星降る夜のセレナーデ 第121話 季節の便り
翌日先生の車で志音ちゃんを成田へ皆んなで送る。
俺が運転席に座ると、志音ちゃんは助手席に座った。
志音ちゃんは俺に携帯を見せる。大きな画面の新しい携帯電話だ。
「モヒくんもこの携帯電話に変えてよ、スマートフォンっていうの。そして毎日見ている景色を志音に送って。志音もモヒくんに送るから。そしたら寂しくないよ」そう言って微笑んだ。
「分かった、そうするよ」俺は頷く。
「いいなあ、パパもスマートフォンに変えて画像を送るよ」先生は後ろの座席から身を乗り出して志音ちゃんへアピールした。
「パパは面倒だからいいの!」志音ちゃんは少し睨んだ。
「パパ、志音の仕事を増やさないでよ」そう言って笑っている。
空港に到着すると、志音ちゃんはニッコリして「もう1年頑張ってくるよ」そう言って旅立った。
「1年か、長いなあ……………」先生は項垂れた。
帰ってくるとすぐに携帯ショップへ行った。結局みんなスマートフォンになった。
俺は日々の山里の景色や、スタジオでの様子、そして白河家の様子を写し志音ちゃんへ送る。志音ちゃんからはロンドンの景色やスクールでの様子などの画像が送られてきた。おかげで寂しさは随分と軽くなった。
俺は志音ちゃんに恥ずかしくないよう仕事を頑張った。お陰で仕事も随分増えている。
先生は毎日食べている夕食を写真に撮って送っているらしい。
『今日は食べ過ぎだよ!』とメールがくると嬉しそうに俺や美夜子さんへ見せた。
「パパ、やめてよ、私が管理できてないみたいじゃないの」美夜子さんは呆れている。
先生は志音ちゃんの反応が欲しくて、つい食べすぎてるようだ。お酒も少し増えてしまっている。俺は先生の健康が心配になった。
俺がリビングで携帯に文字を打ち込んでると、美夜子さんが俺を写した。
「えっ?」俺が顔を上げると美夜子さんはニッコリしている。
「この写真が志音ちゃんは一番喜ぶのよ」そう言って微笑んだ。
俺は自分の顔が赤くなっているように感じる。
仕事は忙しく、俺も先生も殆どの時間を曲作りに費やしている。
美夜子さんは心配して、日曜は休む事を提案した。志音ちゃんがいるとドライブに行けるが、一人だと出かける気にならない。
「真人くん、先輩のお店へでも出かけたら?」
「そうですね……………そうします」
俺はアイランドへ向かった。
