茹で上がるザリガニ:異常気象が描く日本の夏
(Writing aysha)
子供の頃、夏の田んぼや用水路は私たちにとっての冒険の舞台だったの。

そこで必ずと言っていいほど出会うのが、赤黒い鎧をまとったアメリカザリガニなのよね。
スルメを結んだ糸を垂らすと、ハサミを振り上げて威嚇しながら食いついてくる。

あのしぶとさはどうだったかしら。
泥水の中でも、狭いプラスチックケースの入れ物でも、少々水が汚れていようとも、彼らは驚異的な生命力で生き延びていたのよ。
私の中でのアメリカザリガニとは、いつだって身近で、そう簡単にへこたれない強い生き物の代名詞だったわ。
先日、ネットで見かけた動画には我が目を疑うことになったの。タイトルは「アメリカザリガニ田んぼでゆで上がる」。
【再生▶️ボタンを押していただくとその場ですぐに視聴できます】
はじめは冗談か、あるいはネット特有の誇大な表現だろうと思ったの。
しかし、解説を観て血の気が引いたわ。
近年の容赦ない猛暑日、浅い田んぼの水温は軽く四十度を超えるというのよ。
かつてどんな環境でも生き抜いたあの強靭なザリガニたちが、この異常な高温に耐えきれず、文字通り真っ赤に茹で上がって次々と命を落としているというのだから驚きよね。

「外来種」として日本の在来生態系を脅かしてきた彼らが、まさか気候そのものに敗北するとは誰が想像したでしょう。
人間の手によって日本に持ち込まれ、しぶとく繁殖を続けた彼らの歴史の幕引きが、地球温暖化による「熱湯風呂」のような田んぼだというのは、あまりにも皮肉で、そして不気味な結末なのよね。
思えば、ザリガニが茹で上がるほどの暑さは、もはや彼らだけの問題ではないわ。
私たちが暮らす日本の夏もまた、かつての「季節」という概念から外れ、命の危険を感じるサバイバル空間へと変貌を遂げているの。
外を歩くだけで熱中症の危険があり、コンクリートの照り返しは生き物を容赦なく痛めつける。
ザリガニが茹で上がった田んぼは、この国が迎えている環境危機の、ほんの一つの縮図にすぎないのよ。
「かつての強者も、日本の夏には勝てなかった」
動画の最後に残されたその言葉が、妙に胸に突き刺さるの。
私たちはいつの間にか、人間も含めたすべての生き物が暮らすこの地球の温度を、自分たちの手で取り返しのつかないところまで上げてしまったのではないかしら。
冷たい飲み物を片手にエアコンの効いた部屋でその動画を見つめながら、

私は幼い頃に捕まえたあのザリガニの赤さを思い出したのよ。

あの頃の夏は、もっと青く、もっと広かったはずだわ。
いつか人間も、この茹で上がる田んぼのザリガニと同じように、膨れ上がった熱さに追い詰められる日が来るのではないかしら。
そう思うと、窓の外のうだるような夕立の気配すら、恐ろしく感じずにはいられないの。

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