立ち寄った。
値段も比較的安くて、近所でも「美味しい」って評判の飲食店。
よく学校帰りに、リョウちゃんと一緒に食べに来ていた。
リョウちゃんは「先に選んでて」って言うなり、どっかへ行ってしまった。
しばらくメニューに見入っていたとき。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
って、店員さん(?)らしき人に声をかけられた。
えっ?
もう!?
早っ!!
「えっっと じゃあ これ・・・っ!!」
・・・!?!?!?
見上げると、席へ戻ってきたリョウちゃんが、爆笑していた。
てっきり、店員さんだと思ったその声の主は、リョウちゃんだった。
「ぶはははっ!!! 騙されてやんの」
その場で、腹をかかえて大爆笑しているリョウちゃんを見て、一気に冷めてしまった。
「ちょっと・・・・・・ 笑いすぎなんだけど~~~~」
私は、か~~~~って真っ赤になり、その場から早く立ち去りたくなった。
周りのお客さんも、ひそかに笑っちゃってるし~~~。
もうっ!
さっき思ったことは取り消し~~~~~!!
リョウちゃんをほんの一瞬でも「男の子」だって意識して・・・・・・。
ばっかみたいっ!!
やっぱり、「友達以上」なんて絶対ムリ~~~~~!!
その後、おソバを食べてるときだって。
「お前って・・・ ソバ食うの下手だよなぁ~」
って、人が気にしていることを言いたい放題。
でも、そんなにはっきりと言わなくてもいいじゃないっ!!
心の中では、ほんの少しだけど。
淡い恋心を抱いていたのに、見事に裏切られてしまった。
私は、「はぁ~っ」て、小さく溜息をついた。
最初から読む☟
