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■大河ドラマ『豊臣兄弟!』第3話「決戦前夜」―戦闘の準備はぬかりない、退がらない、その手を離さない

えりたです。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』第3話が放送されました。

始まってしまえば、あっという間に過ぎていくのが「大河ドラマ」の醍醐味でもあり、せつなさでもあります。2024年の大河ドラマ『光る君へ』もそうでした。うきうきと見続けている間に、最愛の道隆さまは天に召され(号泣)……ということは、今回もきっと気づいたときには「天正十年」になっているわけで…うぅ、想像するだけで既に泣きそう(まだ早いですよ)。

また、今週末24日には名古屋中村で「大河ドラマ館」が開館します。どんな雰囲気の展示になるのか、今からとても楽しみです。あの草履とか、木彫りの御守とかもあるのかなぁ…??

という訳で、第3話の感想です。今週のお話は、タイトル通り、桶狭間合戦前夜のわちゃわちゃでした。小栗信長さまが物語全般に渡って出ていらっしゃっていて、主にワタクシがとてもうはうはしていたのは、おそらく皆さまのご想像通り……笑

ちなみに、第2話の感想はコチラです。

ではでは、相変わらず主人公ふたりの出番が圧倒的に薄い第3話の感想へレッツゴー。


■今週のとの

あちこちで、織田織田な人たちが群雄割拠していた尾張国。守護である斯波氏の陪臣に過ぎなかった織田弾正忠家の若き当主信長さまは、敵対する勢力を次々に撃ち、尾張一統をほぼ果たします。

そうして、次に目を向けたのが駿河、三河国を統べる今川氏の所領との境目にあたる鳴海領でした。

■桶狭間合戦の始まり

時は永禄3(1560)年五月、今川義元公は2万5千の大軍を自ら率いて、尾張鳴海領へ侵攻します。

この侵攻について、従来は義元公が上洛するためであったとの見方が強かったです。私が義務教育の頃に読んだ歴史まんがにもその方向で解釈し描かれていたように記憶しています。

ですが、実はそうではなかったというのが最近の見方です。つまり、

尾張鳴海領確保は、戦国大名の務めとして今川領国に「平和(安泰)」を維持し続けるためにも、やはり義元が自ら出陣し成し遂げなければならなかった

柴裕之『織田信長』平凡社刊(p.53~54)より引用(太字引用者)

との考え方が優勢になってきたのです。自国の反抗勢力を抑えきったうえで、「和睦」という形でかりそめに安定させていた「境目」をぱっきり確定し、がっつり安泰なものにする。そのための出陣であったというのです。たしかに、このころには既に義元公が氏真さまに家督を譲られていたことを考え合わせると、その見方の方がしっくりと納得できます。。

とはいえ、そもそもこの合戦についての「史料が稀少なこともあり、不明なことが多い(同書p.56)」のも事実。そこにこそ俺の白うさぎ…想像の余地がぐぐんっと入り込む楽しみがあるわけで。物語は、合戦前夜に起きるあちこちの葛藤を描き出します。

■いらだつご家来衆と、明日を見据える織田兄妹

今川義元公が、自ら2万5千の大軍を率いて尾張への侵攻を開始したとの報が清須にもたらされます。三河、駿河と大国を統べる今川氏と、ようやく尾張を一統した織田氏。力の差は歴然としています。

そして、それを身を以て知るからこそ浮足立つのが山口勝家さまを始めとするご家来衆です。籠城するか? とか、丸根砦から神風特攻ぶちかますか? とか、右往左往と空回りしています。

そうして、そのなかで「抜け駆けは許さん」とわりと斜めな方向に血気を逸らせる山口勝家さま。安定の濃さで視聴者を安心させます(違)

考えてみれば。

この時代って、どの主君に仕えるかという点では家臣も「賭け」ではありました。それはそうですよね、主君が暗愚であれば己の明日の命さえ定かではなくなる。誰にどう使えるかは、わが身だけでなく、一族郎党の運命さえ左右することだったのです。

そんな時代にようやく最近尾張一統を果たした信長公に仕えるということ。しかも、その信長公は、常人では「ちょっと何言ってるか分からない」サンドウィッチマンタイプの方でもあります。

そして、そんな人が隣国大名による自領への侵攻の報に接して、唐突に義元公の物まねをしたり(違)、「何もせぬ」とか言い出したりすれば、そりゃ疑心暗鬼にもなるというもの。ご家来衆の苛立ちもものすごく強く理解ができます。

ですが一方で、信長さまを見ていると、一国を統べることと、その人に仕えることの差も明確に分かります。

それは、簡単に言えば「どこまで広く俯瞰し、微細な情報を濃く思考に入れるか」の差であろうと思うのです。

おそらく、ご家来衆が見ているのは現在と近い未来の自分たちの所領とか、食い扶持であり。信長さまがご覧になっているのは、現在ともう少し先の未来の尾張国全体なんですよね。そこに生きる農民も含めて、広く強く濃く見て考えている。それこそ

あらゆる手を尽くし、考えに考えて、やれるだけのことをやる

との言葉通り、自分が統べる尾張国全部について、そこで生きる侍や農民、商人たち全員の明日について彼は自分が責任を背負っていると考えているし、その責務を遂行しようとしている。だから、

負けるとわかっていても、命を懸けて戦わねばならないときがある

という言葉にものっそい濃い重みを含めることができるのだろうと思うのです。己の命によって、自分以外の国の者たちの明日を確実に購えるならば、恐れなくためらわず無言でこの命を差し出す。そんな気概をも含む言葉であるように感じるのです。

そういう意味では、お市さまも信長さまと同じ視点に立っているのではないでしょうか。

自分が嫁ぐことで今川氏を抑えることができるなら、いくらでも嫁ぐ。隙あらば、寝首を掻くくらいはしてくるよと、フツーに言ってのけます。これは、超空回りしていたご家来衆とは一線を画す、めちゃくちゃ現実的な提案です。自分が動くことで、領民たちの生活が安定するなら、躊躇なくその選択をすると、市さまはまっすぐ言ってのけるのです。

ですが、それは市さまの犠牲のうえに安寧を得ることにほかならず、信長さまはその提案を笑って退けます。

■そうして、始まる桶狭間合戦

そんなこんなでかしましと議論をしている間にも時は過ぎていき、永禄3年5月18日、周明によってロマンス詐欺……松平元康により大高城へ兵糧が運び込まれます。そして、翌19日早朝には丸根砦を攻め落とされるのです。その後、今川軍は順調に鷲津砦をも攻め落とします。

世に言う「桶狭間合戦」の始まりです。

ですが、まだこの段階で信長さまは起き抜けでお茶漬けを食べています(言い方)。その直後、ちょっと踊ってから「付いてこられるヤツだけ付いてこい」と少数すぎる精鋭で熱田まで駆け抜ける信長さま。次週、このあたりがどのように描かれるかも楽しみです。

■まとめ―あれ、豊臣兄弟どこ行った?

そんなこんなで、第3話でした。今回は、信長さまと織田家家中の皆さまの視点の差を際立たせるお話でした。一方、その頃の藤吉郎・小一郎兄弟は……

■藤吉郎たちのいる場所

信長さまと織田家家中の皆さまが喧々諤々と議論する視点は、見ている場所が異なるとはいえ、どちらも「侍」です。それこそ「負けるとわかっていても命を懸けて戦わねばならないときがある」と肝に銘じ生きることにおいては、信長さまも家来衆も同じであり、それを起点として感じ考える人たちの思考から発せられる言葉なのです。

ですが、藤吉郎・小一郎兄弟にその感覚はありません。彼らの思考は、今も変わらず「その日暮らしの小作農」なんです。言い換えれば、「明日のことは明日が来てから考える。いちばん大事なのは今日の晩御飯だ」という感じ。

もちろん、それらはどちらがいいとか悪いとかではありません。それは、己の生きる世界でもっとも大切なのは何かが異なるだけなんですよね。

また、だからこそ、次回予告で「狙うは、義元の首ひとつ!」と叫ぶ信長さまに対して、「狙うは、城戸の首ひとつ!」とふたりだけ何だか違う世界へトリップしちゃうことができるのだろうと思うのです。

そう考えると、ここからの物語で、藤吉郎・小一郎兄弟の思考が「農民」から「侍」へ変わるのか変わらないのか。そのあたりも楽しみな要素の一つと言えるのではないでしょうか。

■「待ってろよ、俺の白うさぎ」発動です

さて、来週は桶狭間合戦本編へ突入です。そうすると、思い出すのは「待ってろよ、俺の白うさぎ」なわけで♡ どんなふうに周明……白うさぎ元康さまと、信長さまが邂逅するのか。あるいは、しないのか。また、豊臣兄弟は城戸を討ち果たすことができるのか。何より、それは信長さまにバレないのか。いろいろと興味は尽きません。

…信長さまの家来を私怨から討ち果たし、出仕停止を喰らった(挙句に勝手に出陣して、さらに怒られた)もいらっしゃいますからねぇ…豊臣兄弟の行く末如何に?!とめちゃ興味津々です(笑)

・ ・ ・

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
第4話もご一緒に楽しめたら、嬉しいです。

んじゃ、また。


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