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ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~(第17話)

(第17話)

第2章 ~記憶・・・・・・~ 


やがて、その音はだんだん大きくなり‥────。
こっちへ近づいて来る・・・?

そして、私たちの目の前に止まったかと思ったら、あっという間に 男たち2人を逮捕した。

助かったんだ‥‥。

そのアトを追うようにして、もう1台の車が停まった。

車の中からユウコ、執事のコバヤシさん、トオルくんが降りてきた。
そして、お姉ちゃんとお母さんも‥‥。

みんなサオリのこと心配して来てくれたんだぁ。

みんなの顔を見てホッとしたら、涙が溢れてきた。

「リョウちゃんがね、助けてくれたんだぁ」

もう二度と、家族や友達に会えないかと思ってた。

「リョウちゃんに、ちゃんとお礼を言わなきゃね」

優しい母の声に何だかとてもホッとした。

そのアト、警察の人が来て私たちに事情徴収をし始めた。

一番最初に、まずユウコが喋り出した。
犯人が、私を連れ去る現場をたまたま偶然に、ユウコが目撃したらしい。
ユウコは、リョウちゃんが真っ先に私を助けに行ったことを話していた。

「あんたは、何も出来なかったもんね」

あのとき、リョウちゃんと一緒にいたトオルくんは、何も出来なくて”おたおた”していたらしい。
それとは逆にリョウちゃんは、咄嗟に反応して飛び出して行った。

トオルくんは、ユウコのソバでバツが悪い顔をして黙っていた。

「さっきまで”君”と一緒にいた少年は?」

警察の人が、リョウちゃんを探していた。

そういえば、今までずっと私の傍にいたリョウちゃんが、いつの間にかいなくなってた。

「リョウちゃんは、もう夜遅いからおウチへ帰ったのよ」

お母さんが、私に優しく声をかけた。

12月の冬空は、もうすっかり暗くなっていた。

警察の人は、リョウちゃんにも話を聞くつもりだったらしいけど、本人がいないので、「また後日」ということにして、住所だけ問うと帰って行った。

あ お父さん・・・?

見覚えのある白い車・・。
やっぱりお父さんだ。

普段は無口であまり喋らないけど、私のことを心配して、仕事を早退して駆けつけてきたらしい。
その日は、家族4人で家に帰った。

リョウちゃんには、冬休み中にちゃんとお礼を言おう。
そう決意していた。

でも、その願いは結局、叶わなかった‥────。

********

年が明けて1月7日になった。
長く続いた「昭和」の歴史が終わった。
明日から、新しい「元号」に変わる。

新しい時代が来るんだぁ〜。
世の中が皆んな平和になるといいのにね‥────。

今日から新学期が始まった。
学校では「”昭和”の時代が終わること」そして、地元の新聞記事に掲載された「私たちの事件のこと」で話が盛り上がっていた。
あの日以来、リョウちゃんには、1度も会えていない。

でも、やっと今日、学校で会えるんだぁ。
話したいことがいっぱいある。
ちゃんと今日、あのとき助けてもらったお礼を言おう。

そう決意して、彼が登校してくるのを教室で待っていた。

・・・────数分後、彼が教室へ入って来た。

久しぶりに会えた喜びに、真っ先に彼の元へ駆け寄った。

「リョウちゃん・・・!」

すると、私に気付いたリョウちゃんが、私が話しかける前に喋り出した。

「あのときは、ヒドいことを言ってごめん!」
「え・・・?」
「やっぱ、”大切な”想い出だよね。『過去のこと忘れちゃえばいい』なんて、言って悪かった。ごめん・・・」

そっか。リョウちゃんは、自分が言ったこと、気にしてたんだ・・・。
自分でも、もうその事はすっかり忘れていたのに‥‥‥。

「ううん、大丈夫。もう気にしてないから」

そのあと、すぐに全体朝礼が始まり、全校生徒がグラウンドへ集合した。
リョウちゃんへ”ちゃんとお礼を言う”っていう決意も、言いそびれてしまった。

校長先生から、新学期の挨拶と「今年一年」の抱負を述べられた。
そして、この学校の生徒が事件に巻き込まれたこと等を話されて、「決して1人では、帰らないように」って生徒全員に忠告した。

この日は「半ドン」だった為、午前中で学校が終わり、午後から半休になる。
明日は日曜日だから、一日中お休み~。

新学期の始業式ということもあって、授業はなかったので、クラスの女子とお喋りをしたり、「時間割」の確認をしたりして過ごした。
リョウちゃんとは、事件の話は出来なかった・・────。

そうしている間にも、帰り時間が近づいてきて、「HRホームルーム」が終わると、生徒たちは一斉に教室から出て行った。

「あ、リョウちゃん!」

早々と教室から立ち去ろうとしたリョウちゃんを慌てて引き止める。
そして、「一緒に帰ろう」と言いかけたそのとき‥────。

「これからは、1人で思い出したいから。もう少しで思い出せそうなんだ。だから、しばらく”別行動”にしよう」

と、きっぱり言われて「うん ・・・分かった」って咄嗟に応えたけれど。
そういえば 今日一日、リョウちゃんが何となく余所余所しかった。
事件のことなんか一切、話そうとしなかったし、あまり会話もしなかった。
いつもだったら、真っ先に話しかけてくるのに‥‥‥?

「あ、そうだ」

リョウちゃんが、思い出したように振り返った。

「そういえば、”チビ”・・・もうウチに戻って来ているから、心配しないでいいよ」

「え?」

”チビ”っていうのは、リョウちゃんが飼っている猫の名前で、記憶喪失になったリョウちゃんに懐かず、餌を与えても食べなかったらしい。
だから、しばらくの間は私の家で預かって面倒を見ていたけど、いつの間にかいなくなってて、ちょうど探している最中だった。

『知らない人には懐かないんだけどなぁ』

って、前にリョウちゃんが言っていたので、ちゃんと元の居場所へ帰ったって聞いて安心した。

今日から毎日、1人で帰るのか‥‥‥。

今まで”リョウちゃんが一緒にいるのが当たり前”だと思っていた日常がもう来ないのかと思うと、急に寂しくなった。

もう、「恋人じゃなかった」って思ったから?

それとも、サオリがリョウちゃんを引っ叩いたから?

自分の靴に履き替えて外へ出ようとしたとき、「あれ? サオリちゃん?」
って、誰かに声をかけられた。

振り返ってみたら、トオルくんが目の前に立っていた。

「サオリちゃんひとり? リョウは?」
「うん。”これからは1人で思い出したいから”って‥‥」
「ふぅ~ん。そうなんだ・・・」

そのあと、トオルくんと2人で歩いていると、校門の前に沢山の生徒たちが集まっていた。

・・────何だろう?

近づいて見てみると、見覚えのある大きなリムジンが校門の前を塞いでいた。

「あ、来た来た。サオリ、サオリ~!」

執事のコバヤシさんとユウコが、ずっと私が来るのを待っててくれたらしい。

「サオリ様、こちらへお乗りくださいませ」

コバヤシさんが、後部座席のドアを開けて礼儀正しく振舞った。

「ユウコ、どうしたの? これは・・・」
「いいから、いいから。さ! 遠慮しないで乗って」

そう言うとユウコは、私を 一番奥の座席へ乗せてくれた。

「いや~ 快適な”乗り心地”だなぁ~」
「何で”あんた”まで乗ってんのよ?」

トオルくんは、私の隣りで両手を広げて、シートの座席へもたれ掛かって座っていた。
ユウコは、トオルくんまで乗せる予定はなかったらしい。

「コバヤシ! 明日からは迎えに来なくてもいいわよ」
「ですが、またこのようなことが起こったら‥‥‥」
「もう、犯人は捕まったらしいし、絶対 安全だから」
「そうですか。では、そのようにしましょう」

車を走らせている途中も、車内ではユウコとコバヤシさんが阿吽アウンの呼吸で会話していた。

平成元年 1月9日。
新しい年号に変わって2日目の月曜日。
新学期の初日は、学校の前まで送り迎えする親御さんの姿が多かったけど、今日はそういうのもなく静かだった。

今日からまたいつもの日常に戻った。
いつもと違うのは、一緒に帰ってくれるリョウちゃんが「もういない」ってこと‥‥‥。
ただ 隣りで笑ってくれるだけで良かったのに。

この日は、リョウちゃんとはあまり会話もしないまま終業時間が来てしまった。
早く新しい年号にも、この生活にも慣れなくちゃね。

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#創作大賞2024 #恋愛小説部門

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