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「あなたは夢がありますか?」【50代】   私が思う"夢"という人生のスパイス


■年齢を重ねると、夢は遠のくのか?

「あなたの夢は何ですか?」と問われたとき、即答できる大人はどれほどいるだろう。

若い頃は無数にあった夢も、年齢を重ねるにつれ現実に押し流されていく。仕事、家庭、介護、子育て、健康…目の前の課題に追われるうちに、夢を語ることすら「贅沢」に思えてしまう。

だが私は思う。 夢は"持つこと"そのものに意味がある。

それが途方もなくてもいいし、手の届きそうな小さなものでもいい。大切なのは「心に灯をともす行為」であることだ。
夢を持つだけで、人はほんの少し背筋を伸ばし、心身に若さを宿す。

■手が届きそうで届かない夢 "20代の肉体を取り戻す"

まず私の夢のひとつは、20代の肉体に近づきたいというもの。

もちろん完全に取り戻すことは不可能だろう。
しかし「疲れにくい身体」「少しでも引き締まった身体」は努力次第で実現できるかもしれない。

ジムに通う時間はない。
だがストレッチや筋トレ、ウォーキング。
毎日の積み重ねで、少しずつ"あの頃の自分"に近づいていく。
夢があるからこそ、今日の一歩を踏み出す力になる。

この夢を抱いてから、階段を見つけるとなぜかエレベーターより先に足が向く。コンビニへの道のりも、少し遠回りして歩くようになった。
「今日も夢に近づいた」そう思えるだけで、日常の些細な行動に意味が生まれる。

■次なる夢 "富士山に登りたい"

富士山。
日本人なら一度は登ってみたいと思う山だろう。

私にとってはまだ未知の世界で、登山といえば高尾山くらい。
初心者に等しい。
だが、だからこそ挑戦したい。

体力づくり、装備、知識。すべて必要だ。
一朝一夕で叶うものではない。
だが夢があるから、日々の生活に「準備」という意味が生まれる。
夢は行動の理由になるのだ。

以前、スポーツショップに足を向けた時のこと。
店員さんに初心者向けの装備を聞いていると、同じ年代の男性が「去年初めて富士山登ったんですよ」と声をかけてくれた。
「50代からでも全然間に合います」その言葉が、胸の奥で小さく燃え上がった。

■途方もない夢 "宇宙を体感したい"

現実的にはまず不可能だろう。
だが私は夢見る。
いつか宇宙に行ってみたい。火星をこの目で見てみたい。

想像を絶する環境であり、人類にとってもまだ遠い場所だ。だが、夢だからこそ描ける。不可能を願う自由こそ、人間の特権だと思う。

宇宙飛行士の野口聡一さんがSNSでシェアする宇宙からの地球の写真を見るたび、心が震える。あの青い星を、いつか宇宙から眺めてみたい。民間宇宙旅行が現実になりつつある今、もしかしたら、もしかするかもしれない。そんな淡い期待すら、生きる活力になっている。

■身近で切実な夢 "風呂にゆっくり浸かりたい"

介護の現実の中で、私のささやかな夢は「風呂にゆっくり浸かること」だ。

父の介助、母の入浴、家族の順番が終わってようやく自分。
冷めた湯に浸かるのが日常だ。

だからこそ、ただ何も考えず、肩まで熱い湯に沈み、ぼーっと空を眺めたい。そんな小さな夢が、いまの私にとっては何よりの贅沢に思える。

温泉旅行の雑誌を眺めながら、「いつか一人でのんびり行けたらな」とため息をつく。たったそれだけの時間が、今の私には宝物のように思える
小さな夢だからこそ、叶ったときの喜びは計り知れないだろう。

■夢を語ることの勇気

周りを見渡すと、夢を語ることを恥ずかしがる大人が多い。

「この年になって何を言ってるんだ」
「現実を見ろ」
「身の丈に合わない」

そんな声に押し切られて、心の奥にしまい込んでしまう。だが、夢を隠すことで、人生の色彩は確実に褪せていく

私は敢えて夢を声に出す。家族に話し、友人に語り、時にはSNSで発信する。すると不思議なことに、同じような夢を持つ人たちと出会えるのだ。「私も富士山登りたいんです」
「宇宙、ロマンですよね」
そんな共感の輪が、夢をより現実味のあるものにしてくれる。

■夢は"人生のスパイス"だ

大きな夢も、小さな夢もある。現実的なものも、途方もないものもある。

大切なのは「夢を語ることをあきらめない」ことだ。夢は叶うかどうかではなく、持つこと自体が人生の張り合いになる

料理に例えるなら、夢は塩でも砂糖でもない。スパイスなのだ。それがあるだけで、平凡な毎日に香りと深みが生まれる。夢のない人生は、スパイスのない料理のようなもの。栄養はあっても、心を満たしてはくれない。

■51歳だからこそ見えてきたもの

若い頃の夢は、往々にして「成功」や「承認」と結びついていた。有名になりたい、お金持ちになりたい、認められたい。
だが50代の夢は違う。
もっと内側から湧き出る、純粋な欲求に根ざしている。身体を動かす喜び、美しいものを見る感動、静寂の中での安らぎ。そんな本質的な幸せに向かっている。

年を重ねることで、夢はより研ぎ澄まされていく。無駄な装飾を削ぎ落とし、本当に大切なものだけが残る。これこそが、大人の夢の醍醐味なのだと思う

■夢を実現する小さなステップ

夢は夢のままで終わってもいい。
だが、少しでも近づく努力をすることで、日常がより豊かになる。

20代の肉体を取り戻す夢があるなら、今日から5分でもストレッチをする。富士山に登りたいなら、近所の山から始める。宇宙への憧れがあるなら、プラネタリウムに足を運ぶ。ゆっくり風呂に浸かりたいなら、家族に「30分だけ」と頼んでみる。

小さな一歩が、夢と現実の距離を縮めてくれる。そしてその一歩を踏み出したという事実が、自分自身への小さな誇りとなる。

■夢を持つことの副作用

夢を持つと、不思議な副作用が起こる。

周りの人の夢にも敏感になるのだ。息子の進路の話、友人のちょっとした呟き、テレビで見る挑戦する人々の姿。すべてが自分事のように感じられ、応援したくなる

夢を持つ人は、他者の夢を否定しない。なぜなら、夢の尊さを知っているからだ。そうして、人との繋がりもより深くなっていく。

■これからの人生設計

残された人生の時間を考えると、すべての夢を叶えることは難しいかもしれない。だが、夢を持ち続けることはできる。そして、その中のいくつかは現実になるかもしれない。たとえならなくても、夢を抱いている時間そのものが、人生を豊かにしてくれる。

介護の合間に見る夕日、ストレッチ後の心地よい疲労感、富士山の写真を眺めながら飲むコーヒー。
夢があるからこそ、これらの瞬間がより特別になる

だから、私は今日も夢を描き続ける。
20代の身体を少しでも取り戻す夢を。富士山に登る夢を。
宇宙に行く夢を。
風呂にゆっくり浸かる夢を。

そして皆さんにも問いたい。

あなたには、夢がありますか?

もし忘れてしまったなら、今から探してみてください。
小さくても大きくても構いません。
夢は年齢制限がない、人生で最も自由な領域なのですから。

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EX-FAX-CE|NOTE執筆家
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