【祝アニメ化】FX戦士くるみちゃんに学ぶ 裁量トレードのNG行動 #1
なんと、『FX戦士くるみちゃん』がアニメ化されるそうです!
今回はいつもの記事と少し趣向が異なりますが、FX戦士くるみちゃんを題材に、自戒を込めて裁量トレードで陥りがちなNG行動について振り返ってみたいと思います。
※本記事は『FX戦士くるみちゃん』2巻までの内容を含みます。未読の方はご注意ください。
FX戦士くるみちゃんとは:
女子大生のくるみちゃんが、亡き母がFXで溶かした2000万円を取り返すべく、自らも相場の世界へ足を踏み入れていく物語です。可愛らしい絵柄とは裏腹に、トレーダーが破滅に向かうリアルな心理状態が異常な解像度で描かれています。
「今すぐ下がる理由も見つからないし……なら買ってみるか?」
2話より、動かないドル円に焦りを覚えつつ、豪ドル円のチャートを見ているくるみちゃんの思考です。
「上昇しても96円が限界かな?かと言って今すぐ下がる要素も見つからないし……」
「……なら買ってみるか?逆に言えば96円までは目指せるはず……!」
賢明な読者の方は「いやいや、その根拠で買うの!?」と思わず笑ってしまうでしょう。
恥ずかしながら、私は幾度となくまったく同じ理由でエントリーしており、引きつった笑いしかできませんでした。
「下がる要素が見つからない」ということと、「上がる優位性がある」ということは全く別の話です。 しかし、チャートを何十分も眺めていると、「なんとなく雰囲気が良い」「そろそろ反発しそう」という感覚が、いつの間にか立派なエントリー根拠に見えてきます。
では、その根拠は検証したのでしょうか。 例えば、その条件で100回トレードしたら何回勝てるのか。 利益と損失を含めた期待値は本当にプラスなのか。 そこまで確認しているケースは、実はあまり多くありません。
そして、このようなエントリーの一番怖いところは、逆行された瞬間に現れます。 「なんとなく」で入ったので、「どこで損切るか」も決まっていません。 その結果、「まだ戻るかもしれない」が始まり、気が付けばお祈りモードに突入します。
私の場合はこの流れから、いわゆるコツコツドカンの「ドカン」の部分を、それはもう何度も被弾しておりました。
「私も売っていれば儲かったのに……」
7話より、FX引退していたくるみちゃんが、芽吹に伝えた予想の通りに相場が動いたシーンです。
「ウソ…」
(私も売っていれば儲かったのに…)
本来なら1円も損をしていません。 それなのに、人間の脳は「得られるはずだった利益を失った」と勝手に認識してしまいます。 この感覚、本当に厄介です。
「次こそは乗り遅れない。」 そう思って飛び乗った瞬間だけトレンドが終わる。 裁量トレーダーなら、一度くらい経験したことがあるのではないでしょうか。 私の場合、高値で買って、安値で損切りするまでが綺麗なワンセットです。
冷静に考えれば、見送った判断が正しかった可能性だって十分あります。 しかし、人間は「損をしなかった記憶」より、「儲け損ねた記憶」の方を強く覚えてしまいます。 だから次は、本来見送るべき場面でも手を出してしまう…私はそんな心理状態でした。
わかっていても、指が止まらない
9話より、芽吹への助言を続けながらも、FXに復帰したい欲求と葛藤するシーンです。
(ここで買いたいと思っちゃダメ!こんな予想あてにならないもん!)
くるみちゃん自身は「第一感による判断にはバイアスがかかる」と理解し、一度はFXへの復帰を思いとどまります。
このシーンが好きなのは、「知識がない人」として描かれていないからです。 本人も、自分の判断が完璧ではないことを理解しています。 それでも、チャートを見続けていると、「今回は違うかもしれない」という気持ちが少しずつ大きくなっていきます。 そして、気付けば注文ボタンを押してしまう。
損切りが大事だと知っている。 ロットを上げ過ぎてはいけないと知っている。 感情でトレードしてはいけないと知っている。 それでも実際にはできない。 この作品の面白さは、「知識不足」ではなく、「人間の弱さ」を描いているところにあるのだと思います。
私も何度、「裁量トレードやめる!」と思って次の日に注文ボタンを押したことか…
EAは「退屈」を武器にする
私が裁量トレードからEA開発へ軸足を移した理由の一つが、まさにここでした。 EAは未来を予測する魔法ではありません。 むしろ、「余計なことをしないための仕組み」です。
例えば、「5分足確定時しかエントリーしない」というルールを書けば、ヒゲが暴れようが、SNSが大騒ぎしようが、システムは何も感じません。
👨「今回は特別!」 「ここで入らないと置いていかれる!」 「絶対戻る!」
🤖「条件を満たしていません。」
それだけです。 裁量では難しい「待つ」という行為を、文句ひとつ言わず続けてくれます。
もちろん、ロジックそのものに優位性がなければEAでも勝てません。 しかし少なくとも、「なんとなく」でエントリーすることだけはありません。 私は、この"退屈さ"こそが、長く相場で生き残るための武器だと思っています。
おわりに
『FX戦士くるみちゃん』を読んでいると、「なんでそんなことをするんだ」と思う場面が何度も出てきます。 でも、チャートの前に座ると、不思議なくらい同じことをやってしまう。 だから、この作品は笑い話では終わりません。このシリーズでは、そんな「分かっているのにやってしまう」を、原作のシーンと一緒に一つずつ振り返っていきたいと思います。
