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大谷翔平の隣で開催されるデスゲーム

部屋の掃除、してますか?

私はまあまあです。それなのに、命懸け。
家の中は綺麗であってほしいけど、掃除はあまり好きじゃない。床に落ちた髪の毛が目立ち始め、「これはいくらなんでも!」と流石に見過ごせなくなると掃除機を取り出してくる。そんな感じ。

その「いくらなんでも」なエリアのゴミを吸い、ついでにこのへん一帯に掃除機をかけるか悩むこと1秒。
「気になったところは掃除したから、もういいじゃん」
怠惰な私の、脳内悪魔がそう囁く。一部綺麗になった床を見ながら、まあそうだよね、などと思っていると、瞬時にもう1人、悪魔の対となって出てくる奴がいる。

天使じゃない。大悪魔。
そんで言う。

「デスゲームが始まってもいいんだな?」って。


手を抜いて掃除した翌日、デスゲームに巻き込まれるんです、私。
あああ、待って。今浮かんだ「なに言ってんの?」は一旦飲み込んで聞いて欲しい。
巻き込まれた人は他にもいて、自分の家を綺麗に掃除出来た者から抜けられるルール。そうすると私、後悔するじゃないですか。「ああ、なんで昨日掃除の手を抜いてしまったんだ!」って。「ちょっと追加で掃除してたら、アドバンテージあったじゃん!」って。
大悪魔は言うわけです。「そうなってもいいんだな?」って。

私は大悪魔の囁きを受け、無表情で部屋一帯も掃除することにする。なにしろ生き残りたい。
部屋の掃除機をかけ終わった頃、ちらりと廊下が目に映る。すると、大悪魔が「当然廊下もやるよなァ?」と耳元で囁くので、廊下に掃除機をかける。そしたらまた、「まさかここまで来て、洗面所スルーはないよなァ? いいんだぞ。デスゲームで不利になるのはお前だから」とさらに言うので、洗面所をかけ……と続いていく。私の眉間には皺が刻まれていく。

ちなみに本当に大変な部分、例えば家具を動かさないといけないみたいなレベルになると、大悪魔とも折り合いがついている。そこは除外、あるいは今洗面所まで掃除して浮いた時間で、デスゲームが開催されたら掃除するということにしている。所詮、私の脳内大悪魔。変なところは都合がいいし、諦めもときには肝心なのだ。

大真面目にそういう脳内やりとりで日課を送っている。
だって明日デスゲームに巻き込まれる可能性だって0ではない。たとえそれが、限りなく0に近かろうとも、人生に「絶対」はないのだ。
恐ろしい。もはや恐ろしいのは、デスゲームなのか私の頭なのか分からないが。
加えて、そんなほぼありえない可能性がよぎったにも関わらず、やらないとなるとどうなるか。いざ開催された際には、さらに後悔が増すだろう。「予感までしたのに、どうしてッ!」って。「あれは虫の知らせだっただろ!」って。


で、読んだのがSNSだったかなんだったは忘れてしまったけど、同じように部屋の掃除が苦手という方がいた。
その方がどうするかって言うと、「今日は憧れの大谷翔平が家に来る!」と思うことにするらしい。すると、「汚い家に来てもらうわけにいかないから、テンションアゲアゲで掃除が出来る」と書いていた。

もうね、驚いた。
こっちがデスゲームに巻き込まれてる隣で、大谷翔平を招待してるお家があるということに。

そうかァ……同じ「苦手な掃除をする」でも、ここまで発想が違うかァ……って。こっち、命懸けなのに、そっち、楽しそうだなァ……って。

多分、お花も飾ったりするんでしょ?
忘れずにスリッパ裏を拭いて、ちょっといいルームフレグランスも置いて。
「お茶どうぞ」なんて言って。
「ケーキも買ってあるんですよ」って。
夕食は食べていくの?
今日は素材を活かしたアクアパッツァと白ワイン?
そう、いいね……。

同じ「掃除が苦手」の話から、ホームパーティーとデスゲームに分岐することある?

さらに悲しいのは、その方法を知ったとて、変わらず私の頭に出てくるのはデスゲーム開催を仄めかしてくる大悪魔しかいないということ。

ちなみにこのデスゲーム、時々パターンも変えてくる。例えば面倒ごとを後回しにしようとすると、「今デスゲームが始まってもいいんだな?」とか言ってくる。勘弁して。

良いか悪いかはともかく、大悪魔が棲みついているから、かろうじてうちの部屋は綺麗になるし、色々なんとかなっている。


そんな風に書いていると、結果的にちゃんとやっててえらいじゃんと思われるかもしれないが、全くもってそうでもない。
中途半端にやりかけると大悪魔が発動することがほとんどで、そもそもやらない日だって普通にある。悪魔も大悪魔もない。ただやらない。
大悪魔が出なければデスゲーム開催予告はされないので、安心してサボることができる。
そもそも、こんな脳内大悪魔に厨二病めいた脅迫をされずに、毎日きちんと掃除なりする方がどう考えてもえらい。


大谷翔平を呼ぶ天使では、私の怠惰な心は動かない。だからうちには悪魔と大悪魔しかいない。

今日も大谷翔平は来ないのに、うちではデスゲームが開催されそう。

隅の埃もついでに吸っておく。
生き残らねば。







▼このnoteを書いた人

Erika
デザイン会社のデザイナー兼イラストレーター。
noteでは主にエッセイを書いています。
日常の発見、内省激しめ、思考の一人相撲。
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Erika いつも一人相撲にお付き合いくださり、ありがとうございます。 おかげさまで、楽しい記事が書けます🍩

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