星降る夜のセレナーデ 第52話 優と志音
皆んなスタジオから出て来た。私はサンドイッチなどの軽い食事を用意する。
「小池さん、ありがとうございます、おかげで何とかシステムを動かせそうです」真人くんは興奮気味だ。
「これでかなり作業が早くなりそうだねえ」パパもにっこりしている。
「お疲れさまです」真美ちゃんは涙を拭いて強張った笑顔を見せた。
「そうだ、真人くん、DTMの練習に真美ちゃんの曲を作ってあげたら?」
「何言ってるんですか先生、俺はまだ曲作りなんて無理ですよ」
「……………」真美ちゃんは黙って下を向いた。
「ただいま〜、おやつ……………」志音が帰ってきたが見慣れない人を見つけて私のそばに来た。
「ママ、ただいま…………」小声で不安そうにしている。
「お帰りなさい志音ちゃん、お仕事の人たちにご挨拶は?」
「こんにちは」志音はペコリと頭を下げた。
「えっ!…………優さんとそっくりなんですね」真美ちゃんは驚いた。
真人君が不思議そうにチラッと志音を見る。私は真美ちゃんを少し睨んだ。
「すみません…………」彼女は申し訳なさそうに項垂れた。
志音は状況を見て、少し考えると急に真人くんへ「お兄ちゃん、志音学校に忘れ物しちゃった」そう言って困ったような顔をしている。
「そう、じゃあ取りに行こうか」真人くんはニッコリ頷いた。
「悪いわね真人くん」
「大丈夫です、じゃあ行こう」志音の手を引いた。
「ゴメンねお兄ちゃん」志音は申し訳なさそうにコクリと頷いてついて行く。
「小池さん、ありがとうございました。分からない事が出てきたら電話しますのでよろしくお願いします」真人くんは手を振って志音ちゃんと出て行った。
「御免なさい」真美ちゃんはまた俯いた。
小池さんは何となく事情を察したようで、「それじゃあ私達はこれで失礼します」頭を下げる。
「何も事情を知らず、無理なお願いをしにきて申し訳ありませんでした」真美ちゃんは深く頭を下げた。
「ゴメンね、いい返事ができなくて。正美には私から連絡しておくわ」
「真美ちゃん、忙しくてゴメンね。正美ママにはよろしく言っといて」パパは申し訳なさそうにしている。
二人は帰って行った。
「正美さんの身内なら何とかしてあげたいけど、スフィンクスだとねえ…………」パパは遠くを見るような目をしている。
「ただいま〜」志音が帰ってきた。
「お帰りなさい」私は志音を抱きしめる。
「ママ、ゴメンね仕事の人達なのにニッコリ出来なくて」眉を寄せて私を見た。
「いいのよ志音…………」
真人くんは何かを感じ取ったのか、少し不安そうにしている。
「俺、スタジオでもう一度確認をしても良いですか?」不安そうに聞いた。
「そうだね、忘れないうちにもう一度確認しようか」パパとスタジオへ行った。
「ママ、皆んな似てるって言うけど、志音はママみたいに美人じゃないよ」寂しそうに呟いた。
「志音は志音よ私より全然可愛いわ、ママの自慢の娘よ」私は思い切り志音を抱きしめた。
志音は少し恥ずかしそうに笑った。
