水瓶座は本当に「自由」なのか
最も寒い季節の、今最も熱いサイン
2020年末に20年に一度起こる土星と木星の合、2024年には冥王星も木星・土星の後を追うように「水瓶座」に入ることから、新時代の大きなキーワードとして今「水瓶座」は熱く注目されているサインです。
水瓶座を表す言葉としては「自由・平等・博愛」「改革・革新」など、一直線で開放的なイメージのものです。そのためか、
「風の時代が来る!=自由な時代がやってくる!」
というタイトルも多く見かけます。しかし、水瓶座の「自由」ってどんなものなのでしょうか?その言葉の後ろには、多くの矛盾や葛藤をはらんでいるように思えるのです。
エレメントと区分で考える
「熱」(活動的)×「湿」(結びつける)の「風」サイン。
客観性や論理性を必要とする「思考・知性・情報」の分野を表し、固定宮で継続する性質。
風サインの中でも
・状況や環境に応じて自在に変幻することで客観的であろうとする「双子座(柔軟宮)」
・客観的であろうと常に試行錯誤する「天秤座(活動宮)」
と異なり、「水瓶座(固定宮)」は自分が持っている(と思っている)客観的視点を維持し続けようとします。
風サインは上方を漂うので、水瓶座は全体が見える高み(火や風は上方・土や水は下方)から人や物事をずっと見ています。固定された俯瞰的な位置でないと、水瓶座の「客観性」や「思考」は保たれないのです。
「主観」を大切にする獅子座のオポジションにあるため、水瓶座は風サインの中でも特に「客観」を重視するのでしょう。
対象が近すぎると全体を捉えられなかったり一部だけに感情移入してしまうので、「公平」「平等」のために敢えて距離を置きます。俯瞰で物事を見ることで他人が気づかない部分も発見でき、それが「改革」や「革新」にもつながります。
しかし、全体のための論理性や合理性の優先が行き過ぎると、大きな理念(マクロ)のためには個人(ミクロ)の犠牲を厭わないという危険性も出てきます。
「客観」であることに縛られすぎると、本来の「自由」からは遠のいてしまうのかもしれません。

ピーテル・パウル・ルーベンス『ガニュメデスの略奪』
「誘拐された時点で自由奪われるわ...。」
矛盾する支配星
太陽が燦々と照り付けていた獅子座のオポジションに位置する水瓶座は、暗く寒い真冬の時期。そのため、暗い土星がドミサイルとなり、明るい太陽はデトリメント。現代占星術では、ドミサイルに天王星が加わっています。
土星は7つの惑星を使用していた古典占星術では天球の一番外側にある惑星として、この世界の「境界や制限」「時間」を司るとされていました。
土星の外側にある天王星の発見により、天王星は土星がそれまでに築いた枠(閉じられた世界)を壊し新しい世界を開いた惑星として「改革」「独立」などの象徴となりました。
土星と天王星。
「伝統」と「革新」
「社会」と「個」
「忍耐」と「反抗」
「限界」と「突破」
「責任」と「自由」
全く異なる二つの惑星に支配される水瓶座。葛藤や矛盾がないわけがありません。

左:アントニオ・アッレグリ・ダ・コレッジョ『ガニュメデスの略奪』
右:レンブラント・ファン・レイン『ガニュメデスの誘拐』
「顔、違いすぎ…。」
葛藤を昇華した先は
しかし、水瓶座は支配星の影響で混乱したままのサインではないのです。
与謝野晶子の歌『手の上の氷』が、「自立」「自由」(天王星)と責任(土星)の葛藤と未来へ踏み出す力強さを端的に表しています。
手の上の氷
日の堪へ難く暑きまゝ
しばらく筆をさし置きて、
我れは氷のかたまりを
載せて遊びぬ、手のひらに。
貧しき家の我子等は
未だ見ざりしその母の
この戯れを怪しみて、
我が前にしも集まりぬ。
可愛ゆき子等よ、こは母が
珍しきまゝする事ぞ、
唯だ気紛れにする事ぞ、
いはれも無くてする事ぞ。
かゝる果敢なきすさびすら
母が昔の家にては
許されずして育ちにき、
唯だ頑なに護られて。
可愛ゆき子等よ、摸(ま)ねたくば
いざ氷をば手に載せよ。
さて年長けて後のち思へ、
母は自由を愛でにきと。
手の上に氷を載せた晶子は、我が子たちに「昔はこんな他愛もない氷遊びさえ許されなかった。冷たさが痛みにもなってきても、今は自分の意志で手の上に載せている。これが母が愛する自由というものだ。」と教えます。

アントネッロ・ダ・メッシーナ『やせ我慢』
...じゃなかった『聖セバスティアヌス』
まだまだ女性の地位が低かった時代でありながら、晶子はしつけの厳しかった生家を飛び出し不倫関係だった鉄幹と結婚。11人の子育てをしながら無収入の夫の代わりに執筆活動で家計と夫の海外留学費用まで稼ぎます。自身も夫の後を追って海外留学。まさに、自分の力で自分の「自由」を勝ち取り時代を切り開いた女性です。
※与謝野晶子のネイタルチャートでは、水瓶座(自由・平等)の木星が射手座(教育・外国・旅)の太陽をセクスタイルで後押し。
夫との共著『巴里より』で
「要求すべき正当な第一の権利は教育の自由である。」
と女性の自立や自由・権利を訴えています。
このように、水瓶座は二つの支配星にある葛藤を見事に昇華し、未来を力強く創造する力を持っています。それが水瓶座の「改革」であり、そこから生まれるのが「自由」なのです。
牡羊座の自分が自分である「自由」
双子座の好奇心赴くままの「自由」
射手座の未知のものに挑戦する「自由」
いろいろな「自由」はありますが、12サインのサイクルの中でも最後の方に位置する水瓶座の「自由」は最も成熟したものなのかもしれません。
切り開く未来
水瓶座は「未来」も表します。
私たちは私たち自身で、新しい未来を創造する「自由」があるのです。
まさに、自らの力で新しい時代を切り開いた与謝野晶子のように。
土星の責任を考えると、少し身が引き締まる思いもしますね。
でも、大丈夫。
2017年から山羊座にいた土星(水瓶座と同じく土星はドミサイル)に既に私たちはみっちり鍛え上げられ、逞しく今を生き抜いています。
水瓶座の新しい風が吹くのはもうすぐ。
