母と同じ年齢になって書いた手紙が、『母への手紙。2026』に入選した
「大人になったら脳が固まるらしいから、はやく海外に行きたい」
どこから仕入れてきた考えなのか、物心ついた時から私は両親にそう訴えていた。海外旅行に連れてもらったことはなかったし、海外赴任していた親戚がいたこともない。なのにただただもう、脅迫観念に近い思いで感じていた。「はやくはやくはやくはやく、はやく行かんとあかん!」
小学校の卒業文集の「5年後」の欄に「ホームステイしている」と書いた私は、5年後の1997年、メキシコで1年間ホームステイさせてもらえることになる。
1年もいるのになぜかポケット辞書しか持っていかず、インターネットも普及していない時代だったから、この辞書がもう命綱だった。いつも辞書を片手に持ち歩いて(本当に片手に収まる小ささだった)さっぱりわからないスペイン語に必死な日々を過ごした。着いて1週間ほど経っても、"Qué pasó?(どうしたの?何かあった?)" もわからなかったことを覚えている。すごい、よくそんな状態で行ったな、私。
それはそれは、生まれて初めての経験ばかりの1年を過ごすことになるのだけれど、それももう29年も前かと思うと時間の経過にちょっとびっくりした。そして、29年前ということは、私をメキシコ留学に送り出してくれた時の母と、今の私が同じ年齢になったってことだ、と思いいたった。
そんなタイミングで、「母の日に、手紙を贈りませんか。」という公募を見つけた。鎌倉発祥のアロマ生チョコレートブランド“メゾンカカオ”の「母への手紙。2026」という企画。遠く離れた日本に住む母に、同い年になって思ったことを綴った手紙を書いてみた。そうしたら、ありがたいことに入選5名に選んでいただいた。
入選した手紙(そのまま掲載して問題ないとのことなので、全文載せます)
お母さんへ
今年、私をメキシコ留学に送り出してくれた時のお母さんと同じ年齢になりました。
私には子どもはいないけれど、15歳の子どもが「海外に住んでみたい」と言い出すことを想像するだけで、心配で心配で身が縮む思いです。でもお母さんはそんなことをおくびにも出さずに、地球の裏側の未知の国へ1年間娘を送り出してくれた。「お味噌汁のじゃがいも、ちゃんとあたたまってる?」といつも気にするほど心配性なお母さんにとって、それはすごい勇気だったんだと思います。
同じ年齢になった私は、そんな風に誰かの背中を押してあげられているか、はなはだ自信はないけれど、あの時お母さんが行かせてくれ、大好きになった国で、精一杯生きてます。
お母さんはまだメキシコに来てくれてないから、お母さんとお父さんをメキシコに招待することが夢であり目標の一つ。それまで絶対元気でいてくださいね。
あの時も、今も、本当にいつもありがとう。
入選者には「鎌倉本店最上階のレストラン【PIASTRE スペシャルコース ペア チケット】を贈呈」だったのだけれど、実家の京都からは遠すぎてレストランは断念。代わりにチョコレートを送ってくださった。

そんでチョコレートやのに体によさそうな味がした」妹談
遠くにいると、何もできてないなという気持ちになることも多い。というか自分のことしか考えられてないこと多々。なのにチョコレート一つですごい喜んでもらえて、なんというか、なんというか、母の日以外にももっと何かしていきたい。改めて、今さらながら…!
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いただいたサポートは今後作りたいと思っているメキシコでのレンタルショップを作る費用にさせていただきます。