ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~(第24話)
(第24話)
第4章 ~告白~
1996年 現在。
「結婚式の披露宴」を済ませてから、私の家でお姉ちゃん、ユウコ、私と3人でお喋りをしていた。
リョウちゃんとトオルくんは、そのまま2人で、何処かへ行ってしまった。
ユウコも、すぐに自分の家に帰るつもりだったみたいだけど、赤ちゃんがまた泣きだしたので、しばらく私の家で面倒を見ることになった。
「サオリが居てくれて良かったわ。さすが、産婦人科の看護婦ね」
ユウコの子供のオムツ替えをしてあげたら、またスヤスヤと眠り始めた。
「サオリが看護婦になったのってさ~ リョウくんの影響?」
ユウコが、興味津々の顔で私に聞いて来た。
「それは・・・ ちょっと、あるかも」
少し戸惑いながら応えると、傍にいたお姉ちゃんが羨ましそうにニヤニヤした。
「“彼氏”の影響なんて、何だか妬けますね〜」
お姉ちゃんは、私と違って対照的な性格。私の顔色を愉しむかのように、グイグイ責めてきた。
「大人になったリョウくんて、どんな感じだった?」
ユウコが聞いて来た時。
「あ!それ。ワタシも 聞きた~い!」
って、お姉ちゃんがすぐに身を乗り出した。
私は、今まで溜まっていた鬱憤を一気に吐き出した。
「サオリの妊娠が分かってから、外出するときは重たい荷物を持ってくれるし、階段から降りようとしたら、”エレベーター”へ誘導してくれるのは有難いんだけど。サオリが履いているヒールの踵が高いとか、身に着けている服装にまで文句言ってきて、すっかり口煩くなってきちゃった」
「へぇ あのリョウくんがね~・・・」
ユウコが「意外と見かけに寄らないね」って顔をする。
「それだけあんたを気にかけているからでしょ?」
お姉ちゃんが、私にそう言ったかと思うと、すぐに声を大にして叫んだ。
「いいなぁ~ ワタシも早く”結婚”した~い!」
お姉ちゃんは今、お付き合いしている彼氏がいる。
先に、妹の結婚が決まったので、なかなか進まない自分の結婚話に焦っていた。
「サオリのことになると、周りが見えなくなるからね。彼は」
ユウコが、急にしんみりして表情が暗くなった。
「サオリも、辛かったでしょ?」
「ううん。大丈夫・・・ リョウちゃんが、守ってくれたから」
そして、私たちはまた想い出話に浸り始めた。
**********
季節は、秋から冬に移り変わろうとしていた。
そんなとき、トオルくんと再会した・・・────。
「‥‥サオリちゃん?」
バイクに跨った若い男性に声をかけられた。
ヘルメットを被ってたので、「トオルくん」だと気付くまで少し時間がかかった。
「今、帰り?」
「うん。ここの近くで、実習をやってるの」
「確か、看護学校に通ってたんだっけ?」
え? あ、そっか。
そういえば、前に話したんだった。
『看護婦ってさ〜、サオリにピッタシ合ってるじゃない。アタシは、いいと思うけどなぁ』
1月末に、ユウコに仕事の相談をしたときに、今抱えている悩みを打ち明けてみた。
ホントいうと、このまま看護の仕事に就いていいのか、迷っていた。
すると、ユウコのすぐ側で聞いていたトオルくんが、
『うん、いいっ! 最高だよ。そっか〜 将来はサオリちゃん、白衣の天使かぁ』
って、鼻の下を伸ばしてハイテンションに声をあげた。
『あんたの“だぁいすき“な看護婦さんだもんね〜』
トオルくんの横顔を見て、ユウコは皮肉たっぷりに言い放っていた。
その時の状況を思い出しながら、トオルくんと2人で歩いていると、やがて大通りから脇道へと差し掛かった。
「いつもこの道、通ってるの?」
「うん。こっちの方が近道だから」
普通に応えると、急にトオルくんが怒ったような顔をして言った。
「ダメ、ダメ~! サオリちゃんは、襲われたことがあるんだから」
今は、まだこの時間でも明るかったけど、そこは、道幅も狭くて寂しい通りだった。
その日は、家の近くまでトオルくんが送ってくれた。
「これからもっと暗くなったら、明るい街灯の道を通った方がいい」
トオルくんは「それ」だけ言い残すと、連絡先を交換して帰って行った。
**********
別の日。
「トオルくん。何で、こんな可愛いお店知ってるの?」
学校が休みの日に、トオルくんと待ち合わせしてお洒落なカフェへ誘われた。
周りは、十代の若い女の子たちが多かった。
「うん? 女の子たちとデート用にちょっとね・・・」
そう言って、トオルくんはショーケースの中から、6種類くらい選んでくれた。
そして、テーブルの上に並べると「全部、食べていいよ」って、柔らかい口調で微笑んだ。
「ホントに? 美味しそう~! 何れから食べようかな~」
もし、今此処にリョウちゃんがいたら、絶対「太るよ」とか、言うんだろうな。
でも・・・・・・。
今日だけは、いいよね。
「トオルくんは、食べないの?」
私は、さっきから自分のものは何も注文しないトオルくんが気になっていた。
「オレは、いいよ。サオリちゃんが喜んでくれるなら・・・」
その時は、トオルくんの言葉の意味が分からなかった。
ケーキを食べ終えてから、トオルくんが急に真顔になって言った。
「あれからリョウは、サオリちゃんとの約束 守ってくれた?」
「う〜ん。・・・っていうか‥‥‥」
「何か、あった?」
私は、BARで再会したときのことを思い出し、思わず口籠ってしまった。
トオルくんは、異変を感じ取って訊いて来た。
「帰りのタクシーの中でね。何か、余所余所しいっていうか・・・ 家に着くまで何も喋らなかったし」
「あの”リョウ”が、一言も? そんな風には見えなかったぜ」
トオルくんは、驚いたような「信じられない」っていう様子を見せた。
「やっぱり、まだ根に持ってるのかな?」
「う~ん。オレにも、分からん・・・」
「えっ?」
トオルくんの意外な一言に、思わず聞き返してしまったけど。
ホントに もう あの頃のようには、戻れないの?
楽しかった高校生活を思い出して「ギュッ」と胸の奥が締め付けられるほど切なくなった。
帰り際、「サオリちゃんが何か困った時とか、誰かに嫌なことを言われたりした時には、何時でもオレに相談して」って、トオルくんが言ってくれた。
それからは、トオルくんと顔を合わせることが多くなり、その度に「リョウとは会ってるの?」って、何度も確認してきた。
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