やさしさに救われたあの日
それは私が20代前半の頃だった。
忙しい仕事だったこともあり、残業して終電まで飲んで埼玉の実家まで帰るという慌ただしい日々を過ごしていた。
昔から仕事が忙しい時ほどよく遊ぶ。
その日も所沢より奥にある実家に帰るため、池袋から西武池袋線の飯能行きの終電に乗った。
ラッキーなことに途中で座ることができた。
酔っていたのですぐに眠ってしまったようで、頭をツンツンされて目が覚めた。
ハッと上を向くと同世代ぐらいの知らない男性が「ここじゃないの?」と聞いてきた。
見るとそこは私の最寄駅。
あっ!と思った時にはドアが閉まっていた。
やばーい!乗り過ごしちゃった!
当然、池袋に向かう上り電車はもうない。
焦った私は次の駅で降りた。
しかしこれが失敗で、次の駅は小さな小さな駅でその当時、駅の近辺にはお店などもなくタクシー乗り場もなかった。
冷静に考えればもう少し乗り過ごしてタクシーがある大きな駅に行くとか、いっそのこと終点の飯能まで行った方がタクシーは捕まえやすかったはず。
でも酔ってるし、寝起きでぼーっとしてるし、焦ってるし・・・で慌ててしまったようだ。
改札を出てみたものの真っ暗で人気のない道を見て絶望していると、先程起こしてくれた男性とその友人達3人組も降りてきた。
そして「やっぱり●●駅(私の最寄駅)だったよね?なんか見たことあると思ったんだ。もっと早く起こしてあげれば良かったね」と話しかけてきた。
私は起こしてくれた彼に見覚えはなかった。
今ならもっと警戒したと思うが、その時は彼らしか頼る人もなく、きっとどこかで会ったことがある親切な人なんだろうと思った。
彼は「俺たちが絶対タクシー捕まえてやるから」と言って、3人で暗い道を探しに行ってくれて10分後本当にタクシーを捕まえてくれた。
一緒に乗り込んでくるわけでもなく1人で乗せてくれて、ひたすらお礼を口にする私に友人の1人が「AV女優の●●●さん(名前は忘れました)に似てますね。握手してください」と言ってきた。
お安い御用である。
全員と両手で熱く握手をしてタクシーに乗ってお別れをした。
その後彼らと会うことはなかった。
名前も連絡先も聞かなかったので、もうお礼をすることもできないが今でも感謝している。
こんなにも親切な人達がこの世にいるなんて。
今回noteのお題を見て久しぶりに思い出したので書いてみた。
ちなみに出社して周囲の男性陣にこの心温まる話をした後「AV女優の●●●に似てるって言われた」と言うと、話を聞いた人全員に憤慨されたことも思い出した。
全然似てないそうである。
