モネの睡蓮に包まれて │ 豊田市美術館で過ごす静かな時間
ーひたる。光に。モネに。ー
そんな広告の言葉に惹かれて、フランスの画家クロード・モネの展覧会へ足を運んだ。
豊田市美術館で開催中の「モネ 睡蓮のとき」
ありがたいことにチケットをいただいていたので週末の午後、混雑を覚悟で美術館へ向かった。
人々を引きつける美しい建築
ずっと訪れてみたいと思っていた豊田市美術館。
建築家・谷口吉生による設計で、その凛とした直線美と端正な佇まいは、写真で見て憧れていた以上の迫力だ。

思わず足が止まる


光と色彩の魔術師、モネ
今回の展覧会では、モネの晩年の大作を中心に、パリ・マルモッタン・モネ美術館から50点が来日。
モネは、ジヴェルニーに邸宅を構え、自ら手がけた庭園を題材に、睡蓮やアイリス、アガパンサス、藤棚や太鼓橋などを繰り返し描いた。
水面に映る空や木々の景色は、絵の前に立つだけで心を奪われ、思わずその場に立ち尽くしてしまった。
展示は第1章から第4章まであり、第3章の楕円形の展示室では写真撮影が可能。
壁を覆うように並ぶ大画面の睡蓮に囲まれると、本当に〈睡蓮の世界〉に浸っているような感覚になった。






晩年、白内障が進行し、形を捉えることが困難になっていたモネ。
それでも光と影を頼りに、時に叩きつけるように力強く描かれた筆の跡からは、恐れや葛藤までも滲み出ているように感じた。
何を描いているのか一見わからない作品であっても、不思議とその場から離れがたい。
「光と自然と水面が一体となり、小宇宙を表現している」という言葉を思い出し、まさに“小宇宙”という表現がピッタリ当てはまる気がした。
モネは庭の池を、朝昼晩、四季折々、あらゆる光の下で見つめ続けていた。
同じ風景であっても、二度と同じ姿を見せない自然の移ろいを、執念のように描きとめたモネの姿勢に圧倒された。
絵を「知って」から観るおもしろさ
これまで私は、絵を前にして「すごい」「きれい」「いいな」と、直感的に楽しむだけだった。
それでいいじゃん!と思っていた。
けれど、画家の人生や制作背景を知ってから向き合うと、作品の奥行きがぐっと深まる。
時を経ても人の心を揺さぶる理由が、少しだけわかった気がする。
展示を堪能した後も、美術館の魅力は続くのが嬉しい。








建築と美術の両方を味わえた、8月の終わり。
週末の午後3時頃、帰る時点でもまだ多くの人で賑わっていたけれど、平日なら少し落ち着いて鑑賞できるかも?
「モネ 睡蓮のとき」は、9月15日まで。
次はどの美術館へ出かけようか、そんな楽しみも生まれた一日に感謝。
