「ふり向くな」の本当の意味
こんにちはハル草子です。
数年前に勤務していた中学校は、田畑が残る宿場町の中心にありました。
昔からの商店街が並び、生徒のお父さんもおじいちゃんも通学していた歴史のある中学校でした。
商店街の先にある児童養護施設(保護者のいない子どもや、家庭の養育が困難な子どもたちが生活する施設)から通学してくる生徒も数名いました。
中学二年生を担任していたとき「人権作文コンクール」(法務省が実施)に学年全員が取り組むことになりました。日常生活の中で感じたことや体験したこと、考えていることを原稿用紙5枚以内に書く作文です。
人権とは
「人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利」であり誰にとっても身近で大切なもの、違いを認め合う心によって守られるものです。
今でも忘れられない作文があります。
題名 「今、私が思うこと」
「私は養護施設から学校へ通っています。兄との関係が大きな問題になり、家では生活ができないことになってしまったからです。
でも母とは自由に会えるし、週に一度は買い物やレストランへ出かけたりします。その時に欲しいものを買ってもらいます。
学校へ来れば、友達にも会えるし、今困っていることはありません。だから私は、誰にもかわいそうだと思われたくありません。
施設(相談員)の先生から、
「後ろをふり向いちゃだめだよ」とか、「前だけを見ていこうね」と言われます。
そういう言葉を聞くと、すごく悲しくて悔しいです。
私と母は仲良しで、とてもかわいがってくれました。母は私のことを大切に思ってくれています。
だから今、私はここにいるんだと思います。
私はかわいそうではありません。かわいそうな子だと思われることが、とても嫌です。それをわかってほしいです。」
胸の奥をぎゅっとつかまれたようでした。
彼女は、お母さんとの愛情を支え(誇り)に今を生きていました。背中でお母さんを感じていたのだと思います。だから安心してここに立っている。過去は大切な彼女の一部でした。
「ふり向くな」の本当の意味は、過去を捨てようとか忘れようではなく
「過去に背中を支えてもらっているから大丈夫」ということなのかもしれません。
そして同時に思ったことがあります。
「子どもは今という本番を生きている」
子ども時代というのは、大人になるための準備時代だと思われがちですが、 子どもは「今」という本番を生きています。
どんな形の家庭であっても、親がいてもいなくても、施設であっても祖父母の家であっても、その場所で今を精一杯生きています。たくましいです。そして社会のさまざまな人との関わりの中で育っていきます。
こどもの将来を必要以上に心配するのではなく、今こどもが楽しいか、安心できるかを大切にして一人の人間として対等に応援したいです。
長い間、たくさんの子ども達がさまざまな環境の中でたくましく 成長していく姿を見てきて今、そう思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
☆rokugatunoajisaiさん、優しく美しい画像をありがとうございました。
