星降る夜のセレナーデ 第118話 輝く日常
「お疲れ様です」俺はログハウスの玄関を開ける。
「出版社はどうだった?」先生が聞いた。
「あのう……………こんな事になってますけど……………」
「「えっ?」」
「ただいま〜!!」志音ちゃんは満開の笑顔で入って来る。
「「志音!………………」」
先生は駆け寄ってくると思い切り志音ちゃんを抱きしめた。
「とーたん!志音苦しいよ〜」
先生から解放されると志音ちゃんは「ママ〜」そう言って美夜子さんへ抱きついた。
「お帰りなさい志音ちゃん」美夜子さんは優しく志音ちゃんの髪を撫でた。
俺はただボーッと玄関に立ち竦んでる。
「真人くん、何突っ立てるんだよ、早く上がっておいでよ」
俺は先生に言われ、我に帰ってリビングへ入った。
「ママ、ワイン、いやシャンパンかな?」
「とーたん、直ぐにお酒を飲もうなんてダメですよ」志音ちゃんが睨んだ。
「志音が心配してくれているよ〜」先生は嬉しそうだ。
久々に4人がリビングへ集まった。室内はキラキラと輝いているように思えた。
志音ちゃんがいると、こんなに日常が輝くんだと思った。
「でも、どうして急に帰って来れたの?」美夜子さんが聞いた。
「うん、出版社が『葵 姫名』を招待してくれたの、だからタダで帰って来れたよ」笑っている。
「志音、いつでも費用は出してあげるのに」先生が眉を寄せている。
「そんなの勿体無いでしょう?それに勉強に行ってるんだから」志音ちゃんは先生を睨んだ。
「そうね、志音の言う通りだわ」美夜子さんは笑っている。
それから志音ちゃんはロンドンでの事やミュージックスクールでの事を楽しそうに話した。俺は嬉しくてニヤけたまま聞いている。
ふと気がつくともう深夜になっていた。
「こんな時間になっていたんですね、また明日来ます」そう言って帰ろうとする。
志音ちゃんは俺を見ると「明日はドライブに連れてってね」そう言った。
「えっ!良いけど、せっかくだから家族でいた方がいいんじゃない?」
「だって直ぐに帰らなきゃいけないんだもの」唇を尖らせた。
「真人くん、志音の希望を叶えてあげてよ」先生は微笑んでいる。
「真人くん、遠慮はいらないわよ」美夜子さんも微笑んだ。
「はい、では明日迎えに来ます」俺は頭を下げると車に乗りログハウスを後にした。
