ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~(第21話)
(第21話)
第2章 ~記憶・・・・・・~
ある日、教室の掃除をしていた時。
無くなったと思ってた自分の靴が、ゴミ箱に捨てられていた。
酷‥‥‥。
誰かがずっと持ち歩いていたのか、ボロボロに傷つけられていた。
もしかして、靴を盗った犯人って・・・。
このクラスにいるの?
焼却炉へゴミを捨てに歩いていた時、後ろから誰かに声を掛けられた。
「しぶといわね」
振り向くと、3人の女子がこっちを睨み付けて立っていた。
一度も話をしたこともない違うクラスの女子生徒だった。
「あれだけ痛み付けてもまだ分からない?」
最初に声を掛けた女子が言った。
「貴方、トオルくんの何なのよ?トオルくんの人生めちゃくちゃにして。貴方に会ってから、トオルくんすっかり変わっちゃったわ」
思い出した!
この人、トオルくんの停学が決まったとき、ずっとサオリの方を睨み付けていたあの人だ。
きっと、靴を盗ったのもこの人かな?
「トオルくんとは、ただの友達で・・・ サッカー部まで”大会中止”になるなんて思わなかったの」
女子たちの圧力に耐えきれず、怖気づいてしまう。
「絶対ウソよ!”ただの友達”が、あんな行動とれる?貴方に責任、取ってもらいたいわ」
「ど、どうすればいいの?」
私が聞くと、その女子は「そうね」って一旦考えた後に、ズバッと鋭い声で言った。
「学校、辞めなさいよ。二度とトオルくんに近づかないで!」
そう言った後に、”ひと呼吸”置くと、意地悪い顔を浮かべて言った。
「それとも・・・ ”男” 紹介してあげた方がいいかしら?」
「ごめんなさい。あの・・・ 全然、そういうつもりじゃなくて‥‥‥」
その時、「ねぇ、何してんの?」って、男の人の声がした。
その声の主を目の当たりにした女子たちは、みるみると青ざめていった。
「えっ! ・・・な、何 トオルくん? 今の話、聞いて‥‥ 明日まで”休み”だったんじゃなかったの~⁉」
女子の質問にトオルくんは、「ああ。そうだよ」って応えると。
「悪いウワサを聞いたんで、”まさか”と思って様子を見に来たんだけど?」
トオルくんは、「イラっ!(怒」とした表情で、壁際にもたれ掛かるようにして立っていた。
「オレがいない間に、いつも”こんなこと”していたなんて思わなかったよ」
トオルくんは、「ふぅ~」とため息をついて女子たちに言った。
「トオルくん。これは違うの。私たちは、ただ お話をしていただけで・・・」
トオルくんの登場で、焦りを感じたのか その女子は言い訳を始めた。
一緒にくっ付いている女子2人に、「何もやましいことはしてないよね」って目で訴えていたけど、もう何を言ってもトオルくんには通用しなかった。
「そういうふうには見えなかったけど?」
トオルくんの睨みを利かせた威圧感に、女子たちは、もうこれ以上何も言わなくなった。
女子たちが、私たちの側から立ち去ろうとしたときに、トオルくんが怒りを込めて言った。
「今後! オレの ”友達”を苛めたりしたら、例え“女”でも許さんからな」
その日は、トオルくんに家まで送ってもらった。
トオルくんの怒った顔を見たのは初めてだった。
「どうして分かったの?」
トオルくんが、此処へ駆けつけてくれた理由が知りたくて話しかけた。
するとトオルくんは、すぐにいつもの優しいトオルくんに戻って返答した。
「ユウコから『サオリが苛められてる』って聞いて、気になって様子を見に来た」
そっか。
ユウコがトオルくんに言ってくれたんだ。
「こんな事になったのって、オレのせいだよな?」
トオルくんは、自分で自分のこと責めてたけど、サオリもトオルくんに甘えすぎてた。
「ううん。トオルくんだって、今 サッカー部が試合に出れなくなって大変でしょ?サオリが、トオルくんの人生めちゃくちゃにしちゃったんだよね?」
「あの人たちが言ったこと、気にしなくていい。サオリちゃんは、何にも悪くないんだから」
さっきの女子たちのこと、トオルくんは「あの人たち」って言った。
いつものトオルくんらしくない言い回しだった。
それにしても‥‥‥。
トオルくん。
あの日、何があったの?
リョウちゃんと何を話したの?
ちゃんと、仲直りは出来たの?
聞きたいことはいっぱいあったのに。
肝心なことは、何ひとつ聞き出せなかった。
翌日は、トオルくんの圧力のお陰なのか、苛める人は誰一人いなくなり、何事もなく静かだった。
明日になれば、リョウちゃんも、トオルくんも登校してくる。
何事もなく平和にやり過ごしてくれればいいけど。
でも、その願いは、見事に裏切られる。
「停学処分」が解けたその日がきた。
今日からリョウちゃんも、トオルくんも登校してくる。
朝、校内へ入ると何だかザワザワと騒がしかった。
「‥‥さんのせいで、うちらのところまで‥‥‥」
「直接、関わってない女子にも言いに来てたんだって‥‥‥」
女子生徒たちが、あちらこちらでウワサしていた。
中には、泣きわめいている女子もいた。
初めは、聞こえてない部分もあったけど、女子生徒の声がだんだんはっきりと、耳に入ってきた。
「それも、女子全員と関係を切ったみたいよ」
「ウソでしょ?信じられない~」
「何でよ?」
「相当、怒ってたみたいだったよ」
自分の席に着いたとき、突然ユウコが教室に入ってきた。
「トオル、居る~?」
私の姿を見ると、こっちに近づいて来た。
「あ、ユウコ。おはよう~」
「『おはよう~』じゃ、ないわよ。あんた、知らないの?」
「え?何が?」
ちょうどそのとき、トオルくんが久しぶりに教室に入ってきた。
ユウコは、トオルくんと一緒に教室を出て行く。
いったい、何があったんだろう?
その時には、本当に知らなかった。
トオルくんが、女の子全員を振ったってことが。
その日の放課後、「リョウちゃんと仲直り出来た?」って、聞いてみたとき。
トオルくんは、顔を曇らせてしばらくの間、黙り込んでいたけど、今まで見せたことがない感情を剝き出しにした。
「もぅ、アイツ、”最低”だよ!」
トオルくんがこんなに怒るなんて珍しい。
「ねぇ、サオリちゃん・・・」
トオルくんは、頬杖をついて私の顔を見ると、いつものように口説き文句を言おうとする。
「もう、リョウなんか やめてさ。いっそ、“オレ“ に、しない?」
え?トオルくん・・・。
初めて「女の子」振って、おかしくなっちゃった?
「・・・って、ダメだよね。やっぱり‥‥‥」
トオルくんはすぐに言い直すと、「ごめん。今の、忘れて」って、これ以上何も言わなくなった。
そして、私たち4人の関係はバラバラになった。
トオルくんやリョウちゃん、ユウコともあまり会話もしないまま、卒業式になった。
やがて年月は過ぎていき、成人式で彼らと再会することになる・・──────。
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