(倉持佳代子)伊藤理佐「なんだかんだで!女のはしょり道」~美容やファッションにお悩みの方へ
ある晩、私は風呂場で未知なる生物に遭遇した。いや、そいつはかつて毎日会っていたものだった。でも私が知っている姿ではない。「なんか悩みが
あるなら聞こうか?」と、つい話しかけたくなるような面持ちで佇んでいた。
お股の話である。40歳になったとき、ふと思いついてVIO脱毛を始めたのだが、脱毛サロンに通う下準備として、前日に自分で剃る必要がある。その際、風呂場で久しぶりに何も無い状態を見た感想がそれだった。さて、私のこのなんとも形容しがたい体験を的確に言語化していたのが、「なんだかんだで!女のはしょり道」だ。本作は、妙齢女性がぶち当たる美容にまつわるあれこれを、作者ならではの視点でユーモラスかつ赤裸々に描かれる。抱腹絶倒シリーズのひとつだ。
「今も施術のために(剃って)ツルツルなのですが ヒヨコ的なものに会えると思っていたら⋯⋯ハシビロコウみたいな奴が立っていたんです⋯⋯」
⋯⋯⋯ハシビロコウ。本作に出てくるこの一節を読んだ晩、再度、風呂場で未知なる生物をまじまじと観察してみた。しばらく凝視し、私は自然と口から「伊藤理佐は天才だ」とつぶやいていた。
その後、私は次第に脱毛サロンから足が遠のき、いつしかそれの消息は定かではない。しかし私は、怪鳥との邂逅を通し、「女のはしょり道」が長らく美容雑誌『VOCE』で連載され、今なお読者に支持されている理由をあらためて思い知ったのだった。
※この記事は2026年8月6日から8月20日まで全文読める形でここに転載いたします。
エッセイ(文章)でエッセイマンガを紹介する「今を生きる私達に効く処方箋(エッセイマンガ)50」の企画は、「わたしをすくう エッセイマンガ処方箋展」と図録を兼ねた書籍「わたしをすくう エッセイマンガの処方箋」で展開されています。
伊藤理佐先生は天才ぶりを思わぬ形で知りましたが、本展では、ハシビロコウを中心とした原画が展示されていますので、原画を見るだけでも、伊藤理佐先生の類まれなる才能を実感できます!
また、『女のはしょり道』シリーズはもちろん、作者のエッセイマンガを読んだことがない方はこの機会にぜひお読み下さい。
